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vol.240(since07/01/07~)
25/08/05NEW!
令和6年12月、国税庁は「令和5事務年度における相続税の調査の状況」を公表したのですが、その中で下記のような記載がありました。
2相続税の簡易な接触の状況
実地調査を適切に実施する一方、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)の手法も効果的・効率的に活用し、適正・公平な課税の確保に努めています。
この「簡易な接触」という文言は、相続税のみならず、所得税や法人税、消費税の調査の状況の報告書においても記載されています。
この「簡易な接触」とは、税務調査の一部なのでしょうか?
そして課税庁の「簡易な接触」に対して、私たちはどのように対応すればよいのでしょうか?
その前に整理しておきたいことがあります。
課税庁が実施する「税務調査」と「行政指導」の違いについてです。
納税者が所得税や贈与税・相続税などの税務申告書を提出した後、課税庁はその申告内容を確認するために、特定の納税者に対し質問検査等を行うことがあります。
これを一般に「税務調査」と呼んでいますが、税務調査を行うためには課税庁は原則として事前通知を行わなければならない等その手続きは法令等により定められていて、その定められた手順通りに行われます。
一方で、申告内容を確認するという目的は同じでありながら、この「税務調査」の手続きを経ずに、課税庁が特定の納税者に接触することがあります。これが「行政指導」です。
国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」の中に、以下のようなFAQがあります。
問2 税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査のほかに、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。
と記載されています。さらには、
このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
と記されています。最後に
なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。
と締めくくっています。
このFAQでは「税務調査」と「行政指導」は異なる、ということを強調しているのですが、整理すると、
「税務調査」は、課税庁が国税通則法の規定により行う質問検査権の行使であり、納税者はその受忍義務を負い、不答弁等の義務違反に対しては刑罰の対象になり得ます。
また税務調査後に修正申告書等の提出があった場合は、過少申告加算税10%(無申告加算税15%)が原則課されます。
「行政指導」は、納税義務者の自発的な意思に基づく協力を求めるもので、納税義務者に何ら法令上の義務を負わせるものでなく、法令により定められている調査開始・終了など通知等の必要はありません。
この行政指導後に修正申告書等の提出があった場合は、原則として過少申告加算税は付加されず、無申告加算税は5%に軽減されます。
つまり私たちは税務署等から接触があった場合、それが「税務調査」なのか「行政指導」なのかをまず確認する必要がある、ということになります。
その違いにより対応の方法が異なり、最終的に課税される税額が異なる可能性があるからです。
さて話を戻します。「簡易な接触」とは、税務調査、行政指導のどちらにあたるのでしょうか。
実は国税庁の上記FAQなどの文書には「簡易な接触」が税務調査であるか行政指導であるかの明示がありません。
もっとも上記趣旨からすれば、「簡易な接触」は行政指導の一部である、と推測されます(断定はできません)。
課税庁は近年「簡易な接触」に力を入れているとのことですがが、その接触がそもそも「簡易な接触」なのか、つまり税務調査なのか行政指導なのかはいちいち確認しないとわかりません。FAQでは「いずれに当たるのかを納税者の方に明示する」とされていますが、そもそも納税者にその知識がなければ聞いてもスルーしてしまうでしょう。
私たちは税務調査と行政指導の違いを頭に入れたうえで、その接触に関して確認、対応する必要があります。
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