税理士1名、引き続き募集中。

vol.220(since07/01/07~)
23/01/16

 

上甲会計事務所では、税理士(又は公認会計士)を1名募集しています。
オンリーワンの税理士人生にチャレンジしたい方、以下概要を記載するので、当事務所までメール又は電話(045-641-7796)でご連絡ください。

 

趣旨

 

私上甲は平成14年山口税務会計事務所に入所し、平成20年同事務所を承継、名称を上甲会計事務所に改称し、以後「開業税理士」として税理士事務所を経営しています。
 

承継と同時に、前所長山口は上甲会計事務所の顧問に就任し、以後当事務所の「所属税理士」として活動を続けていました。しかし山口は高齢になったこと等から令和4年12月をもって税理士資格を返上(廃止)しました。
 

当事務所は私上甲の「開業税理士」による個人事務所なので、山口が税理士でなくなったとしても事務所の体制に変更はありません。また山口は承継以後事務所の経営に携わっていなかったので事務所経営への影響もありません。
 

しかしながら税理士資格者が私一人であると、私に万一のことがあった場合にクライアントや職員はどうするのか?という不安が生じます。私はTKCという団体に属しており、志を同じくする税理士の仲間がいるので不測の事態が生じたときは彼らがフォローしてくれます。しかし私以外に税理士資格を有する者が同じ事務所にいた方が関係者に安心していただけるし、誰よりも私自身が安心です。
 

これらの理由から、上甲会計事務所に勤務する税理士を募集します。なお公認会計士の場合、税理士登録をし、かつ税理士として活動することが条件です。

 

経験

 

上記の通り、今回の募集の絶対条件は「税理士の資格を有する者」です。よって会計事務所の勤務経験は問いません(当然ながら、経験者と未経験者とでは採用時の待遇に差はあります)。

 

業務

 

大まかにいうと、二つの業務があります。
 

一つは監査担当者としての業務です。これは税理士の補助業務を行う「使用人その他の従業者」の行う業務と異なることはありません。具体的には、担当クライアント先の巡回監査や決算等の補助業務を行い、かつ会社経営や事業承継、資産対策などの相談窓口となります。
 

もう一つは、いわば勤務税理士としての業務です。当事務所には、例えば社会福祉法人の監事や助成金交付先の会計監査など、他の税理士や行政機関から税理士資格者であることを前提に求められる業務があり、これらを担当してもらう可能性があります。

 

立場

 

今回の募集は「税理士の資格を有する者」を募集するものであり、開業税理士である私上甲の後継者を募集するものではありません。
従って採用当初から、事務所内で「所長代理」や「副所長」などの肩書や立場で勤務することは想定していません。貴方には他の職員と同様、当事務所の「従業員就業規則」等の諸規程が適用されます。

 

待遇

 

前述の通り、他の職員と同様当事務所の「従業員就業規則」等の諸規程が適用され、給与に関しては「職員給与規程」に基づき支給されます。
 

 

税理士としての活動

 

当事務所は私上甲の「開業税理士」による個人事務所です。貴方は当事務所の「所属税理士」として登録することになります。

また、当事務所はTKC神奈川会に加入しています。原則として、貴方は当事務所に所属する税理士としてTKC神奈川会に加入します。

これにより、貴方は税理士会の活動及びTKCの活動に参加することになります。なお、通常の会費は当事務所が負担します。

 

将来

 

前述の通り、今回の募集は「税理士の資格を有する者」を募集するものであり、開業税理士である私上甲の後継者を募集するものではありません。

しかし貴方が税理士である以上、将来貴方が「開業税理士」として当事務所を承継したり、貴方を含めた他の税理士と税理士法人を設立する可能性はゼロではありません(その場合は当然に、私と貴方の合意が前提となります)。

 

税理士」という仕事に関する私の考え方は、こちらをご覧ください。

 

 

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「国税通則法を巡る実務」を上梓しました!

 

vol.219(since07/01/07~)
22/12/19

 

この度、下記の書籍を共著者として上梓しました。

 

書籍名 実務家のための国税通則法を巡る実務
     ~裁判例などから解き明かす通則法の実務~

著者 山口昇、上甲雅敬

出版形態 自費出版

ページ数 1104ページ

※令和2年12月31日現在の法令・通達等に準拠しています。

 

共著者の山口昇(当事務所顧問・前所長)は、これまでにも「借地権の評価と課税の実務」「生命保険・損害保険をめぐる評価と課税の実務」「非上場株式等の相続・贈与をめぐる評価と課税の実務」(いずれもTKC出版)などの書籍を執筆してきました。

 

いずれもの書籍も税理士等の実務家向けで、税の専門家が難解な税務判断をしなければならない事態に直面した際の一助になれば、との思いから書かれています。

 

今回の書籍も「実務家向け」という点で著者の思いは一緒です。
しかしそのテーマが「国税通則法」というマイナーな分野であることと、ページ数が多いことから今回は自費出版という形を取りました(その結果、電話帳のような厚さと重さになりました・・・・・)。

 

国税通則法は「租税手続法」とも言われ、納税申告書等の作成、提出、納付等に係る事務手続きなどが定められています。
所得税法法人税法などの個別税法にもそれぞれ手続規定はありますが、これらの税法に定められていない事項は基本的に国税通則法によって判断、処理されることになります。

 

また平成23年12月の税制改正で、各税法に規定されていた「質問検査権」に関する項目が国税通則法に集約されました。以後税務調査に関する手続きは国税通則法により取り扱うことになりました。

 

国税通則法は普段の税実務ではあまり意識されることはありませんが、期限後申告修正申告延滞税加算税などイレギュラーな事態が生じた場合や、税務調査の開始から終了するまでの手続きなどでは理解を欠かすことはできません。

 

本書は国税通則法の逐条解説を基本としつつ、これに関連する裁判例・裁決例等を数多く収録し、実務において通則法をどのようにあてはめたらよいか考察しやすいように構成しています。

 

また税務調査に関連して、税理士法の書面添付に関する事項(事務運営指針や記載方法など)にも多くのページを割いています。

 

限られた部数で製作していますが、ご希望があれば1冊7,700円(消費税込、送料別)でお分けしますのでメールでご注文下さい。

 

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21/12/28

上甲会計では、私たちと一緒に働いてくれるスタッフを募集しています。
詳細は上甲会計ホームーページ「求人情報」を参照していただきたいのですが、会計事務所はゴマンとあり、かつ人手不足のご時世でどの事務所も求人を行っている状況です。会計事務所への応募を考えている方からすると、会計事務所の[「違い」を見つけるのはなかなか難しいと思います。
採用は「縁」のようなもの。自分に合っていない会社に就職してしまい、残念ながら短期間で退職する結果となれば、その時間はお互いに「ムダ」というものです。
その可能性を少しでも排除するため、ここでは応募者がおそらく求めているであろう上甲会計事務所の「情報」を少しだけ公開します。
これを見て、あなたが興味を持たれたらぜひ応募していただき、「ああ、違うな」と思ったら他の会社を探してください。それが僕の「採用のホンネ」です。

<少人数です>

上甲会計は総勢9名の小さな会社です。監査担当スタッフとはいえ掃除もするし、来客・電話対応等なんでもあります(他にやる人がいません)。
支店などありませんし、転勤もありません。つまり退職や採用がない限り、事務所のメンバーは僕を含めずーーーーっと一緒です。
他のメンバーと気が合う合わないにかかわらず、毎日同じ職場で仕事する覚悟(?)が必要です(もっとも、今いるスタッフはベテランが多くなりました。皆それなりにこの事務所の中に自分の居場所を見つけているのでしょう)。

<個人事務所です>

僕は個人事業者です。従って、僕が死ぬか廃業するかすればこの事務所は消滅します。これが「不安定である」と思われるかもしれません。
では大企業であれば安定してるのか?
例えば銀行業界を見てください。名前が次々と変わり、支店が閉鎖していく。どんな大きな上場企業だって明日はどうなるかわからない時代です。「大きいから安定」はもはや幻想にすぎません。
僕はTKCという税理士・公認会計士が組織する団体に所属し、TKCを通じて多くの信頼できる同業の仲間がいます。もし僕が死んだり廃業したりした場合、スタッフやクライアントは仲間の先生が引き継ぐことになるでしょう(とは言えまだ55歳なので、当分は頑張るつもりです)。

<なぜ今求人するのか?>

理由は2つあります。
1つは職員が退職すること。後の<時間外勤務>で述べますが、当事務所は繁忙期と閑散期の業務量に激しく差があります。2月から5月までの繁忙期に対応するためには現状のスタッフ体制を維持する必要があります。
もう1つは、業務量増加への対応です。
ビジネス環境が大きく転換する中で、クライアントからは財務や事業承継、相続などに関する相談が増加しています。またクライアントにおける人手不足、特に経理総務部門での人材難が顕著です。これらの業務をフォローするための人材が必要と判断しました。

<どの程度のスキルが必要か?>

税理士には、税法及び会計に関する高度な知識が求められます。これは所長税理士である僕のみならず、資格を持たないスタッフも同じです。
近年税法や会計に関する制度はどんどん複雑化しています。新しい知識を次々と勉強し、吸収しなければなりません。
そしてその知識を現場でどう活かすか?という「判断力」を高め、判断したことをクライアントに「伝える力」も求められます。
また税務会計の基本的な知識以外に、インボイス制度や電子帳簿など、昨今のデジタル化に対応した財務システムの理解も必須です。
もちろん、これら業務に必要なスキルは一朝一夕で身につくものではありません。研修の場も用意しますし、OJTトレーニングも行います。しかしいくらやる気があっても、これらの事を「受容する力」がなければこの仕事は続かないでしょう。
ああ、なんて面倒な職業なんでしょう!
だからこそ、目的を達成したときの喜び、出来なかったことが出来るようになったときの喜び、クライアントに「ありがとう!」と言ってもらったときの喜びが、格別なのかもしれません。

<クライアントの特徴>

当事務所のクライアントの特徴は、大きく2つあります。
第1に、社歴が長く、当事務所との関与が長いクライアントが多いこと。
現顧問が会計事務所を創業して以来約50年が経ちますが、関与してから20年、30年、中には創業以来の付き合いとなるクライアントも数多くあります。
これらのクライアントは当然、事業承継や相続の場面に直面しています。従って当事務所の業務は、通常の巡回監査や決算書・税務申告書の作成は当たり前で、事業承継や相続対策など時間をかけて取り組むものが中心となります。
第2に、公益法人(社会福祉法人・NPO法人・財団社団法人)が多いこと。
現顧問や僕が横浜市の障害福祉業務に係っていることもあり、これらのクライアントが多くなっています。
公益法人には、公益法人毎に独自の会計基準や税務に関する知識が求められます。上甲会計の職員は、当然にこれらの知識に精通していなければなりません。

<時間外勤務>

時間外勤務は、あります。
「残業するのが当たり前」という業界であり事務所でありましたが、近年在宅勤務やフレックスタイムを導入するなどして、無駄な業務時間の削減に取り組んでいます。
とはいえ、2月5月の時間外勤務は他の月に比べて突出して多くなります。2月は確定申告、5月は3月決算の作業が集中するためです。
おまけに2月5月は平日が少ないため、2月5月の土曜や祝日の一部は出勤日としています。
ちなみに2021年5月の監査担当スタッフの時間外勤務時間は、平均50時間程度です。1日当たりでは50時間÷19日≒2.6時間、つまり毎日20時くらいまで勤務していたことになります。
その代わりと言ってはなんですが、6月から11月までは閑散期となり、時間外勤務はグッと減ります。
働く季節はめいっぱい働き、休む時は充分に休む。年を通じてオンオフ切り替えがある事務所です。

<有給休暇>

有給休暇は法定通り付与します。また法改正により、年5日の取得が義務付けられました。
応募に際しては「有給休暇を取りやすい環境かどうか」が気になると思います。
業務に支障がない限り、取得申請に対して僕が「NO」と言うことはありません。ただし忙期(2月5月)の取得は控えていただくことになります。
ちなみに、2021年の平均有給取得日数は年9日程度。半日単位の取得を奨励するなど、こまめに取得できるよう環境を整えています。



<フレックスタイム・在宅勤務>

2020年よりフレックスタイム制度を導入しました。コアタイムがあるなどの制約はありますが、職員各自が業務スケジュールを自分で管理し効率的に時間を使うことができるように指向しています。
在宅勤務は、2020年の緊急事態宣言発出後急きょ実施しました。現時点では宣言は解除されていますが、第6波の襲来に備え現在も条件を変えて実施しています。
やむを得ず導入した感もありますが、一定の手ごたえを感じており今後も継続したいと考えています。ただし税理士法上の解釈や物理的な環境整備など課題もあり、状況を見ながら実施する意向です。

<年収>

経営者である僕が言ってもあまり説得力はないとは思いますが、会計事務所としては「低くもなく、高くもない」水準だと思っています。
現スタッフの2021年の年収は300万円台〜700万円台です。
この年収には「決算賞与」が含まれています。事務所でその年の収入目標を達成した場合に達成超過額の一定割合を支給するというルールで、この金額は年により大きく増減します。
従って、基本給(月給)は毎年昇給しますが、決算賞与が減少した年は年収は減少する、ということがあり得ます。

以上思いつくまま、応募者がおそらく求めているであろう上甲会計事務所の「情報」を書いてみました。
もう一度言います。これを見て、あなたが興味を持たれたらぜひ応募していただき、「ああ、違うな」と思ったら他の会社を探してください。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。


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先日、当事務所のfacebookアカウントに、当事務所関係者及び当事務所を中傷する内容のメッセージが届きました。

発信者は偽名と思われ特定できませんが、その内容から当事務所のクライアントや取引先等業務関係者ではないと推定されます。

当事務所はメッセージを削除するとともに事務所のfacebookアカウントを停止しました。

昨今SNSによる誹謗中傷が社会問題となっていますが、それが決して他人事ではないことを知りました。

そしてその中傷が個人に対してのみならず、企業に対しても同様になされることに深刻さを感じずにはいられません。

企業はその大小を問わず、公の場でサービスを提供することにより社会経済活動を行っています。

それを個人と取り違え、企業を中傷することは企業に対する営業妨害行為として看過することができません。

当事務所は顧問弁護士と相談のうえ、証拠収集と発信者を特定する作業を進めるとともに、今後同様の行為が行われた場合は偽計業務妨害罪の適用を視野に入れて対応することとしました。

また所轄である加賀町警察署の指導を受け特定連絡先として登録するとともに、警備会社に連絡し防犯体制を強化することとしました。

当事務所のクライアントや取引先等業務関係者の方々にはご心配をおかけいたしますこと、心よりお詫び申し上げます。

なお万一皆様に当事務所に関する不審なメールや連絡等がなされた場合、直ちにその事実を保全していただいたうえで当事務所にご連絡ください。

令和3年7月24日

上甲会計事務所

所長税理士 上甲雅敬

vol.157(since 07/01/07〜) 

17/07/12

不動産を売却すると、その譲渡益に対して譲渡所得税が課されます。

譲渡益は、譲渡価額−取得費−譲渡費用 で計算します。

例えば、


・Aさんは、B市内の自宅(土地建物)を平成29年1月1日に4000万円で売却した
・この自宅は、平成元年に7000万円(土地5000万円・建物2000万円)で購入した
・建物の減価償却費1500万円、譲渡費用は200万円とします。

この場合の譲渡益は

譲渡価額4000万円−取得費5500万円(土地5000万円+建物2000万円‐減価償却費1500万円)

−譲渡費用200万円=△1700万円

となり、譲渡益がマイナスのため譲渡所得税は課されません。

ところがこの自宅を取得した平成元年の確定申告で、Aさんが「収用の特例(収用等に伴い代替資産等を取得した場合の課税の特例)」を受けていた場合はどうでしょうか?

Aさんは、今回売却したB市内の自宅に住む前は、C市内の旧自宅(Aさんの亡父から相続により取得)に住んでいました。その旧自宅が平成元年に道路拡張によって市に収用され、C市から交付された補償金でB市内の自宅を購入していたのです。

そうすると、Aさんは平成元年に確定申告が必要となります(収用補償金は、原則として譲渡所得の収入金額となります)。

平成元年、収用時の旧自宅の収用価額や取得費は、以下の通りでした。

・収用価額(受取補償金)7000万円
・取得費350万円(購入価額不明のため、概算取得費7000万円×5%)
・譲渡費用は250万円

そうすると、譲渡益は

譲渡価額7000万円−取得費350万円−譲渡費用250万円=6400万円

となり、もし特例を使わない場合、Aさんはこの譲渡益に対する譲渡所得税を平成元年に支払っていたことになります。

しかしこの譲渡が「収用の特例」の要件を満たしていたため、Aさんは確定申告により特例を受け、この譲渡益に対する税金を繰り延べていたのです。

重要なのは、この特例はあくまでも課税の「繰延べ」であり、決して「非課税」ではない、という点です。


「繰延べ」とは、「今回は課税しませんが、将来その代替資産を売却した時には課税しますよ」という意味です。

今回のケースでは、平成29年にAさんがB市内の自宅(=代替資産)を売却した時に、平成元年に繰り延べていたC市内の旧自宅の譲渡益に課税しますよ、ということになります。この場合、譲渡益の計算をする際の取得費は、その自宅の実際の購入金額ではなく、旧自宅の取得費を用いることになります

具体的には、取得費は実際の購入価額7000万円ではなく、旧自宅の取得費として平成元年に申告した600万円(350万円+250万円)から、建物の減価償却費(仮に100万円とします)を控除して計算します。

そうすると、譲渡益は、


譲渡価額4000万円−取得費500万円(600万円−100万円)−譲渡費用200万円=3300万円

となり、平成29年の確定申告において譲渡所得税が課されることになります

なお、税務署はこの資産が特例を受けている資産かどうか事前に教えてはくれません。数十年前の処理を、自分で覚えておく必要があります。

大赤字だと思っていた譲渡所得が、過去に納税を繰り延べていたことによって多額の税金を支払うことになった・・・・・
収用の特例は課税の「免除」ではなく「繰延べ」なので当たり前のことなのですが、売ったときにそのことを誰も教えてくれず、自ら覚えておかないといけない、というのは制度上の欠陥という気がします。税務署はAさんが不動産を譲渡したことを把握できるのですから、何らかの方法でその情報を開示すべきと思います。

とはいえ、現行制度では自分で覚えておく以外に対処法はありません。「収用の特例」のほかに、「買換えの特例」も同様です。以前住んでいた家を買い換えているような場合、特例を使用していないかどうか確認しましょう。

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vol.145(since 07/01/07〜) 

16/07/14

私たち会計事務所に対するお客様からの定番(?)の質問のひとつに

「帳簿書類は、いつまでとっておけばいいの?」

というものがあります。

帳簿書類には、法令上保存期間が定められています。

会社法上:帳簿閉鎖の日(=決算日)から10年
税法上 :申告書の提出期限から7年(法人税・所得税の青色申告者及び消費税)

では、会計上の「帳簿書類」とは、具体的に何を指すのでしょうか?

「帳簿」は総勘定元帳・仕訳帳・出納帳など、「書類」は請求書・契約書・領収書などをいいます。会計処理をするために必要なすべての書類、と考えていいでしょう。

これらの帳簿書類は「紙」で保管するのが原則ですが、税務署の事前承認により電子データやPDFなどの電子ファイルによる保存が認められています。しかしその要件が非常に厳しいことから、制度は事実上機能していませんでした。

その法令が改正され、「書類のペーパーレス化」がいよいよ現実味を帯びてきました。

国税庁HP「電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正されました」

具体的には、


・金額基準が廃止され、「帳簿」以外の全ての「書類」が、スキャナ保存の対象となった
・スキャナ以外に、デジカメやスマホによる撮影データも保存の対象となった

のが大きな特徴です。

例えば、従業員が事務用品を現金で購入し、後日経理で精算するような場合、

①従業員は領収書をスマホで撮影し、社内PCやクラウド等に転送(原本は経理に送付)
タイムスタンプ付与
③経理は原本を確認し、事後検査後原本廃棄

となります。

ただし、このスキャナ保存を開始するためには、

・開始する3月前の日までに、所轄税務署に対し承認申請が必要
タイムスタンプ認証局の利用が必要
適正事務処理要件規程を整備し、一定期限内での入力や相互牽制体制(小規模企業者の場合、税理士の検査でも可)の整備が必要

など、越えなければならないいくつかのハードルがあります。

マイナンバー導入、消費税のインボイス制度の導入、fintechによる自動仕訳の普及など、会計処理に関する実務は今後数年間で激変する可能性があります。
これら一連の流れは、いずれも会計業務の可視化、効率化を強力に押し進めるものです。「帳簿書類のペーパーレス化」は、急速に進むかもしれません。

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SL「yogisha=夜汽車」みなかみ。 

 なぜ汽笛の音は、あんなにも悲しげなのでしょうか。

vol.138(since 07/01/07〜) 

15/12/09

国外財産調書」「国外転出時課税」「国外居住親族の扶養控除」と続いた海外シリーズ、まだまだ続きます。
今回は消費税、いわゆる「リバースチャージ方式」の話です。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国内事業者の皆さまへ)
(国税庁HP)

消費税は、基本的に「国内取引」に対して課税され、「国外取引」には課税されません。
では、「国内取引」と「国外取引」の線引きはどこにあるかというと、取引の内容により個別に定められています。


例えば、貴社がある会社からサービス(=役務)の提供を受けて対価を支払う場合、その「サービス提供をする者」の事務所の所在地

国内にあれば 国内取引=課税対象
国外にあれば 国外取引=課税対象外


となります。

今回の改正のポイントは、

サービス(=役務)の提供のうち、「電気通信利用サービス(=電子書籍・音楽・映像などのデジタルコンテンツの配信や、クラウド利用等のサービス)の提供を受けた場合、
②その取引が国内か国外かの判定は、「サービスの提供を受ける者の住所等」による

とされたことにあります。

例えば、貴社(国内事業者)が、facebook(国外事業者)に広告料を支払いネット広告を掲載した場合、その取引は消費税法上

改正前:国外取引=課税対象外
改正後:国内取引=課税対象


となってしまったのです

さらに、「電気通信利用サービス(=役務)の提供」は、


・事業者向けのもの
・消費者向けのもの

に区分され、


事業者向けのもの(=特定課税仕入れ)については、消費税の課税対象として申告が必要となります。

これがとてもわかりにくいのですが、仮に上記のfacebookに対するネット広告料が10万円とすると、10万円を課税標準額に加算すると同時に、同額(10万円)を仕入税額控除に加算して申告するのです(これを「リバースチャージ方式」と言います)。

つまり、本来は国外事業者であるfacebookが支払うべき消費税を、facebookに代わって支払う、という理屈になります。
この金額は仕入税額控除の対象となるので、納税額は増加しないと思われるかもしれませんが、全額控除できるわけではありません。

なお、この規定が適用されるのは、「一般課税で、課税売上割合が95%未満の事業者」に限られます。つまり、簡易課税適用者や、免税事業者は適用外です。

次に、「電気通信利用サービス(=役務)の提供」のうち「消費者向けのもの」については、国外事業者に申告納税義務を課すと同時に、支払側は当分の間、仕入税額控除ができないこととされています。

例えば、amazonによる電子書籍の販売は、改正後は「国内取引」に該当し、かつ「消費者向けのもの」であることから、リバースチャージの適用はなく、仕入税額控除が可能、とも思われるのですが、これができないのです。

ただし、サービス提供者が「登録国外事業者」である場合は、仕入税額控除が可能とされています。
上記事例では、amazonが「登録国外事業者」であるかどうかを確認する必要があるわけです。

 →登録国外事業者名簿 ※平成27年12月31日現在のもの

なお、この改正は平成27年10月1日以後行う取引からすでに適用されています。

この改正は、国外事業者を通じたデジタルコンテンツの配信や、クラウド利用等の取引が近年増大していることに伴い、この取引に消費税が課されていないことに対応したもの、とされています。

貴社がインターネットを利用した取引をする際、相手が「国外事業者」であるか「国内事業者」であるかは殆んど意識しないと思います。ところがこの改正により、貴社の消費税申告に思わぬ影響を及ぼす可能性があるのです。まずは貴社の取引のうちに「電気通信利用サービス」があるかどうか、を確認することから始めましょう。

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おなじみの新橋駅前SLも、すっかりクリスマスモードです。

vol.137(since 07/01/07〜) 

15/11/06

ここ数回、「国外財産調書」「国外転出時課税」と海外関係の記事が続きましたが、今回も引き続き海外シリーズです。

 国外扶養親族に係る扶養控除等の適用について(国税庁HP)

概説すると、


年末調整又は確定申告の際、
・「国外居住親族」について「扶養控除」「配偶者控除」「障害者控除」等を受ける場合、
・「親族関係書類及び送金関係書類」(翻訳文を含む!)を添付しなければならない

と、内容は至ってシンプルです。

なお、この改正は平成28年分から適用されます。

では、もう少し詳しく見てみましょう。

国外居住親族
 非居住者である親族。具体的には、日本国内に住所がない、又は引き続いて1年以上居所を有していない親族をいいます。


親族関係書類
 次のいずれかの書類
 ・戸籍の附票の写し+パスポートの写し
 ・外国政府等が発行した書類(出生証明書・婚姻証明書など、氏名・生年月日・住所が記載されているもの)

 
送金関係書類
 ・外国送金依頼書・クレジットカード(いわゆる家族カード)の利用明細書など、国外居住親族の生活費・教育費として必要の都度支払ったことを明らかにする書類

特に貴社が外国人の方を雇用している場合、今後注意する必要があります。


外国人の社員の年末調整を行う場合で、その方の配偶者や被扶養者が海外にいる場合、今までは「扶養控除等申告書」などの書類に本人が記載した内容に基づいて「配偶者控除」「扶養控除」を適用すれば足りていました。
それが、今後は「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提示を求め、確認・判定する必要があるのです。

なお、これらの書類の提出時期は、


親族関係書類
 扶養控除等申告書に併せて提出(→平成28年1月の給与支払日まで)

送金関係書類
 年末調整実施時までに提出(→平成28年12月)

となります。

従業員の給与から、源泉所得税を正しく徴収する義務は会社にあります。
仮に、これらの書類がないのに控除を適用していた(=源泉所得税を少なく徴収していた)ことを税務署が把握した場合、税務署は徴収不足額の追加納付を、会社に対して(本人に対してではありません!)求めることになります。また。過少申告加算税は会社に課されます。

貴社が外国人を雇用している場合は、制度開始前の12月(来月です!)までに趣旨を説明し、書類取得の準備をしておきましょう。

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 首都圏のローカル線として名高い、南武支線。

新駅ができるというのですから驚きです。

vol.119(since 07/01/07〜)

14/04/07

4月になりました。新年度のスタートです。
私達が住む「税務の世界」では、4月1日から大きな改正が2つありました。


1 印紙税の非課税範囲の拡大  3万円未満→5万円未満


 国税庁資料「領収証」等に係る印紙税の非課税範囲が拡大されました(平成26 年4月1日以降作成されるものに適用されます)

 地味ですが、経理の現場では大きな改正です。無駄な印紙を貼らないように注意しましょう。

2 消費税率の改正  5%→8%


 国税庁資料「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」

 前回の消費税率引き上げ(3%→5%)が平成9年なので、17年ぶりの引上げとなります。
 経理の現場では、3月、4月の請求事務や支払事務の処理の際、「5%」なのか、「8%」なのか、で頭を悩ませるのではないでしょうか。

 前回は「経過措置」についての話をしましたが、ここではそれ以外の話に触れましょう。

①大原則(迷ったら、ここに戻ってください)

 3月31日までの取引→5%
 4月 1日以後の取引→8%

 例えば、貴社が製造業で、得意先に対して20日締めで、毎月末に請求書を発行しているとします。

 そうすると、4月分の請求書(4月30日発行)は、3月21日から4月20日までの納品分となり、

 3月21日〜31日までの納品分→5%
 4月 1日〜20日までの納品分→8%

 となり、1枚の請求書に「5%」と「8%」が混在することになります。

 そうすると、会計ソフトへの入力も「5%の請求額」と「8%の請求額」を分けて入力する必要があります。

 また、3月以前の納品分の請求処理を忘れていたため、5月分以後の請求書に追加して請求する場合、この忘れていた分のみ5%で処理する必要があります。

 会計ソフトへ入力する際、通常はその月の合計請求額のみを入力しているケースが多いと思いますが、今後しばらくは請求内訳を見て、「5%請求分」と「8%請求分」を区分することになります。

 これは貴社からみた「売上取引」の話ですが、もちろん「仕入取引」についても同様の処理が必要です。

②家賃収入(賃借料)

 賃貸借契約においては、「4月分の賃料を3月末日までに支払う」、いわば前払い方式が多いと思います。
 この場合3月31日に受け取った(支払った)4月分の家賃は、3月に支払ったのにもかかわらず、4月分なので8%、となります。

③その他

・クレジットカードの引き落とし
・仮払の精算
・自動引き落とし

 などについては、実際に購入等をしたのが3月だったのにもかかわらず、決済が4月以後になることがあります。
 これらは、3月以前の取引のため当然に5%、となります。

 経理処理をするにあたっては、今後数カ月は消費税で5%と8%との取引が必ず混在することになります。
 誤りのないよう十分注意しましょう。

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 引越祝で頂いたスコータイの焼き物を、花瓶にしてみました。 うーん、なかなか合います!

vol.118(since 07/01/07〜)

14/03/05


さあ、早や3月になりました。
今年の確定申告は、3月17日月曜日まで。
確定申告は、お早めに


特に還付申告の場合、早ければ早いほど還付時期も早まります。
e-taxだと、さらに早い
実は還付が遅れると、税務署は還付金に利息(=還付加算金)をつけなければならないのです。
最近は、税務署も懸命に無駄な支出を抑えようとしていますね。

さて、この確定申告、申告期限を過ぎてしまった場合はどうなるのでしょう?

確定申告をしなければならない人が、申告期限を過ぎた後に申告書を提出し税金を納めた場合、通常の税金(本税)のほか、「無申告加算税」と「延滞税」(=附帯税)が課されます

無申告加算税

  
①原則

 本税×15%(本税が50万円を超える場合、超える部分に5%加算」)

②特例1(軽減)

 税務調査等を原因としない提出(自主申告の場合)・・・本税×5%

③特例2(非課税)

 以下の全てを満たした場合、無申告加算税はかかりません。

 ・税務調査等を原因としない提出(自主申告の場合)

 ・本税が、申告期限までに納付されている

 ・確定申告書が、申告期限から2週間以内に提出されている

 ・過去5年間、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、この規定の適用を受けていない
 


延滞税(平成26年の場合) 

 本税×2.9%(〜法定納期限から2月)

 本税×9.2%(法定納期限から2月〜)

 例えば、あなたが確定申告書を3月17日までに提出できず、3か月後の6月17日に自主申告し、納税したとします。
 納めた税額(本税)は、50万円。

 この場合、課される附帯税は、

無申告加算税

 50万円×5%=2.5万円

延滞税

 50万円×2.9%×2/12+50万円×9.2%×1/12=0.6万円

 3.1万円

となります。

 注意しなければならないのは、延滞税は納付が遅れた「期間」に応じて課されるのに対し、無申告加算税は期限を1日でも遅れたら課されてしまう、という点です。

 期限間際の提出は、いろいろな意味で「危険」が伴います。最後にもう一度、このフレーズで締めたいと思います。

 「確定申告は、お早めに。」

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13/11/05

 先日、消費税の増税が正式に決定しました


 これにより、消費税率は原則として、

 平成26年3月31日までの取引→5%

 平成26年4月1日以後の取引→8%

となります。
(この1日の差があるために、いわゆる駆け込み需要が生じます)

 しかし、原則あるところ例外あり。旅客運賃、電気料金など一定の取引を対象に「経過措置」が設けられています。 この「経過措置」に該当した場合、平成26年4月1日以後の取引であっても5%が適用されます。


 では、どのような取引が「経過措置」の対象になるのでしょうか?
(主なもの)

1 工事の請負


 「平成25年9月30日」までに契約を締結した場合

→引き渡しが平成26年4月1日以後であっても、5%

 (住宅やアパートの建築契約が9月に集中したのは、このためですね。)

2 資産の貸付(ちょっとややこしいです)


 「平成25年9月30日」までの間に締結した「資産の貸付」に係る契約に基づき、

② 「平成26年4月1日」前から引き続き行われているもので、

③ 「一定の要件」に該当するもの

一定の要件」とは、次の「及び」

又は「及び」

を満たす場合をいいます。

 「貸付期間」及び「対価の額」が定められている

 対価の額の変更を求めることができる旨の定めがない(=賃料変更不可

 解約の申入れをすることができる旨の定めがない(=解約不可

 例えば、貴方が所有しているマンションの一室を、事務所として、月額10万円(税込10.5万円)で賃貸しているとします。

 (契約期間は平成25年4月1日から平成27年3月31日までの2年間、自動更新)

 この契約は、「平成25年9月30日」より前に締結されていることから、①②の要件は満たすこととなります。
 では、③の要件はどうでしょうか?

 契約期間が2年間、かつ賃料が10万円と定められているので、はOKです。
 

 しかし、通常の賃貸借契約では「賃料を改訂することができる」との定めがあるので、には該当しません。
 また、通常の賃貸借契約では「解約条項」があります。このため、にも該当しません。


 よって、③の要件を満たさないため、通常の賃貸借契約は経過措置の適用がありません。

(このケースでは、平成26年4月分より税込賃料は10.8万円となります。)

3 リース取引
  以下の3つのパターンがあります。

① オペレーティング・リース(賃貸借取引)

     平成26年4月1日以後支払分のリース料より→8% 


② 所有権移転外ファイナンス・リース(売買取引)

     「平成25年9月30日」より前に締結されたものについては、経過措置の適用あり

→平成26年4月1日以後支払分のリース料も5%


③ 平成20年3月31日以前に締結したリース取引(7年リースなど)

→平成26年4月1日以後支払分のリース料も5%


 ①と②の違いは分かりにくいと思いますが、リース料を支払う側からすると、リース会社からの通知に基づいて処理すれば問題はないでしょう。

 消費税は更にこの1年半後、平成27年10月1日に10%への引上げが予定されています。その時、この「経過措置」の話題が再び持ち上がることになります。


 また、しばらくは「5%」「8%」「10%」の3つの税率の取引を別々に管理する必要が生じます。大変わかりにくい「経過措置」ですが、これを機に十分に理解しておくと共に、消費税改正に対応した会計ソフトを導入するなどの検討をすることをお勧めします。

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13/09/03

 昨年の11月、当事務所は中小企業経営力強化支援法に基づく「経営革新等支援機関に認定されました!(パンフ参照

 この法律の目的は、中小企業者の経営力を高めるための支援策として、①専門家等を派遣して経営状況の分析や事業計画の策定を助言し、また②信用保証協会の保証付与や保証料の引下げを図る、というものです。


 ここでいう「専門家」が、「経営革新等支援機関」になります。

 では、「経営革新等支援機関」になると、一体何ができるのでしょうか?
 具体的には、以下のような施策が予算措置されています。


1 新事業展開・起業創業に対する補助金

・ものづくり補助金(試作品開発・設備投資に対する補助)
・起業・創業促進補助金(創業・第二創業に対する補助)
・小規模事業者活性化補助金(新事業活動に対する補助)

2 資金繰り支援

・経営改善計画策定支援(計画策定費用に対する補助)
・経営支援型セーフティネット貸付(金融公庫・商工中金)、経営力強化資金(金融公庫)
・借換保証・経営力強化保証(保証料減免)

3 税制優遇

 ・経営改善設備(建物附属設備・器具備品)を取得した場合の特別償却又は特別控除

 これらの制度は、全て「認定支援機関による支援」を受けることが必須条件となっています。


 例えば2の場合、事業計画(概ね5年程度)を作成することが要件となっていますが、その計画に対する検証・経営指導、また進捗状況の確認を、認定支援機関が定期的に実施しなければなりません。

 つまり、認定支援機関の「お墨付き」があれば、これらの制度の活用が可能ですよ、ということです。


 では、この「お墨付き」を受けようと考えた場合、皆さんはどのように認定支援機関を探せばよいのでしょうか?


1 顧問税理士が、認定支援機関であるかどうか確認する


 平成25年7月現在で、認定支援機関の数は約13,000機関、うち約8割は税理士です。御社の財務内容をよく知っている顧問税理士に依頼するのが最もスムースな方法です。

2 認定支援機関を紹介してもらう

 
 顧問税理士が認定支援機関でない場合は、支援機関を別途探す必要があります。その場合、取引のある金融機関や、商工会議所などに紹介してもらうのがよいでしょう。また、金融機関や商工会議所自体が認定支援機関であることもあり、この場合は税理士等と連携してサポートが行われます。


 ただし、このケースでは、支援機関は御社の経営分析をゼロから始めることになるため、1のケースよりも時間と費用を要します(制度によっては、このコンサルティング費用に対する補助金が支給されます)。
 また、経営計画を策定し制度を利用した後も、支援機関のフォローが必要になるため、支援機関とは長い付き合いになります。つまり、支援機関と信頼関係を築けるかどうかがポイントになることを頭に入れておく必要があるでしょう。


 この中小企業を支援する制度は、まだ産まれたばかり。定着・普及はこれから、といったところでしょう。しかし、もし御社にとってメリットがあるのなら、使わない手はありません。是非、私達認定支援機関をうまく使って、御社の経営革新に役立ててください。

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13/05/01

 前回の記事でも触れた通り、平成25年度の税制改正は久しぶりに大型改正となりました。「相続税の基礎控除の引下げ」「教育資金の一括贈与の非課税」「中小企業交際費の非課税枠拡大」など、中小企業の経営者や生活者に身近な内容が目白押しです。   また、今回の改正ではありませんが、「消費税率の引き上げ」も間近に迫っています。

 ところで、改正がある場合に注意しなければならないのが「いつから新制度が適用になるのか?」ということです。

 そこで、今回は平成25年度税制改正のうち、主なものの「適用時期」を列挙します(法人税以外)。

1 相続税

・ 基礎控除の引下げ(5000万円→3000万円):平成27年1月1日以後相続
・ 増税(最高税率50%→55%):平成27年1月1日以後相続
・ 居住用小規模宅地の面積拡大(240㎡→330㎡):平成27年1月1日以後相続
・ 居住用小規模宅地の条件緩和(2世帯住宅・老人ホーム):平成26年1月1日以後相続
・ 事業承継税制の緩和:平成27年1月1日以後相続・贈与
  ただし、事前確認制度の廃止は平成25年4月1日以後相続・贈与

2 贈与税

・ 増税(最高税率50%→55%):平成27年1月1日以後贈与
・ 直系贈与の税率緩和:平成27年1月1日以後贈与
・ 教育資金一括贈与の非課税:平成25年4月1日-平成27年12月31日拠出

3 所得税

・ 住宅ローン控除(最大20万円→40万円):平成26年4月1日以後居住
  ただし、消費税の経過措置の適用を受ける場合20万円
・ 株式譲渡所得の分離(上場株式譲渡損と非上場株式譲渡益の損益通算の禁止):平成28年1月1日以後譲渡

4 消費税

・ 8%への引き上げ:平成26年4月1日以後の資産の譲渡
  ただし、経過措置有(etc.平成25年9月30日までに工事請負契約を締結した場合、引き渡しが平成26年4月1日以後であっても5%)
・ 10%への引き上げ:平成27年10月1日以後の資産の譲渡

5 印紙税

・ 領収書の非課税3万円→5万円:平成26年4月1日以後作成文書

 以上、見ていただいてわかる通り、適用のタイミングは「バラバラ」なのです。
 既に始まっているのは、「事業承継税制の事前確認制度の廃止」「教育資金一括贈与の非課税」のみ。
 つまり、「税率が低くなってから贈与したい」場合や、「消費税が5%のうちに住宅を購入したい」と場合などは、「改正がいつから適用になるのか?」を充分に注意して準備する必要があるのです。

 なお、平成25年度の税制改正は、現時点では詳細がまだ明らかになっていないものが多くあります。与党に復帰した自民党政権下で、バタバタと「やることだけ」決めたので、政令の発布が間に合わなかったのです。上記の改正時期についても、今後の政令等によっては変更になる可能性があることをご了承ください。

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12/09/03


 最近、国税庁が「課税上の取扱いの変更」に関するお知らせを2件、相次いでHPに公開しました。

1 「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更について(平成24年7月)

2 ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いについて(平成24年8月)

 具体的な内容は今回の記事のテーマではありませんので、詳細は国税庁HPを参照してください。


 この2つの「課税上の取扱の変更」には、共通点があります。

 それは共に「裁判又は裁決で、国税庁が納税者に敗訴したため、納税者に有利な(つまり、税金が少なくなる)ように税金の計算方法を変更することになった」ことです。


 日本では、税務訴訟における納税者の勝訴割合はきわめて低いのが現状です。その中で、立て続けに国税庁が取り扱いを変更するような重要な裁判又は裁決が続いたのは、画期的なことであるといえます。

 さて、本題はここからです。


 例えば2の「ゴルフ会員権」については、HP上にこのような記載があります。

 「所得税の還付手続
 上記の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税が還付となります。
 更正の請求をする場合は、更生計画等上記2に掲げた内容が分かる書類を併せてご提出ください。
 なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされていますのでご注意ください。」

 つまり、この2の例で言えば、

① 過去に同様の事例で申告した人も、「更正の請求」をすることにより所得税の還付が受けられる。

② ただし請求期限があり、取扱いの変更を知った日(ここでは、ホームページに掲載された日である8月23日とします)の翌日から2月以内、10月23日までとなる。

③ 既に5年を経過している年分の所得税は対象外なので、平成18年分以前の所得税(平成19年3月15日納期限)は対象にならない。

 と、かなり制限があることがわかります。

 「更正の請求」とは、納め過ぎた税金を還付してもらう手続きで、納税者の権利といえます。平成23年12月の法改正で、過去5年分まで遡って請求できるようになるなどその権利は近年拡充されています。しかし今回のようなケースでは、納税者が「取り扱いの変更」自体に気付かないこともあり、税金を還付してもらう機会を逸してしまうことにもなりかねません。

 「取り扱いの変更」に伴う「更正の請求」を忘れないようにするためには、現状では国税庁の発する情報に気を付ける、といった程度しか対策のとりようがありません。上記の件で心当たりのある方は、税務署や顧問税理士に早めにお問い合わせをすることをお勧めします。

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12/04/02


 前回、前々回と確定申告関連の記事が続きました。申告期限の3月15日が過ぎて、本年の確定申告業務は終了しました。
 ところで先日、クライアントからこんな相談があったので、今回も確定申告の関連記事を続けます。


 申告期限である3月15日を過ぎた後に、医療費の領収書が大量に出てきました。もう確定申告書は提出済みです。「ああ、あと10日早く出てきていれば・・・・・。先生、もうダメですよね?」

 あきらめるのはまだ早い。「更正の請求」をして、税金を還付してもらいましょう。

 「申告書を提出した後で、「所得金額」や「税額」などを実際より多く申告していたことに気付いたときには、「更正の請求」という手続きにより訂正を求めることができます。」

 (更正の請求の改正のあらまし.pdf) 

 この「更正の請求」という制度は以前からあったのですが、平成23年度の税制改正で、更正の請求ができる期間が、「法定申告期限」から5年(改正前は1年)に延長されました。

 例を挙げましょう。

(ケース1)

 平成23年分の確定申告を行いました。法定申告期限は平成24年3月15日です。ところが6月になって、寄附金控除をし忘れたことに気付きました。

 →この場合、「更正の請求」をすることができます。そしてその期限は、「平成29年3月15日」となります。

(ケース2)

 では同様に、平成22年分の確定申告(法定申告期限:平成23年3月15日)で寄附金控除をしていなかったことを、今気付いた場合はどうでしょうか?

 →この場合の「更正の請求」の期限は、「平成24年3月15日」です。残念ながら、「5年」に延長となったのは「平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税」なので、このケースでは改正前の「1年」が適用されるからです。

 しかし「それではかわいそうだ」ということなのでしょうか?所得税の場合、法定申告期限から3年以内であれば「更正の請求」ではなく「更正の申出書」を提出することにより減額更正を行うこととされました。

 つまりケース2では、平成26年3月15日までに「更正の申出書」を提出すれば、税金の還付が受けられることになります。

 この「更正の請求」制度を利用する場合、注意しなければいけないことがあります。それは、「調査によりその内容の検討をして、納めすぎの税金があると認められた場合」に限り還付する、とされていることです。ここで言う「調査」は、書面の調査のみならず、いわゆる通常の「税務調査」も含まれます。つまり「更正の請求」をすると、税務調査があると思っておいた方がいい、ということです。

 また今回の改正により、「更正の請求」をする場合には、「事実を証明する書類の添付」が必要になりました(上の例で言うと、寄附金の領収書になります)。実務上、今までも「更正の請求」をする場合には書類の添付を求められていたので、それが法制化されたということになります。逆に言うと、きちんとした書類の添付があれば、調査の可能性は少なくなる、と言えます。

 なお「更正の請求」の改正に伴い、税務署が行う「増額更正」の期間も従来の「3年」から「5年」に延長されました(所得税の場合)。つまり、納税者の「権利」と「義務」を行使する期間が統一されたことになります。いずれにせよ、今回の改正は私たち納税者の「税金」に対する意識を高めるいいきっかけになると思います。「税金を払いすぎた」と後から気付いたら、更正の請求をして「正しい税額」に改め、払いすぎた税金を還付してもらいましょう。

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09/12/19


 先日、ある税理士の先生と、わずかな時間ですがお話をする機会がありました。この先生は当事務所顧問である山口の盟友とでもいうべき方で、私にとって大先輩であるのはもちろん、山口会計から上甲会計へと事業承継した私たちを見守っくださっている方です。

 以下、先生と私の会話(問答?)です。


 「上甲さんにとって、今年はどんな1年でした?」
 「大変な1年でした。不況の影響からか、お客さまに思ってもみなかったようなことがいくつも起きました。」


 「去年=上甲会計開業1年目と比べて、どうでした?」
 「昨年は1年目でしたが、今思うと極めてスムースに承継できたと思います。ところが今年は不況の影響や、私がTKCの活動に時間を割くようになったこともあって、昨年とはガラリと変わりました。」


 「そんな1年の中で、上甲さんが得たものは何ですか?」
 予想外の質問に私は一瞬言葉に詰まりましたが、頭に浮かんだことを率直に言いました。
 

 「皆さんが助けてくれたおかげで、何とか乗り切ることが出来ました。山口会長、職員、同業の諸先輩方、関連業者の方、皆さんの助けがなかったら、この厳しい1年を乗り切ることは出来ませんでした。お客様にも、いろいろなことを教えていただきました。」

 図らずも、いや先生のおかげで、この言葉が私にとっての2009年の総括となりました。


 あっという間に師走になり、2009年も間もなく終わろうとしています。
 

 そして今年も思うのは、昨年以上の皆様への感謝の気持ちです。

 「感謝」という言葉は同じですが、この1年が厳しかった分、また年月を少しずつ積み重ねた分、昨年よりも言葉の重みが増しています。

 そしてこの感謝の気持ちを、お客さまひとりひとりに最上のサポートをすることによって応えていきたいと思います。


 2009年、皆様には大変お世話になりました。
 そして、2010年を一緒に良い年にしていきましょう。

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08/12/23

 早いもので、今年も残りわずかとなりました。師走になって文字通り方々走り回る毎日(私の場合、「師走」ではなく「士走」ですが・・・・・)で、ブログの更新をすっかり後回しにしてしまいました。

 2008年は、私が上甲会計の所長としてスタートをした記念すべき年ですが、今はこの1年をゆっくり振り返る余裕がありません。

 ただ、ほんの少し立ち止まって考えたとき、まず思い浮かんだのは「感謝」という言葉です。

 お客さま、職員のみんな、山口会長、先輩・同僚の税理士、他士業の方々、関連業者の方々、友人、家族・・・・・私の周りの多くの人達が、新米経営者である私を受け容れ、支えてくれたからこそ、私と上甲会計は2008年を無事に終えることができるのだと、切に思います。

 この1年間支えていただいた皆様に、心から感謝申し上げます。

 そして感謝を「表現」するために、さらに自分を磨き、上甲会計の業務を通じて周りの皆様のお役に立ちたいと思います。

 2008年の1年間、本当にお世話になりました
 2009年も上甲会計は、皆様と共に、一歩ずつしっかりと前進していきます

 皆様、どうぞ良い御年をお迎えください。

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08/11/09

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 最近、ある歴史小説にはまっています。
 

 その書は、北方謙三著 「楊令伝」

 かの有名な「水滸伝」の続編、とも言うべき本で、現在第7巻まで出版されています。次巻の出版が、待ち遠しくて仕方ないほどはまってしまいました


 ところが、意外な事実が私がお客さまにその話をしたところ、意外にも「僕も読んでるよ」と言われた経営者の方が、何人もいらっしゃったのです。打ち合わせの途中で、この書の話題で盛り上がることもしばしばです。


 この小説が、(私の知る限り)経営者の方に好まれているのは、「自分の会社を経営する」という自分の「舞台」を、この小説に置き換えて読んでいるからではないでしょうか?

 極限まで追い詰められた状況の中で、知と力の限りを尽くして、自分の志を全うしようとする登場人物たち。彼らは皆、人並みはずれた「強さ」を持つ反面、人間としての「弱さ」を併せ持っています(その「人間臭さ」こそが、この書の魅力なのです)。数多くの歴史小説と同様、この書には「 経営者として、生きるためのヒント」がちりばめられています。


 使い古された言葉ですが、「歴史は繰り返す」と言います。「歴史」とまではいかなくても、昨今の金融情勢を見れば、誰もがバブル崩壊後の「経験」を思い出すはずです。


 そして、その時金融機関や取引先がどのような行動をとったか。売上が減少する中、経営者としてどのように会社の舵取りをしたか。その時「経験」し、学んだことは、きっとこれから活きるでしょう。


 今後日本経済に何が起きるかは予想できませんが、経営者が信念に基づいて方針を示し、従業員と一丸となって実行すれば、どんな難局も必ず乗り切ることができるはずです。


 余談ですが、今の歴史教科書は、私たちが学んだ時とはどんどん変わっているそうです。聖徳太子の実在が否定されたり、鎌倉幕府の成立が1185年だったり・・・・・。歴史は、変わるものなのですね。

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08/10/06

 先日、某証券会社の担当者Nさんと、久しぶりにお会いしました。


 彼の顧客で税理士を探している人がいるというので、私を紹介してくれることになったのです。(本当に、ありがたいお話です)

 私は感謝の言葉を述べつつ、証券マンである彼に、率直な疑問をぶつけてみました。

 「この大変厳しい経済状況の中、Nさんは証券マンとして、今顧客にどういう商品を勧めているの?」


 当たり前のことですが、証券会社は投資商品を顧客に販売してなんぼ、の商売です。商品を売らなければ、手数料は入ってきません。

 すると、Nさんはこう言いました。

 「もちろん投資のプロとして、現状分析と今後の見通しは持っていますが、このような状況下で積極的な投資は基本的にはおすすめしていません。
 であれば、投資以外でお客さまの利益になること、お客さまの悩みを解決することが、今私たちが顧客に提供できる最大のサービスと考えています。」


 そんな経緯で、Nさんは顧客に私を紹介してくれたのです。

 私はNさんの姿勢に、すっかり感心してしまいました。

 実は数年前私がNさんと初めて会ったとき、Nさんはまだ新人で、上司に付いて営業マンの勉強中、という感じだったのです。

 それが今では身のこなし、応対のしかたから考え方まで、完ぺきな 「営業マン」になっていました。それもいわゆる一昔前の押しの強いイメージの「旧・営業マン」ではなく、相手のことを第一に考え、自分の考えを決して押し付けず、相手のニーズを引き出して提案をする、「いまどきの営業マン」に。

 私のNさんに対する信頼が、とても強固なものになったのは言うまでもありません。「この人とは、末永くお付き合いをしたい」と、短い時間でNさんは私に思わせたのです。

 そして、翻って私たちも、お客さま一人一人のニーズに合ったサービスを提供し、お客様との信頼関係をよりいっそう深めていきたい、と切に感じたのでした。

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08/08/05 

 上甲会計のお客さまには、株式会社や有限会社などのいわゆる「営利法人」のほかに、財団法人、社会福祉法人、NPO法人、同業者団体などのいわゆる「非営利法人」も多数いらっしゃいます。


 今年の12月に、新しい公益法人制度が施行されます。それにより、現行の財団法人・社団法人は「公益社団・財団法人」と「一般社団・財団法人」とに区分されます。

 新制度では、「一般社団・財団法人」は、登記のみで設立可能となります。これらの法人のうち、主に公益目的事業を行っているなどの一定の要件を満たしているものは、行政庁から公益認定を受けることにより、「公益社団・財団法人」として取り扱われます。

 さて、この新制度に対する課税関係はどうなるのか?が気になるところです。平成20年度の税制改正で公益法人税制が整備され、このたび国税庁からパンフレットが公表されました。

     平成20年7月国税庁「新たな公益法人関係税制の手引」(PDF)

 ごく簡単にいうと、

① 公益社団・財団法人

 ・ 公益目的事業については、法人税は課税しない。

 ・ 収益事業を行う場合、中小法人の税率(一定の所得まで22%)で課税する。

 ・ 寄付金優遇税制の対象となる。みなし寄付金の適用あり。


② 一般社団・財団法人

 「非営利型」と「一般型」とに区分する。

 ●非営利型・・・「一般社団・財団法人」のうち、非営利性が徹底された法人・共益的活動を目的とする法人

 ●一般型・・・「非営利型」以外の法人

 ・ 非営利型

  収益事業を行う場合、中小法人の税率で課税する。

 ・ 一般型

  普通法人と同様、全ての所得に対し課税する(中小法人の税率)。

 となっています。

 税制が整備されたことにより、

① 現行の社団・財団法人は、「一般社団・財団法人」又は「公益社団・財団法人」のいずれかを選択する(現行法人は12月1日以後「特例民法法人」として存続し、5年間でいずれかに移行することになっています)

② 現在法人格を持っていない、同業者団体・マンション管理組合・大学のOB会・地域コミュニティ・福祉団体などが、法人格を取得する

 上記の流れが加速することが予想されます。


 収益事業の判定や、NPO法人との棲み分けなど課題もありますが、新しい公益法人制度について一応の環境は整ったことになります。

 上甲会計では、公益法人制度の今後の動向を注意深く見守っていきたいと思います。

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08/07/19

 先日、私が参加している税理士の勉強グループに、三菱東京UFJ銀行の融資担当者を招いて勉強会を行いました。


 三菱さんは最近、私が所属する税理士のネットワーク、TKCととても熱心に交流をしています。

 三菱さんのような「メガバンク」は中小企業とは無関係、というのはもはや過去の話。三菱のみならず、三井住友やみずほなども、近年は中小企業への融資を積極的に行っています。

 金融機関は、融資をしないと商売になりません。銀行は、お金を貸したいのです。しかし融資をするには、融資先が一定の基準=格付をクリアする必要がある。だから銀行は、どのような決算書が銀行から見て「貸しやすい」決算書なのかということを、勉強会等を通じて私たち税理士に伝えているのです。(以前の勉強会の記事はこちらを参照してください。)

 さて、今回のテーマは、赤字会社や債務超過の会社がどのようにして「格付」をアップしていくか、ということです。

 ご存じのように、これらの会社は形式的には「要注意先」と格付けされます。そうすると、以後の融資は難しくなります。


 しかし融資先が中小企業の場合、銀行は大企業にするのとは違った基準で評価を行います。三菱さんの場合、中小企業独自の判定基準として、次の3つの点を評価するとのことでした。

① 会社独自の強み(営業力、技術力など)を持っていること
② 足元の業績が明るいこと(利益は横ばいだが、売上は増加しているなど)
③ 社長個人の資力があること

 この3つのうち、最低2つ以上に当てはまれば、評価が上がる可能性がある、とのことでした。特に①に関しては、外から見ると素晴らしいものを持っているのに社長自身が把握していない、ということも多いそうです。ぜひ一度、自分の会社の「強み」を分析してみてください。意外な評価につながる可能性があります。

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08/05/06

 今回は、大変わかりにくい「リース」についての話です。 

 平成19年度の税制改正(つまり、前年です)で、リース税制について大きな改正がありました。

 会社がリース会社から資産を「リース」により賃借した場合、会社はリース期間中、リース会社に対し「リース料(一般的には、毎月定額)」を支払います。会社は、その支払った金額を「リース料」又は「賃借料」などの科目で支払いの都度経費に計上する、というのが従来の処理方法でした。

 改正後は、「リース取引」を行った場合、リース資産の引き渡しを受けた時点で「売買」があったものとされます。つまり、税法上は「リース物件をリース会社から購入した」ことになるのです。

 会計上は、リース資産の引き渡しを受けた時点で、会社はリース期間中に支払うリース料総額相当額を「リース資産」として資産計上するとともに、同額を「リース債務」として負債に計上することになります。(この規定は、平成20年4月1日以後締結するリース契約より適用されます。)

 また、このリース資産は「リース期間定額法」により減価償却を行うこととなります。一般的なリース取引であれば、この「リース期間定額法」により計上される「減価償却費」と、支払う「リース料」の金額は一致します。

 ただし、法人(所得)税法は「例外処理」も認めており、今まで通りリース料の支払いの都度「リース料」として経費処理しても、それは「減価償却費」として取り扱うこととされています。上述のとおり、通常「減価償却費」の金額と「リース料」の金額は一致するので、従来どおりの経理方法でも利益や課税所得の金額には影響しません。

 ところが、この改正で大きく変わるのが消費税の取り扱いです。

 改正前は、リース料の支払いの都度「課税仕入れ」としていました。ところが改正後は、リース資産の引渡しを受けた時点でリース資産を「購入」したものとされます。つまり通常の資産購入と同様、資産引渡し時に、リース料総額相当額を「課税仕入れ」として仕入税額控除を行うこととされました。

 注意しなければならないのは、消費税では法人(所得)税のような「例外処理」はない、ということです。つまり、会計上「例外処理」をし、リース資産及びリース債務を計上せず、今までどおりリース料を経費処理する場合でも、消費税ではリース資産の引渡し時に仕入税額控除を行わなければいけません。

 以上の通り、リース取引は、

  法人税・所得税法上 原則:売買処理 (例外:賃貸借処理)

  消費税法上      売買処理     (例外なし)

というのが改正の内容です。

 またひと口に「リース取引」としましたが、実際にはリース取引にはいくつかの種類があり、全てのリース契約がこの規定の適用を受けるわけではありません。リース契約ごとに、契約書の内容や取引の実態にしたがって判定することになります。

 今後、いろいろなパターンの「リース商品」が生まれる可能性があります。まだまだ情報が少ないのですが、今後リース契約を締結する際には、以上の点に注意して契約及び会計処理をする必要があります。

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