事業承継の実務・自社株式

 

 

 

 さて、事業承継において退職金の支払いと同様に、いやそれ以上に重要なのが、「先代社長が保有している自社株式を、どのようにして後継者に譲り渡すか」ということです。
 

 

 「オーナー社長」と言う名の通り、多くの中小企業は社長(及びその親族)がその会社の株式の大部分を保有しています。たとえ代表取締役を退任しても、株式を保有している間、先代社長はその会社の経営全般の最終決定権を持ち続けることになります。
 

 

 自社株式は事業承継とともに後継者に譲り渡し、後継者がその会社の新たなオーナーとなる、というのが理想的な事業承継の方法です。

 

 

 ところが、ここで厄介な問題が生じます。 「その自社株式は、いくらで譲り渡したらよいか」ということです。自社株式の値段を決める場合には、通常「税務上の評価額」がひとつの基準となりますが、この「評価額」が思わぬ高値になることがあるのです。

 

 

 オーナー社長が会社設立時に出資した100万円(の自社株式)の評価額が、事業承継の際には10倍、20倍になっている、というケースは珍しくありません。後継者にその評価額で買い取ってもらえば問題はありませんが、値段によっては後継者が取得資金を用意できないこともあります。

 

 

 また後継者が親族である場合は、株式を贈与するという方法がありますが、一時に贈与すると多額の贈与税がかかるケースがあります。

 

 

 自社株式をスムースに譲り渡すためには、@株価が下がったタイミングで譲渡(または贈与)するA相続時精算課税制度を利用して贈与するB長期的に連年贈与する、などの方法がありますが、どの方法もメリット・デメリットがあり、またいずれの方法も簡単ではありません。

 

 

 そこで平成21年度の税制改正で創設された、いわゆる事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予)を利用するという方法があります。まだできたばかりの制度で実績がなく、また適用要件等はかなり複雑ですが、身内の後継者が確実に決まっている場合、スムースな事業承継に大きな効果を生じるケースがあります。

 

 

 以前の記事でも触れましたが、社長は自分の会社の値段が今いくらなのかを知る必要があります。その自ら築いた「自社株式」という財産を、後継者にスムースに引き渡すことによって事業承継は完成します。自社株式の譲り渡しは、後継者が決まった時点で計画を策定し、時間をかけて実行する必要があります。

 

 

→次は、事業承継の実務・個人保証など

 

 

 

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なぜ今、自社株式の処分のタイミングなのか?

vol.123(since 07/01/07〜) 

14/08/11

 


 中小企業のオーナーが事業承継や相続対策を考えた時、最も重要なのは自社株式の処分方法です。

 


 換金できない財産でありながら、会社経営に決定的な影響を及ぼすこの「バトン」を、いつ、誰に、どのようにしてリレーしていくのか?
オーナーが最も頭を悩ます場面です。

 

 

 自社株式の処分を考えた時、まず自分の会社の株価=評価額を知る必要があります。これがまたやっかいで、非上場株式の場合、評価の目的や計算方法によっていろいろな金額が出てきてしまうのです。ここでいう「株価」は、相続や贈与の場合に使用する「相続税評価額」に限定します。

 

 

 その自社株式の価額=相続税評価額が、今年は上昇に転じた、と言ってよさそうです。

 

 

一般的に、非上場株式の相続税評価額を決める要因は2つあります。

@同業他社の平均値(類似業種比準価額 国税庁より随時発表される)
A会社の純資産(純資産価額

そして、会社の規模により、この@とAをミックスして価額を決定します。

 

 

 この計算式によると、仮に今年会社の業績が悪かったとしても、国税庁が発表する統計値が上がったり、会社が所有している上場株式の相場や土地の路線価が上がったりすると、相続税評価額は自動的に上がってしまうのです。

 

 

 そして今年の傾向は、@A共に、昨年に比べ上昇していることにあります。
(それも、「こんなに上がっちゃうの?」というレベルで上がっています。)

 

 

 なぜそんなことが言えるかというと、上甲会計のクライアントには決算が終了すると毎年自社株式の評価を行っている会社があるのですが、それらの会社の今年の株価が明らかに上昇しているのですグッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)

 

 

 もちろん、株価の変動要因は会社により千差万別なので、全ての会社が上昇するというわけではありません。しかし、日本経済(上場企業)の業績回復、株式相場の上昇、路線価の上昇などの「外部要因」は、一見無関係に見える非上場株式の相続税評価額を確実に押し上げます。

 

 

 来年からは相続税・贈与税も増税となります。
 
10年前に一度株価を評価したままその後は評価していない、という会社も多いと思いますが、今いちど現在の自社株式の評価額を確認してください。そのうえで事業承継対策とオーナーの相続対策を立て、自社株式の処分を検討してください。

 

 

株価が上昇局面に転じた今、そのタイミングが来ています。

 

 

 

 

 

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乗り鉄シリーズ SL水上号

 SLには大自然がよく似合う

前所長の新著「非上場株式の相続・贈与をめぐる評価と課税の実務」が発売されました!

vol.131(since 07/01/07〜) 

15/04/14

 

 

 同族会社(非上9257_57145.png場)株式の評価に関する関心が、近年高まっています。

 →なぜ今、自社株式の処分のタイミングなのか?

 

理由は、ふたつあります。
ひとつは、相続税の増税により、相続財産としての存在感が高まっていること。

 


もうひとつは、事業承継
オーナー社長が所有する株式を、いつ、誰に、どうやって譲り渡していくのか?会社の存続に関わる重要事項であり、かつ相続税・贈与税・法人税・所得税が複雑に絡み合うため、事前のタックスシミュレーションが不可欠です。

 

 

そんな中、上甲会計前所長(現顧問)の山口が、3年4か月ぶりの新著を上梓しました。

 

 

実務家のための 非上場株式の相続・贈与をめぐる評価と課税の実務
著者 山口昇
TKC出版 5,940円
1,021頁

http://www.tkcshuppan.co.jp/SHOP/9257.html

 

 

山口の著書としては、


2007年「借地権の評価と課税の実務」596頁
http://www.tkcshuppan.co.jp/SHOP/9150.html

2011年「生命保険・損害保険をめぐる評価と課税の実務」1479頁
http://www.tkcshuppan.co.jp/SHOP/9211.html

 

に続く、シリーズ3作目となります。

 

 

オビが揮(ふる)っています。

 


「ここまで踏み込んだ実務書がかつてあっただろうか?
非上場株式(取引相場のない株式)等の相続税評価と贈与課税に関する税法・通達、判決・裁決例等の中身を徹底解剖。この最も厄介な実務の急所へ果敢に斬り込み、その全貌を明らかにした画期的労作。」

 

 

では、著者からのメッセージを。

 

「非上場株式の特徴は、評価額がいくら高額であっても、それを市場で換金できないというものです。これを相続税負担の側面からすると、一種の不良財産(?)とも見ることもできます。
 このようなことからすると、株価を可能な限り低く抑えたいというのも人情ですが、即効性のある手法はごく限られたものといえましょう。株価対策としては、地道ですが、株価計算方式を熟知し、生前から長い時間をかけ、その時々の条件下で有効な手当(生前贈与・譲渡など)をするのが最良の方策といえましょう。
 本書が実務家の方々にとって、非上場株式についての適正な時価・課税実務遂行の一助となれば、これに勝る喜びはありません。」

 

 

中小企業のオーナー社長様、御社の顧問税理士にぜひ一冊お薦め下さい!

 

 

 

 

 

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非上場株式と上場株式の譲渡損益通算ができなくなります!

vol.132(since 07/01/07〜) 

15/06/16

 

 

平成28年1月1日より、いわゆる「金融・証券税制」が大きく変わります。
改正点は多々あるのですが、ここでは「オーナー社長が所有する自社株式の売却」という視点から影響を探ってみましょう

 

 

平成28年以後、株式の譲渡所得は

 

@一般株式等(非上場株式など)
A上場株式等

 

の2つに区分し、「それぞれ別々に」譲渡所得を計算することになります。

 

「それぞれ別々に」がポイントです。@Aの計算上生じた譲渡損失は、@とAの間では通算されません。
つまり、自社株式などの非上場株式の譲渡益と、上場株式の譲渡損は、平成28年以後損益通算はできなくなります。

 

 

事例で見てみましょう。

 


 A社(非上場同族会社)の創業社長B氏は、自身が所有するA社株式のうち100株を、後継者であるC氏(親族以外の第三者)に譲渡します。
 譲渡価額は、譲渡時点でのA社株式の時価である1株当たり10万円。なお、B氏はA社株式を、会社設立時に1株当たり5万円で取得しています。
 他方B氏は、証券会社の特定口座で上場株式の売買を行っていましたが、昨年500万円の譲渡損失が生じていて、確定申告により損失を繰り越しています(今年は上場株式の売買はないものとします)。

 

 

さて、B氏がA社株式を時価で売却した場合の譲渡益は、

 


10,000,000円(10万円×100株)‐5,000,000円(5万円×100株)=5,000,000円

となります。

 


この場合、A社株式を@平成27年に譲渡した場合とA平成28年に譲渡した場合の、それぞれの譲渡税額は、

 

 

@平成27年に譲渡

 


(A社株式譲渡益5,000,000円‐上場株式繰越損失5,000,000円)×20.315%=0円

 


A平成28年に譲渡

 

 
 A社株式譲渡益5,000,000円×20.315%=1,015,700円

 

 

以上の通り、非上場株式であるA社株式の譲渡益と、上場株式の譲渡損は、平成27年は損益通算されますが、平成28年はそれができなくなります。
上記の税額の差は、この制度改正により生じるものです。

 

 

 自社株式の処分は、「誰に」「いつ」「どのような方法で」譲り渡していくか、綿密なプランニングが必要なことは言うまでもありませんし、そもそも節税を目的で行うものではありません。
 しかしながら、譲渡日が1日違っただけで税額が大きく変わってしまうのもまた事実です。会社オーナーで自社株式の売却をお考えの方は、この税制改正に注意して処分の時期を検討することをお勧めします。

 

 

 

 

 

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乗ってきました、北陸新幹線「かがやき」。

金沢まで2時間半、あっという間です。 

自社株式:少数株主の所有する株式をどう処理するか?

vol.135(since 07/01/07〜) 

15/09/10

 

 

以前の記事で、「なぜ今、自社株式の処分のタイミングなのか?」というタイトルで、

「自社株式の価額=相続税評価額が、今年は上昇に転じた」

と記載しました。

 


この記事を書いたのは2014年8月。その後2015年になって、日経平均株価は一時2万円を突破しました。このところ株価は激しく乱高下していますが、この傾向(=自社株式の価額が高くなる)は、続いていると言えます。

 

 

さて、同族会社の株式を所有しているのは、必ずしもオーナー社長だけとは限りません。会社と関係がない「社長の子」「社長の兄弟」、また「幹部従業員」などが「少数株主」として株式を所有しているケースは多くあります。

 

 

そして、この「少数株主が所有する株式をどう処理するか?」ということも、重要な自社株対策のひとつです。

 

 

少数株主である「子」や「兄弟」の中には、会社の経営に全く関っていない人も多く、これらの人はおおむね会社の経営に無関心(=経営に口出ししない)です。
なので、これらの「子」や「兄弟」が株式を所有している間は、よほどの仲違いがない限り、経営への影響を心配することはありません。

 

 

しかし、この少数株主に相続が発生すると、株式の所有者は「子→孫」「兄弟→甥、姪」へと移っていきます。

 

ところで相続の際は、非上場会社の株式の価額は相続税評価額で評価します。少数株主の場合、「配当還元方式」という評価方法で評価することが多く、その場合の評価額は一般的にはかなり低額になります。

 

 

ところが、その株式を「原則的評価方式」により評価しなければならない場合は注意が必要です。

 

 

原則的評価方式」により評価した株価が予想以上に高額であるような場合、相続人は初めてその株式の「価値」を知ることになります。社長と株主との血縁関係が遠くなっていくと、新たな少数株主の中には、社長に対し、その株式の買取を要求するような人が出てこないとも限りません。

 

 

 また、幹部従業員が所有する株式は、その従業員の退職を機に買い取るのが一般的です。
その際、株式の買取価額をいくらにするのか?非上場株式の価額に相場はないので、税務上の価額や従業員の貢献度等を考慮して決定することになります。 

 

ところで非上場株式を売買する場合は、その課税関係に十分注意する必要があります。
その売買価額や、譲受人(社長が買い取るのか、会社が買い取るのか)によっては、売主である少数株主、買主である社長や会社、更には他の株主にまで思わぬ税金が生じることがあるからです。
 

 

 少数株主への対策はついつい後回しにしがちですが、上で述べたように後々思わぬトラブルが生じることがあります。株主の分散は、相続税対策に役立つこともある一方で、過度の分散は会社の経営の障害にもなりかねません。

 


オーナー社長には、現時点での株主名簿を確認し、少数株主の所有する株式をどうするか?購入等の対策をとる必要がないかどうか、検討することをお勧めします。

 

 

 

 

 

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KIMG0080s.jpg5月30日、仙石線復旧とともに開通した「仙台東北ライン」。

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自社株式を、もう一度評価し直しましょう。

vol.159(since 07/01/07〜) 

17/09/07

 

 

以前の記事「なぜ今、自社株式の処分のタイミングなのか?」で、

中小企業のオーナー社長が所有する自社株式(=取引相場のない株式)の評価額が近年上昇している旨お伝えしました。

 

 

この記事を書いたのは3年前。

そしてこの傾向は「今も続いている」といえます。

 

 

ところでこの記事でも書いたように、取引相場のない株式の評価方法は、

 

 

@国税庁より随時発表される同業他社の平均値と比較して計算(類似業種比準価額)
A会社の純資産から計算(純資産価額)

 

この@とAによって計算した価額をミックスして価額を決定します(ミックスする割合は会社の規模により異なる)。

 

 

この計算式によれば、仮に今年会社の業績が悪かったとしても、国税庁が発表する同業他社の平均値が上昇したり、会社が所有している上場株式の相場や土地の路線価が上昇すると、相続税評価額は上昇してしまうことがあるのです。

 

 

オーナー社長が所有する自社株式の相続税評価額が上昇する=所有財産の価値が高まる、ということなので、普通なら大変喜ばしいことです。しかし、自社株式の場合はそうはいきません。なぜなら自社株式は「換金も、使用もできない財産」だからです。

 

 

つまり相続税や贈与税の負担を考慮すると、一般的には「自社株式の評価額は低いほうがいい」ということになります。にもかかわらず、路線価や株式相場の上昇などにより、近年その評価額が上昇してしまっているのです。

 

 

平成29年度の税制改正で、この取引相場のない株式の評価方法が改正されました。改正点はいくつかあるのですが、いずれも細かい計算方法の改正なので具体的な説明は省きます。

 

 

ここでお伝えしたいのは、

 

 

「改正により、自社株式の評価額が変わっている可能性がある」

 

 

ということです。

 

 

一例を挙げると、取引相場のない株式を評価する際は、先ほど述べた通り上記@とAを「一定の割合」でミックスして算出します。この「一定の割合」は、評価会社の規模により「大会社」「中会社」「小会社」に区分し、それぞれ定められた割合を乗じるのですが、この「大会社」「中会社」「小会社」の区分の基準が改正されました。

 

 

例えば、貴社の株価を計算した結果、

 


@類似業種比準価額=500円
A純資産価額=1000円

 

とします。

 


この会社は、改正前は「小会社」に該当していましたが、改正により「中会社(小)」に該当することになったとしましょう。

 


そうすると、この会社の株式評価額は、

 


改正前:500円×0.5+1000円×0.5=750円
改正後:500円×0.6+1000円×0.4=700円

 

と、50円減少することになります。

 

 

改正により評価額は増加するのか減少するのか、その幅はどれくらいなのか、それは会社によりまちまちです。しかしこの影響が大きい場合、贈与や相続対策を見直す必要が生じます。まずは改正後の株価を算定してみましょう。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(1)

vol.160(since 07/01/07〜) 

17/10/10

 

 

前回の記事でも書いたように、取引相場のない株式(=非上場株式)の評価方法は、

 

 

@国税庁より随時発表される同業他社の平均値と比較して計算(類似業種比準価額)
A会社の純資産から計算(純資産価額)

 

 

この@とAによって計算した価額をミックスして価額を決定します(ミックスする割合は会社の規模により異なる)。

 

 

このうちAの純資産価額は、会社が所有している財産を「帳簿価額」ではなく「相続税評価額」で再評価して計算します。

 

 

例えば、会社が帳簿価額1000万円の土地(200u)を所有していたとします。その土地の路線価は1uあたり30万円です。

 

 

そうすると、この土地の相続税評価額

 


30万円/u×200u=6000万円

 

となります。

 

 

このように、各財産の「相続税評価額」を集計し、算出したのが「純資産価額」です。

 

 

この「純資産価額」をベースとして株価を計算するのですが、注意しなければならないことがあります。それは、

 

 

「この価額は、相続・贈与でのみ使用できる価額であって、譲渡の価額としては使用できない」

 

 

ということです。

 

 

上記の計算式は、あくまでも「相続税評価額」を算出するためのものです。つまりこの計算による株価は、相続税・贈与税を計算するためのもの、ということになります。

 

 

では、自社株式を売買するときの価額は、どのように計算すればよいのでしょうか?

ひとことで言うと、売買の価額は「時価」を用います。

 

 

「時価」とは、「純然たる第三者間において、種々の経済性を考慮して決定された価額」とされています。

 

 

さて、ここで大きな問題が立ちはだかります。

自社株式の売買は、通常、「純然たる第三者間」では行われないということです。

 

 

上場株式であれば、投資家が常に取引を行い、その価額は日々変動します。
例えば、昨日100円で購入したA株相場が急上昇し、今日は1000円で購入した、などということもあり得ます。この場合、昨日100円で購入したA株も、今日1000円で購入したA株もそれぞれ「時価」で取得したことになります。

 

 

ところが、中小企業の株式はほとんどが非上場株式で、所有者は大多数が同族関係者、ということになります。相場などあるはずもありません。そうすると、いくらで売買すればよいのか?という問題が生じます。

 

 

「いくらでもいいじゃん」と思うかもしれませんが、その価額が「時価」ではない場合、課税上の問題が生じます

 

 

では、譲渡の場合の自社株式の価額はどのように算定するのか?また、時価で譲渡しなかった場合の課税上の問題と何か?次回ご説明します。

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(2)

vol.161(since 07/01/07〜) 

17/11/08

 

 

さて前回の記事では、

 


相続税評価額によって計算した株価は、「相続・贈与でのみ通用する価額」であって、「譲渡の価額」ではない
・自社株式を売買するときの価額は、「時価」を用いる

 

 

ことを書きました。

 

 

では、譲渡の場合の自社株式の価額=時価はどのように算定するのでしょうか?

 

 

前回の記事で述べたとおり、「時価」とは、「純然たる第三者間において、種々の経済性を考慮して決定された価額」とされています。

 

 

そうすると、時価は一つとは限りません。譲渡するときのお互いの状況、時期、相手によって、同じものでも異なる値段が付くことは十分にあり得ます。同時に、時価の算定方法も一つではない、ということになります。

 

 

その算定方法のうちの一つが「相続税評価額を計算する方法を準用する」という方法です。

 

 

具体的には、相続税評価額を計算するルールのうち、

 

 

・純資産価額の計算上、土地・上場有価証券はその譲渡の時の価額で計算する
・純資産価額の計算上、評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しない
・会社の規模を常に「小会社」として計算する

 

 

等々、細かなルール変更を行ったうえで計算した金額を時価としてよい、とされています(ここでは「税務上の時価」と言います)。

 

 

では、なぜ自社株式の譲渡は時価で行わなければいけないのでしょうか?

 

 

時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課されるためです。

 

 

例えば、こんなケースです。
Aさんは所有する自社株式1000株を、Bさんに譲渡しました。
自社株式の「税務上の時価」は1株1万円でしたが、実際は1株5千円で譲渡しました(便宜上、1株5000円は「著しく低い価額」であるものとします)。

 

 

そうすると、AさんはBさんに、時価1000万円(1万円/株×1000株)の自社株式を、実際は500万円(5千円×1000株)で譲渡したことになります。

 

 

Bさんからすると、Aさんから500万円(時価1000万円−譲渡価額500万円)の利益を受けたことになります。
この利益が、BさんがAさんから贈与によって取得したものとみなされ、Bさんは500万円に対する贈与税を支払うことになるのです。

 

 

このような課税を避けるためには、事前に「税務上の時価」を算定し、譲渡価額が「著しく低い価額」にならないかどうか判断することが重要となります。

 

 

では「著しく低い価額」とはいくらなのか?
これについては様々な判例・裁決例が出ています。一定の考え方はありますが、基本的にはケースバイケースで判断することになります。

 

 

自社株式の売買をする際は時価で行うべきこと、時価で行わなかった場合は課税関係が生じる恐れがあることをご留意ください。
時価の算定については、事前に税理士に相談することをお勧めします。

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(3)

vol.162(since 07/01/07〜) 

17/12/11

 

 

前々回は、

 


・相続税評価額によって計算した株価は、相続・贈与でのみ通用する価額であって、譲渡の価額ではない
・自社株式を売買するときの価額は、「時価」を用いる

 

ことを書きました。

 

 

また前回は、

 

・譲渡の場合の自社株式の価額=時価の算定は、相続税評価額を計算する方法を準用する
・時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課される

 

ことを書きました。

 

 

さらに話は続きます。
今回のサブタイトルは「売り手と買い手で違う?自社株式の価額」です。

 

 

まず具体例を挙げましょう。

 


A社の社長Bは、A社の株式を90%所有しています。
残りの10%はCが所有。CはA社の役員で、Bと親族関係はありません。
Cは今年A社を定年退職することになり、BはCが所有するA社株式を購入することにしました。
では、BとCはA社株式をいくらで売買すればよいでしょうか?

 

 

この場合「税務上の時価」を算定し、譲渡価額が「著しく低い価額」にならないかどうか判断することが重要であるということを前回述べました。

 

 

しかし、ここで更に留意点があります。
このケースでは、売り手Cと買い手Bの「税務上の時価」は異なる、ということです。

 

 

この差異が生じる理由は、BとCの関係にあります。
A社は筆頭株主グループ(B)の持株割合が50%超の会社であり、「同族株主のいる会社」に該当します。
またBグループの持株割合は50%超であることから、Bは「同族株主」に該当し、かつ譲渡後のBの持株割合は5%以上(100%)です。
これに対して、Cグループの持株割合は50%以下であることから、Cは「同族株主以外の株主」に該当します。

 


そして税務上の時価は、

 

 

同族株主  →原則的評価方式(前回説明した評価方法です)
同族株主以外→配当還元方式

 

 

により評価します。

 

 

つまり、BとCが所有するA社株式は、同じ株式であるにもかかわらず別々の方法で評価することとなり、その結果異なる税務上の時価が生じるのです。

 

 

配当還元方式とは、おおまかにいうと少数株主の所有する非上場株式に対して適用される評価方法です。少数株主は会社に対する支配権がないため、会社の資産内容ではなく配当額を基準にして評価する、との考え方によります。
中小企業で毎年多額の配当を行っている会社は少ないので、その評価額は原則的評価方式による評価額に比べて低くなるのが一般的です。

 

 

しかし同一の株式でありながら、所有者によって評価額が異なる、というのはおかしな話です。特に上記のように、大株主Bが少数株主Cの所有する株式を買い取る場合、一体いくらで買ったらいいのか?ということになります。

 

 

前回述べたとおり、時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課されます。上記ケースでは、CがBに対して「著しく低い価額」で譲渡する場合が該当します。そしてBは同族株主なので、「著しく低い価額」であるかどうかの判定は原則的評価方式により行います。

 

 

実務上、非上場株式を売買する場合は

 

@売手及び買手が「同族株主」又は「同族株主以外」であるかを判定する
A買手に適用される評価方法(原則的評価方式又は配当還元方式)により「税務上の時価」を算定する
BAの評価額を基に、取引価額が「著しく低い価額」にならない範囲で売買価額を決定する(もちろん、「著しく低い価額」であっても売買は可能ですが、その場合は別途贈与税の申告が必要です)

 

の手順によるのが安全です。

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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自社株式:従業員持株会のメリット&デメリット

vol.177(since 07/01/07〜) 

19/03/05

 

 

上場企業の多くは「従業員持株会」という組織を作っています。
その一般的な形態は、

 

 

・従業員は持株会に加入し、持株会に一定の金銭を拠出する

持株会は、企業の自社株式を一定数取得する

 

 

というものです。
従業員は、持株会を通じて間接的に株式を保有することになります(税務上は、直接保有しているのと同じ取扱いとなる) 。

 

 

これにより従業員は、株式の配当を受けられます。また将来株価が上昇すれば、株式を売却することによる利益が得られます。
企業としては、持株会という安定株主が得られ、従業員のモチベーションアップに役立ちます。

 

 

この従業員持株会を、非上場会社が導入するケースがあります。
その形態や目的は上場企業の場合と同じですが、非上場会社の場合、これらのメリットは上場企業に比べて少ないと思われます。
非上場会社が従業員持株会制度を導入するメリットは、主にオーナーの「相続税対策」にあります。

 

 

つまり、

 

 

オーナーの所有する自社株式を、少数株主である従業員持株会に低額(配当還元価額)で譲渡し、自己の保有する株式数を減少させる

 

 

というものです。

 

 

以前の記事で、

 

 

配当還元方式とは、おおまかにいうと少数株主の所有する非上場株式に対して適用される評価方法です。少数株主は会社に対する支配権がないため、会社の資産内容ではなく配当額を基準にして評価する、との考え方によります。
中小企業で毎年多額の配当を行っている会社は少ないので、その評価額は原則的評価方式による評価額に比べて低くなるのが一般的です。

 

 

と書きました。

 

つまり、オーナーが所有していると「原則的評価方式」という高い評価額で評価されてしまう自社株式を、「配当還元方式」という低い評価額で従業員持株会に譲渡することにより、オーナーの所有する財産の価額を減少させる、というものです。

 

 

この方法により自社株式の譲渡を行った場合、税務上はどのように取り扱われるのでしょうか?

 

 

以前の記事で、

 

 

時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課されます。

 

と書きました。

 

 

同族株主等から少数株主へ自社株式を譲渡する場合、配当還元価額は「著しく低い価額」にあたらないので、買主である少数株主に贈与税は課されません。
また個人間の売買である限り、売主である同族株主等にみなし譲渡(時価で売ったものとみなして譲渡所得の計算をする規定)の適用もありません。

 

 

ということで、税務上の問題はなさそうです。

では、他にどのような注意点があるのでしょうか?

 

 

従業員持株会は、オーナーからすると「他人=第三者」です。オーナーとの関係が良好なときは問題ありませんが、例えば経営状況の悪化などの理由で従業員との関係が悪くなることも考えられます。
従業員持株会は議決権を有しているので、経営に一定の影響を与える可能性があります(従業員持株会に発行する株式を無議決権株式にすればこの問題はクリアされますが、株主である以上影響はゼロとは言えません)。

 

 

また、従業員持株会制度を導入する場合に最も気を付けなければならないの会員規約の内容です。
株式の散逸を防ぐため、入会者は会社の従業員とすること。また在職中の他人への譲渡を禁止し、退職時には退会して株式を手放す仕組みを作る必要があります。

 

 

そうすると、退会時に株式を誰が、いくらで買い取るか?という問題が生じます。
一般的には、持株会を通じて他の従業員が買い取ることになりますが、その場合の税務上の価額は配当還元方式により評価します。
しかしそれができない場合、オーナーが買い戻す可能性もあります。そうすると、上記と異なり税務上の価額は原則的評価方式による価額がベースとなるので、配当還元方式による価額で買い戻した場合はオーナーに贈与税の課税関係が生じます。

 

 

従業員持株会によっては、会員規約で売買価額を固定するケースもあります。この場合、上記の課税関係に十分注意する必要があります。

 

 

従業員持株会に自社株式を所有させることは「自社株式の分散」を意味します。一度他人が所有した株式を、オーナー一族が再び集めるのは容易ではありません。同族会社が従業員持株会を導入する場合は、オーナー側のメリットだけではなく従業員側のメリットが明確であること、会員規約を作成し厳格に管理運営すること、が大前提と考えます。

 

 

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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金庫株(1)〜オーナーに代わって、会社が買い取る〜

vol.178(since 07/01/07〜) 

19/04/10

 

 

会社は、自分が発行した株式の一部を所有することができます。この株式のことを自己株式」、別名「金庫株」と呼ばれています。その名の通り、自分で発行した株式を自分で保有し、金庫にしまっておく、というイメージです。

 

 

なぜ自分で発行した株式を、わざわざ自分で保有する必要があるのでしょうか?
いくつか理由が考えられますが、同族会社で多いのが「オーナーの代わりに、会社が買い取る」というものです。

 

 

具体的には、

 


・同族会社のオーナー社長が、他の株主から株式を買い取ろうとしている
・しかし株式の価額が高額で、社長に買い取り資金がない
・そこで資金に余力がある同族会社に、株式を買い取ってもらう

 

というケースです。

 

 

これとは別に「会社がオーナーに株式買取資金を貸し付ける」という方法があります。
しかし、会社がオーナー個人に多額の資金を貸し付けるのは財務上問題があるでしょう。特に会社が金融機関から融資を受けている場合は、金融機関は「融資した資金が目的外に流用されている」と捉えることになります。
そこで、会社に直接買い取ってもらうわけです。

 

 

そうすると、「株式を、いくらで買い取るか?」という問題が生じます。

 

 

以前の記事で、

 


・自社株式を売買するときの価額は、「時価」を用いる
・譲渡の場合の自社株式の価額=時価の算定は、相続税評価額を計算する方法を準用する

 

と書きました。また、

 

 

税務上の時価は、
同族株主  →原則的評価方式
同族株主以外→配当還元方式
により評価します。

 

と書きました。

 

 

配当還元価額は一般的に低額となります。そのため株主が同族株主以外の場合、売買価額が低額であっても税務上の問題は基本的には生じません。
しかし株主からすると、税務上の時価は低額であったとしても、価値のある株式を安い価額で売りたくはないはずです。

 

 

そのため実務上は、原則的評価方式による価額を参考にして売買価額を決定することになります。

 


ではこの場合、誰に、どのような税金が課されることになるでしょうか?
課税関係は以下のようになります。

 

 

・売主(株主)
資本金等の額に対応する部分を超える部分」の金額は、みなし配当(総合課税)として所得税が課される
 

・買主(同族会社)
課税関係なし(資本等取引と考えられる)
 

・他の株主
売買価額が「著しく低い価額」の場合、株式の価値の増加した部分に対し贈与税が課される

 

 

売主からすると、

 

・個人(オーナー)に譲渡した場合
 譲渡益に対して所得税が課される(分離課税・15.315%)
・発行法人に譲渡した場合
 みなし配当として所得税が課される(総合課税・5〜45%)

 

 

となり、譲渡する相手によって、また譲渡金額や売主の所得の多寡によって、納税額が異なることになります。

 

 

また、著しく低い価額」で譲渡した場合、「他の株主」に対して「贈与税」が課税される、というロジックは、極めて分かりにくいと思います。

 

例えば、株主が発行会社に対し、時価100円の株式を10円(著しく低い価額とする)で譲渡したとします。そうすると、会社はその株主から90円(100円−10円)の利益を受けたことになります。
会社からすると、受けた利益(90円)分の自己資本が増加したことになります。
それは間接的に「他の株主」の所有する株式の価値が増加することを意味します(実際に、譲渡後の株価は譲渡前の株価に比べて上昇します)。

 

この株価が増加した部分の金額を、「譲渡株主」から「他の株主=既存株主」への贈与と捉え、既存株主に贈与税を課す、というわけです。

 

 

オーナー社長に株式の買い取り資金がないような場合、「金庫株」は有効な手段となります。しかし売買価額によっては思わぬ課税や、不利な課税がされることもあります。
事前のシミュレーションが大切です。

 

 

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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金庫株(2)〜相続株式を、会社が買い取る〜

vol.179(since 07/01/07〜) 

19/05/10

 

 

前回は、

 

 

「なぜ自分で発行した株式を、わざわざ自分で保有する必要があるのでしょうか?」



としたうえで、



いくつか理由が考えられますが、同族会社で多いのが「オーナーの代わりに、会社が買い取る」というものです。」



と書きました。



次に考えられるのが、「後継者が相続した株式を、会社が買い取る」というものです。

 

具体的には、

 


・同族会社のオーナー社長が死亡し、後継者である長男が株式を相続した

・しかし株式の評価額が高額であるため相続税が高くなる

・長男には納税資金がなく、相続税が納税できない

・そこで資金に余力がある同族会社に、相続した株式を買い取ってもらう

 

というものです。

 


相続税は「現金一時納付」が原則です。
後継者は通常、オーナー社長の保有する同族会社株式の大半を相続することになりますが、価値の高い株式には多額の相続税が課されます。
そして、非上場株式は市場で換金できません。後継者は相続税の納税資金に窮することになります。



そこで会社に株式を買い取ってもらうわけですが、問題となるのが「売買価額」「税金」です。

 

 

前回述べた通り、発行法人に株式を売却する場合は

 

 

売買価額=原則的評価方式をベースに算定した時価
税金=資本金等の額に対応する部分を超える部分の金額は、みなし配当(総合課税)として売主に対し所得税が課される



ことになります。

 

 

しかしこの場合、「所得税が高額になる」という問題があります。

 


例えば、1株の時価1,000,000円、資本金等の額50,000円、取得価額50,000円の株式100株を、発行会社に売却した場合の通常の課税関係(他の所得、諸控除はないものと仮定)は、


収入金額 1,000,000円×100株                                                =100,000,000円
みなし配当(配当所得)の額=(1,000,000円−50,000円)×100株     =95,000,000円
所得税額 95,000,000円×45%-4,796,000円-5,750,000(配当控除)  =32,204,000円


となります。
更に、住民税を概ね所得の8%(配当控除後)とすると、この事例では収入金額の約40%は税金として支払わなければならず、手取り額は残額の約6000万円となってしまいます。


 

そこで、相続により取得した株式については特例が設けられています。



相続により取得した非上場株式を、その相続等のあった日の翌日から相続税申告書の提出期限の翌日以後3年(=死亡日から3年10か月)以内に、その発行会社に譲渡する場合には、みなし配当課税(総合課税)は行わず譲渡所得として課税(分離課税)することとされています。

 


上の事例にあてはめると、

 


収入金額 1,000,000円×100株         =100,000,000円
譲渡所得=1,000,000円×100株−50,000円×100株=95,000,000円
所得税額 95,000,000円×15.315%                    =14,549,200円
住民税額 95,000,000円×5%                            =  4,750,000円
となります。



特例の適用により、税金は収入金額の約20%、相続税の納税資金に充てられる金額は約8000万円となります。

 

 

また、上記期限内に相続財産を譲渡した場合は、相続税の取得費加算(=支払った相続税のうち一定額を、譲渡所得の計算上取得費として控除する)の適用が可能です。そうすると、譲渡所得税は更に低くなります。

 


昨年このブログで「事業承継税制」を特集しましたが、この税制を適用すれば、後継者がわざわざ会社に相続株式を売却して資金を得る必要はありません。
しかしこの税制が全ての事業承継に適用されるわけではなく、また適用がふさわしくないケースもあります。
金庫株を利用して後継者が納税資金を得るこの方法は、事業承継に当たっての有力な選択肢といえます。

 

 

 

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金庫株(3)〜自社株を買うと、株価が高くなる?

vol.180(since 07/01/07〜) 

19/06/11NEW

 

 

新聞記事(日本経済新聞2019年5月23日)によると、最近、上場企業の自社株買いが急増しているそうです。

 

その目的はなんでしょうか?
同記事によれば、「自社株買いは、株式需給が引き締まり株価を高める効果があるほか、1株当たりの利益も増える。少ない資本でどれだけ効率的に稼ぐかを示す指標、自己資本利益率(ROE)を底上げする効果もある。」とあります。

 

 

会社が自社株式=金庫株を取得すると、株価が高くなる?
これって本当なんでしょうか???

 


実はこのロジックには、「その会社の株価が、本来の価値(=上場株式が、市場に流通していないと仮定した場合に取引されるであろう価額)と比べて市場で過小評価されている場合」という条件が付きます。
事例で説明しましょう。

 

 

A社は発行済株式数1万株、1株の「本来の価値」を1万円とすると、この時点での会社の本来の純資産は
1万株×1万円=1億円となります。
この時、A社株式は市場で8000円で取引されていたとします。「本来の価値」に対して、2000円割安です。


ここで発行会社は、市場で2000株を自社株式として取得します。
この時の自社株式購入資金は、2000株×8000円=1600万円となります。


そうすると、自社株式取得後の会社の純資産は
1億円−1600万円=8400万円
となり、会社の1株当たりの「本来価値
8400万円÷(1万株−2000株)=10500円となります。

 

 

つまり、会社が金庫株を、市場から割安な価額で取得することによって、他の株主の所有する株式の「本来価値」が上昇したことになるのです(この事例では、10000円→10500円)。

 

しかし上場株式の「本来価値」が上昇しただけでは、株式の「潜在的な利益」が増加したのみで、株主に直接のメリットはありません。
会社が自社株式を取得後増配したり、また更なる割安感が生じれば株式の需要(=人気)が高まります。この結果株式の「市場流通価額」が上昇することによって、株主に具体的なメリットが生じることになります。

 

では上場株式のように、非上場会社が自社株買いを行った場合、他の株主の所有する株価は高くなるのでしょうか?

 

もうお分かりと思いますが、非上場株式は市場に流通しないので「市場流通価額」はなく、「市場流通価額」と「本来価値」との差は生じることがありません。よって理論上、非上場会社が株主から「本来価値=時価」で株式を購入する限り、他の株主の価額は上がることも下がることもありません。
「著しく低い価額」で取得した場合の課税関係については、以前の記事参照

 

 

非上場会社が自社株式を取得する主な理由は前回前々回に書きました。非上場会社に限れば、これらの理由以外には金庫株を取得するメリットはなさそうです。

 

では、会社は取得した金庫株をどうすればよいのでしょうか?次回以降のテーマとします。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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