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vol.238(since07/01/07~)
25/06/02NEW!
以前の記事「未分割申告」で
申告期限までに財産の全部または一部が分割されていないときは、共同相続人が民法の規定による相続分の割合に従って財産を取得したものとして課税価格を計算し、期限内に申告することとされています。
と書きました。
ここで「民法の規定による相続分の割合」とありますが、具体的には何を指すのでしょうか?
まず「民法の規定」ですが、かっこ書きで「寄与分は除く」とされているので、具体的には
①法定相続分
②代襲相続人の相続分
③遺言による指定相続分
④特別受益者の相続分
⑤相続分の譲渡に係る相続分
となります。
このうち①法定相続分②代襲相続人の相続分③遺言による指定相続分、は比較的よく知られている制度なのでここでは説明を割愛します。
④特別受益者の相続分
特別受益とは、被相続人から共同相続人に対し
・遺贈(=遺言による贈与)を受けた者がある場合
・(生計の資本として)生前贈与を受けた者がある場合
これらは「相続財産の前渡し」と考え、相続財産に加えて相続分を計算するという考え方です(上記の財産を受けた者を「特別受益者」といい、その受けた価額を「特別受益額」といいます)。
相続分の算定にあたり、被相続人の相続開始時の財産に遺贈又は生前贈与財産を加算することを「特別受益財産の持戻し」といい、特別受益者の相続分の価額からは特別受益額を控除します。
事例で説明しましょう。
(事例1)被相続人A、被相続人の配偶者B、ABの長男C、及び次男D
被相続人の相続開始時の財産の価額 9000万円
イ特別受益がない場合の法定相続分
B:9000万円×1/2=4500万円
C: ×1/4=2250万円
D: ×1/4=2250万円
ロ生前に、AからCに現金1000万円が贈与されていたとします。
被相続人の特別受益財産の持戻し後の財産の価額
9000万円+1000万円=10000万円
これに法定相続分を乗じて、特別受益者の特別受益額を控除します。
B:10000万円×1/2 =5000万円
C: ×1/4 - 1000万円=1500万円
D: ×1/4 =2500万円
この計算により、未分割で申告した場合の各相続人の課税価格は、持ち戻し計算がない場合に比べてBとDは増加し、Cは減少することになります。Cは事前に相続財産の一部を贈与により受けているから今回の相続で受けるべき財産は少なく、従って課税価格も小さい、という考えによります。
この特別受益者の相続分の規定については、いくつか注意点があります。
・特別受益額は「相続時の価額」で持ち戻し、かつ控除します。これに対して相続税の課税価格計算上の持ち戻し(いわゆる生前贈与加算)は「贈与時の価額」で持ち戻しを行います。特に土地や有価証券など、対象財産の「贈与時の価額」と「相続時の価額」が大きく異なる可能性がある場合は注意が必要です。
・特別受益財産の持ち戻しの対象は「被相続人が共同相続人に対して(生計の資本として)行った全ての生前贈与財産」ですが、相続税の課税価額計算上の生前贈与加算は相続開始前7年以内(経過措置あり)に行われたものに限られます。
・特別受益財産の持ち戻しは、被相続人から「共同相続人」に対する遺贈又は生前贈与があった場合に行われます。したがって、共同相続人以外の者(例えば、被相続人の孫)に対する生前贈与財産は持ち戻しの対象になりません。
これを事例で説明すると、
(事例2)事例1に、Cの長女E(Aの孫)を追加します。
ハ生前に、AからCに現金1000万円、AからEに現金5000万円が贈与されていたとします。
被相続人の特別受益財産の持戻し後の財産の価額 9000万円+1000万円=10000万円
B:10000万円×1/2 =5000万円
C: ×1/4-1000万円=1500万円
D: ×1/4 =2500万円
持ち戻しの計算は、事例1ロと同じ結果となります(共同相続人の相続分に影響しない)。
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