事業承継の実務・役員退職金

 

 

 

 さて前回までは、事業承継を行うにあたっての「環境整備」や「心構え」などについて述べてきました。

 

 

 では具体的には、事業承継とはどのような手続きを経て行われるのでしょうか?

 

 

 これは言うまでもなく、「先代経営者の代表取締役退任」と、「後継者の代表取締役就任」という手続きによって成立します。

 

 

 ただし一口に「退任」と言っても、退いた先代が、その後会社でどのような立場に就き、どの程度経営に関与するかにより、退任後の状況が異なってきます。

 

 

パターンとしては、

 


 @代表取締役及び取締役を退任し、完全に会社を退職する

   A代表取締役及び取締役を退任し、非常勤の「相談役」「顧問」になる 

   B代表取締役は退任するが、代表権のない(平)取締役に留まる

 

が挙げられます。

 


 そして退いた先代には、退任に併せて「役員退任慰労金」を支給するのが一般的です。支給の手続きは株主総会の決議によりますが、重要なのは「役員退任慰労金規程」が整備されているか、ということです。規程がなければ退職金を支給する際トラブルになる恐れがあり、古い規程であれば今の会社の実情に合わせて改定する必要が生じることでしょう。

 


 さらに、「支給方法をどうするか?」という問題があります。創業社長への退任慰労金は、一般的には多額になります。一括支給するだけの自己資金が会社に留保されていれば問題はありませんが、財源がない場合は金融機関から借入をしたり、場合によっては分割支給ということも検討する必要があります。

 


 役員退職金の支給は、会社のキャッシュフローに直接影響を与えます。退職金の支給額や支払方法、退任後の報酬については、先代経営者と後継者との間で十分に話し合い、予め合意をしておきましょう。

 

 

→次は、事業承継の実務・自社株式

 

 

 

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役員退職金の税務(1)〜みなし退職〜

vol.163(since 07/01/07〜) 

18/01/19

 

 

以前の記事で、役員の退任及び役員退職慰労金の支給について、

 

 

一口に「退任」と言っても、退いた先代が、その後会社でどのような立場に就き、どの程度経営に関与するかにより、退任後の状況が異なってきます。
パターンとしては、
 @代表取締役及び取締役を退任し、完全に会社を退職する
 A代表取締役及び取締役を退任し、非常勤の「相談役」「顧問」になる 
 B代表取締役は退任するが、代表権のない(平)取締役に留まる
が挙げられます。
 そして退いた先代には、退任に併せて「役員退任慰労金」を支給するのが一般的です。

 

 

と書きました。

 

 

さて、この退任のパターンですが、@Aは代表取締役退任と同時に取締役を退任しているのに対して、Bは平取締役に留まっています。

 


ここで問題になるのが、役員退職金の支給です。
いうまでもなく、退職金は「退職」を原因として支給します。役員の「退職」とは、取締役や監査役であった者がその地位を退くことをいい、登記を伴うことになります(@Aのパターン)。

 

 


これに対し、代表取締役は退任するが引き続き取締役にとどまる、というパターン(Bのケース)の場合、登記上取締役としての地位に変更はないので、取締役を「退職」したことにはなりません。

 


役員退職金を支給するにあたって、@Aのパターンは、役員を退任したことに伴い退職金を支給するのだから問題はありません。しかしBのパターンは、取締役を退任していないのだから退職金を支給することはできないのではないか、との疑問が生じます。

 


中小企業で、前社長が代表取締役を退任後、しばらくの間平取締役に留まる、というのはよくある話です。中小企業の場合、社長=会社です。前社長が退任と同時に完全引退するというのでは、取引先や金融機関に不安を与え、退任後の会社の経営に支障をきたすかもしれません。そこで代表取締役退任後も、「会長」等の名称でしばらくの間平取締役に留まる、というのは一般的に行われています。

 


このように、同じ役員の地位にありながら、その職務や責任が大きく変わることを「分掌変更」といいます。そして代表取締役が、代表を辞して平取締役になり、以後日常業務に関与しなくなるような場合は、この「分掌変更」に該当します。

 


そうすると、「分掌変更」により役員の職務や責任が大きく変更するような場合は、実質的には役員を退職したのと同様の事情にあると考えられます。中小企業では、この「分掌変更」を原因として役員退職金を支給するケースがしばしば見られます。

 


仮に@Aのパターンを「完全退職」、Bのパターンを「みなし退職」と呼びます。どちらのケースでも、役員退職金を支給することは慣行として行われています。

 


ただし、「みなし退職した役員に対して役員退職金を支給するためには絶対的な条件があります。まず、役員退職慰労金規程に、「みなし退職」した場合に役員退職金を支給することができる旨の支給条項が定められていること。これがなければそもそも支給する根拠がありません。

 

次に、みなし退職」した後は会社の経営に関与しないこと。分掌変更は「実質的な退職」なので、単に代表の登記のみを抹消しただけで事実上の経営権は変わらない、というのでは退職したことにはなりません。

 


このみなし退職」を原因として役員退職金を支給した結果、課税庁側が「事実上退職していない」などとして役員退職金を損金として認めず、裁判にまでもつれ込むケースが多々あります。役員退職金は、その支給額が多額になるので税務調査の際しばしば論点になりますが、「みなし退職」の場合必ずその実態を確認されることになるでしょう。

 

 

役員退職金を支給する際は、税理士等の専門家のアドバイスを得ながら慎重に検討することをお勧めします。

 

 

 

 

 

→役員退職金の税務(2)に続く

 

 

 

 

 

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役員退職金の税務(2)〜続・みなし退職〜

vol.164(since 07/01/07〜) 

18/02/13

 

 

前回に引き続き、みなし退職」に関する記事を続けます。

 

 

みなし退職」に関しては、

 

 

・代表取締役が、代表を辞して平取締役になり、以後日常業務に関与しなくなるような場合は「分掌変更」に該当します。

・「分掌変更」により役員の職務や責任が大きく変更するような場合は、実質的には役員を退職したのと同様の事情にあると考えられます。中小企業では、この「分掌変更」を原因として役員退職金を支給するケースがしばしば見られます。

・「みなし退職」を原因として役員退職金を支給した結果、課税庁側が「事実上退職していない」などとして役員退職金を損金として認めず、裁判にまでもつれ込むケースが多々あります。

 

 

と書きました。

 

 

では、みなし退職」による役員退職金の支給が税務上認められるための、具体的な「要件」はあるのでしょうか?

 

 

巷でよく言われるのが、次の場合は「みなし退職」として認められる、というものです。

 

 

@常勤役員が、非常勤役員となる
A取締役が、監査役になる
B分掌変更後の役員の給与が激減(おおむね50%以上の減少)する

 

 

この根拠は、法人税法基本通達にあります。「基本通達」は税法を適用するにあたり税務職員が指針とすべき事項であり、国税庁長官から税務職員への指示文書にあたります。

 

 

上記@ABは「役員の分掌変更等の場合の退職給与」というタイトルの通達に記載されていて、このような場合に支給される給与は退職給与として取り扱うことができる、と記載されています。

 

 

しかし、ここに落とし穴があります。上記の文章はあくまでも単なる「例示」であり、これにあてはまれば必ず認められるという「条件」ではない、ということです。

 

 

この通達の本文には、「その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合」とあります。

 

 

つまり、形式的に@ABのような行為を行ったとしても、「実質的に退職したのと同様の事情」になければ、退職給与として認められない、ということです。

 

 

では「実質的に退職したのと同様の事情」とは具体的にはどのような状況を指すのか?それはケースバイケースであり、各会社のその時の実情に応じて判断することになりますが、現代表者がいなくなったらどうするか?ということを考えればわかりやすいと思います。社内的な役割の変更はもちろんのこと、取引先や金融機関などとの関係も変化することになるでしょう。

 

 

「みなし退職」は事実上の退職であり、それゆえ前代表者は「みなし退職」後会社の経営に関与しない。これが退職給与支給の大前提であり、その結果として例えば@ABのようなこととなることがある。この順序を間違えないようにしてください。

 

 

 

→役員退職金の税務(3)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(3)〜損金算入時期〜

vol.165(since 07/01/07〜) 

18/03/15

 

 

前々回前回と、役員退職金の「みなし退職」に関する記事を書きました。

要約すると、

 

 

・代表取締役が、代表を辞して平取締役になり、以後日常業務に関与しなくなるような場合は「分掌変更」に該当します。

「分掌変更」により役員の職務や責任が大きく変更するような場合は、実質的には役員を退職したのと同様の事情にあると考えられます。中小企業では、この「分掌変更」を原因として役員退職金を支給するケースがしばしば見られます。

法人税法基本通達に掲げている3つの事例は単なる「例示」であり、これにあてはまれば退職給与として必ず認められるという「条件」ではありません。

 

 

となります。

 

 

さて、ここからは役員退職金のその他のテーマに触れつつ、「みなし退職」との関係を整理していきます。

 

 

まずは「損金算入時期」です。「損金算入」とは、「税務上の費用として計上」することを言います。

 

 

一般的に、株式会社の役員退職金の支給の手順は

 

株主総会で、支給すること(及び支給額)を決議

          ↓

取締役会等で、(支給額)・支給時期・支給方法等を決議

 

となります。

 

 

では、役員退職給与の損金算入時期はいつなのでしょうか?

 

 

法人税基本通達には、その時期について「株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度とする(=決議日基準)」とあります。

 


ところが、この通達にはただし書きがあって、

 

 

「法人がその退職給与を支払った日の属する事業年度において、その支払った金額につき損金経理をした場合は、これを認める(=支給日基準)」

 

 

ともありますexclamation&question

 

 

具体的なケースで確認しましょう。

 


3月決算法人(当期末:平成30年3月31日)が、退任役員に対して退職金を支払います。

 

 

イ 株主総会決議日 2月28日
  実際の支給日  3月31日(一括払)

 

 

このケースでは、決議日(当期)と支給日(当期)が同じ事業年度なので、役員退職金は当期の損金に算入されます。

 

 

ロ 株主総会決議日 2月28日
  実際の支給日  4月 1日(一括払)

 

 

このケースでは、決議日(当期)と支給日(翌期)が異なる事業年度となります。この場合、

 

 

@決議日基準:当期の損金に算入。未払金として計上することになります。
A支給日基準:翌期の損金に算入。当期は特に会計処理せず、翌期支払った日に費用として計上します。

 

 

どちらの処理も認められることになります。ただし、原則は@と考えておいてください。

 

 

上記イロは、支給日が1日ずれるだけで退職金の損金算入時期が1年間ずれてしまう可能性がある、という例です。役員退職金はその支給額が多額で、会社決算に大きな影響を与えます。退職金の決議日と支給日を決める際は十分注意しましょう。

 

 

ところで前回、前々回では「完全退職」「みなし退職」に分けて説明してきましたが、上記@Aの処理はどちらのケースでも適用可能なのでしょうか?

 

 

実は、「みなし退職」の場合には問題が生じることがあります(これについてはまた後日書きます)。
しかし上のイロのように、支給方法が「一括払」で、決議日から支給日までの期間が1カ月程度であれば、「みなし退職」であっても適用可能と考えられます。

 

 

では、支給方法が「分割払」の場合はどうなるのでしょうか?
これは次回のテーマとします。

 

 

 

→役員退職金の税務(4)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(4)〜分割払〜

vol.166(since 07/01/07〜) 

18/04/09

 

 

前回は、「役員退職給与の損金算入時期」というテーマで

 

 

@原則:株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日(=決議日基準
A特例:退職給与を支払った日(=支給日基準

 

 

と書きました。

 

 

そしてこの選択は、支給方法が「一括払」で、決議日から支給日までの期間が1カ月程度であれば、「みなし退職」であっても選択可能と思われます。

 

 

とも書きました。

 

 

では、「みなし退職」で「分割払」の場合はどうなのでしょう?
その前に、そもそも役員退職金の分割払いは認められるのでしょうか?

 

 

所得税基本通達には、

 


「退職手当等(≒退職金)とは、退職したことに起因して一時に支払われることとなった給与をいう」

 

とあります。
そうすると、退職金は「一括払」でなければならない、となりそうです。

 

 

その一方で、法人税基本通達には、

 

「退職一時金の分割払いについては、その未払部分を含めて損金の額に算入することができる」

 

とあるほか、その他にも分割払を認めている部分があります。

 

 

分割払いを認める理由として、「法人の資金繰りの都合」が挙げられています。
役員退職金はその支給額が高額になることが多く、資金ストックの乏しい中小企業の場合、一時払が困難なケースが考えられます。
また退任役員が同族関係者の場合、第三者と異なり「同族関係者だから待ってもらえる」という事情もあるようです。

 

 

以上の通り、実務上「合理的な理由」がある限り、役員退職金の分割払は認められています。
ただし株主総会等で、「退職金の総額」「分割回数」「支給時期・期間」「各回に支給する金額」を予め定めておく必要があります。そうしないと、役員報酬や役員賞与との区別がつかず、退職金としての損金性に疑問が生じることになります。

 

 

ここで話を戻します。
分割払の場合の役員退職金の損金算入時期を考えてみましょう。

 

 

前回イロに続いてのケーススタディです。(当期末:平成30年3月31日 完全退職とします)

 

 

ハ 株主総会決議日 2月28日 
  支給総額    1億円
  支給方法    分割払
  支給時期及び支給額  
   平成30年3月1日 3000万円
   平成31年3月1日 3000万円
   平成32年3月1日 4000万円

 

 

そうすると、損金算入時期は、以下の2通りが考えられます。

 

@決議日基準:当期(平成30年3月期)の損金に算入。決議額1億円を未払金として計上することになります。
A支給日基準:各支給期の損金に算入。具体的には

  平成30年3月期 3000万円
  平成31年3月期 3000万円
  平成32年3月期 4000万円

 を、役員退職金として各期の費用として計上し、損金算入します。

 

以上の通り、@とAでは、会社の各年度の最終利益は大きく異なることになります。
損金計上時期の決定にあたっては、今後数年間の会社の業績見通し、資金繰り計画、納税計画、金融機関との関係など、諸事情を勘案して判断しましょう。


さて、ここまでは前置きした通り「完全退職」の場合に認められる処理です。
ではみなし退職」で「分割払」 の場合、この処理は認められるのでしょうか?
いよいよこの連載の本丸ですが、続きは次回へ送ります。

 

 

 

→役員退職金の税務(5)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(5)〜分割払・みなし退職〜

vol.167(since 07/01/07〜) 

18/05/07

 

 

前回は、「退職金の分割払」というテーマで

 

 

・実務上、「合理的な理由」がある限り、役員退職金の分割払は認められている

・その損金算入時期は、

@決議日基準:決議日の属する事業年度の損金に算入(未支給分は未払金計上)
A支給日基準:支給の都度、各支給期の損金に算入

 

 

と書きました。しかし、その前提として

 

 

これは前置きした通り「完全退職」の場合に認められる処理です。
ではみなし退職」で「分割払」 の場合、この処理は認められるのでしょうか?

 

 

と書きました。
いよいよこの連載の本丸です。

 


まず、「みなし退職」の場合、退職金の未払金計上は認められるのでしょうか?

 

 

法人税基本通達では、「みなし退職」の場合、

 

 

「退職給与とされるものは、法人が実際に支払ったものに限られ、原則として未払金等に計上したものは含まれない

 

 

としています。

 

 

 つまり前回の記事で、「退職一時金の分割払いについては、その未払部分を含めて損金の額に算入することができる」と書きましたが、これは完全退職」の場合に認められるのであって、「みなし退職」の場合この処理は認められない、ということになります。

 

 

 そうすると、「みなし退職」の場合、退職金の分割払は認められない、ということになるのでしょうか?

 

 

ここで、冒頭に戻りましょう。役員退職金の損金算入時期は、

 

@決議日基準:決議日の属する事業年度の損金に算入(未支給分は未払金計上)
A支給日基準:支給の都度、各支給期の損金に算入

 

の基準があるとお伝えしました。

 

 

みなし退職」の場合、退職金の未払計上は認められないので、@の決議日基準によると未払部分は否認されることになります。
しかしAの支給日基準により、その支払の都度支払った金額を損金に算入する処理は認められます。

 

 

ケーススタディで確認しましょう。
前回ハと同様のケースで、条件を変更します。前回は「完全退職」でしたが、今回は「みなし退職」とします。(当期末:平成30年3月31日)


ニ 株主総会決議日 2月28日 
  支給総額    1億円
  支給方法    分割払
  支給時期及び支給額  
   平成30年3月1日 3000万円
   平成31年3月1日 3000万円
   平成32年3月1日 4000万円

 
そうすると、損金算入時期は、

 
@決議日基準当期(平成30年3月期)に支払った3000万円のみが当期の損金に算入され、平成31年に支払う3000万円及び平成32年に支払う4000万円は各事業年度の損金に算入されません。

 

A支給日基準:各支給期の損金に算入。具体的には

  平成30年3月期 3000万円
  平成31年3月期 3000万円
  平成32年3月期 4000万円

 を、役員退職金として各期の費用に計上し、損金算入します。

 

 

みなし退職」で「分割払」の場合、なぜ決議日基準での未払金計上は認められず、支給日基準では各期での損金算入が認められるのか?判然としない点はあります。

 

 

しかし、

 

 

・役員退職金の支給事由は「完全退職」が原則で、「みなし退職」は例外である
・その支給方法は「一括払」が原則で、「分割払」は例外である

 

 

と整理すると、「みなし退職」で「分割払」は例外中の例外、ということになります。
損金算入に一定の制限が生じるのは当然かもしれません。

 

 

 

→役員退職金の税務(6)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(6)〜支給額は、どう決める?〜

vol.195(since 07/01/07〜) 

20/09/08

 

 

以前の記事「事業承継の実務・役員退職金」で、

 


(役員退職金の)支給の手続きは株主総会の決議によりますが、重要なのは「役員退任慰労金規程」が整備されているか、ということです。規程がなければ退職金を支給する際トラブルになる恐れがあり、古い規程であれば今の会社の実情に合わせて改定する必要が生じることでしょう。」

 


と書きました。
ここではこの「支給の手続き」について、もう少し詳しく述べます。

 


まず、会社が退職した役員に対し退職慰労金を支給するためには株主総会の決議が必要で、これは支給手続きの絶対条件となります。
具体的には、株主総会において「支給金額」「支給時期」「支給方法」を決議し、その金額を「決議日基準」又は「支給日基準」により損金算入することになります(役員退職金の税務(3)〜損金算入時期〜参照)

 


ではその株主総会で、支給額はどのように決めればよいのでしょうか?

 

 

同族会社である中小企業において、「役員の退職」というのはそうそう起こることではありません。あるとすれば「オーナー社長の退職」で、会社からすると数十年に一度となることも多いです。
そうすると、その支給額はオーナー社長の「言い値」になりがちです。退職金額が恣意的に決められてしまうことにより、会社経営に様々な悪影響が生じる恐れがあります。
これを防ぐため、会社で「役員退職慰労金規程」を整備し、規程に定められた基準に従って支給額を決定するのが一般的です。

 

次に、「役員退職慰労金規程」において、支給額はどのように定めるのでしょうか?

 


役員退職慰労金規程」は社内規程の一部です。よってその内容に制約があるわけではなく、会社毎にその実情に応じて自由に決めることができます。
しかしここで留意しなければならないのが、その定めた金額が「税務上妥当な金額かどうか」の判断です。

 

法人税では、その支給額が、

 

 

・その役員の業務に従事した期間
・退職の事情
・その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の状況、etc

 

 

に照らし、不相当に高額」と認められる金額は損金の額に算入しない、とされています(法令70@二)。
つまり役員退職慰労金規程」で定めた金額が「不相当に高額」でなければ、「税務上妥当」である、ということになります。



では法人税で、「税務上妥当な金額」の計算方法は通達等で明示されているのでしょうか?



残念ながら、通達等では具体的な計算方法は明らかにされていません。つまり、上の法令にあるようなことに照らして各自考えろ、ということです。
そのため税務調査で、会社がオーナー社長に支払った役員退職金が「不相当に高額」だとしてその一部を否認し、会社側がそれを不服として訴訟等を起こす、といった事例は枚挙にいとまがありません。

 

 

ところで課税庁は訴訟等を起こされた場合、「税務上妥当」な金額がいくらで、「不相当に高額」な金額がいくらであるのかを主張立証しなければならず、これらの訴訟等の中で「税務上妥当な金額」の計算方式をいくつか示しています。
そして、実務上はこれらの計算方式を「役員退職慰労金規程」に採用して支給額を計算する、という方法が一般的となっています。

 

 

そのうち最も多く採用されているのが「功績倍率方式」ですが、詳細は次回解説します。

 

 

 

→役員退職金の税務(7)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(7)〜功績倍率方式〜

vol.196(since 07/01/07〜) 

20/10/08

 

 

前回の記事

 

 

ところで課税庁は訴訟等を起こされた場合、「税務上妥当」な金額がいくらで、「不相当に高額」な金額がいくらであるのかを主張立証しなければならず、これらの訴訟等の中で「税務上妥当な金額」の計算方式をいくつか示しています。
そして、実務上はこれらの計算方式を「役員退職慰労金規程」に採用して支給額を計算する、という方法が一般的となっています。
そのうち最も多く採用されているのが「功績倍率方式」ですが、詳細は次回解説します。

 

 

と書きました。今回は「功績倍率方式」について説明します。
功績倍率とは、以下の算式で計算される倍率を言います。

 

 

功績倍率=退職給与額÷(退職時の報酬月額×役員勤続年数)

 

例えば、役員退職金1億円、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の功績倍率は
1億円÷(100万円×35年)≒2.8となります。

 

 

課税庁は税務調査等で、調査法人の役員退職金の「税務上妥当」な金額を算定する際、「その法人と同種の事業を営む法人で、その事業規模が類似するものの役員退職給与の支給状況」のデータを収集して「功績倍率」を算定し、それを基に支給額が妥当かどうかを判定するのが一般的です。
それならば、企業側も同様のデータを収集して類似法人の功績倍率を算定し、役員退職慰労金規程に採用して支給額を計算すれば「不相当に高額」な部分の金額はないことになります。



つまり役員退職慰労金規程において、支給額を以下のように定めます。

 


役員退職金支給額=退職時の報酬月額×役員勤続年数×功績倍率



仮に功績倍率を「2.0」と定めた場合、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の役員退職金額は



100万円×35年×2.0=7000万円



となります。



そうすると、この功績倍率」をいくらにするか、ということが問題となります。
これは「その法人と同種の事業を営む法人で、その事業規模が類似するものの役員退職給与の支給状況」のデータを収集すればよいのですが、一般の会社が同業種同規模の非公開会社の内部情報を収集するのは極めて困難です(TKCなどの団体から一定の統計データを入手することは可能ですが、どこまでが「類似法人」にあたるのか等々判断に苦慮します)。



そこでこの功績倍率について、過去の裁判(昭和55年東京地裁判決)で課税庁が主張し、最終的には最高裁で支持された以下の役職別功績倍率を規程に取り入れるケースがあります。

 

 

社長  3.0
専務  2.4
常務  2.2
平取締役1.8
監査役 1.6

 


これは社長が3.0であること、役職別に定められていることなどから基準としてわかりやすく、「課税庁が主張している数値だから大丈夫だろう」という安心感(?)もあります。

 

 

しかし「不相当に高額な金額」であるかどうかの判断基準は、法令上「その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の状況」です。この判例で課税庁が主張した功績倍率は、あくまでもこの裁判の原告(不動産業)の類似法人として収集した数値であり、会社の規模、会社の所在地域、退職金支払時期などの諸条件はこの裁判に限られたものです(事実、その後の役員退職金に関する訴訟で功績倍率3.0で計算した退職金が「不相当に高額な金額」であるとされたケースは多数存在します)。



実務上は、役員退職慰労金規程において、この功績倍率方式により計算した金額を「支給限度額」とし、支給時の会社の財務状況や類似法人の収集データ等を考慮して実際の支給額を決定する、といった方法が採られています。


 

 

役員退職金の税務(8)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(8)〜1年当たり平均法〜

vol.197(since 07/01/07〜) 

20/11/02

 

 

前回の記事では、

 

 

実務上は、役員退職慰労金規程において、この功績倍率方式により計算した金額を「支給限度額」とし、支給時の会社の財務状況や類似法人の収集データ等を考慮して実際の支給額を決定する、といった方法が採られています。

 

 

と書きました。
また、功績倍率方式の計算式として



役員退職金支給(限度)額=退職時の報酬月額×役員勤続年数×功績倍率



と掲げました。


ところがこの計算式では、計算された退職金支給額が、その役員に対する過去の役員報酬の支給状況等の実情を反映しないケースがあります。



例えば、功績倍率を「2.0」と定めた場合、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の役員退職金額は
100万円×35年×2.0=7000万円となります。



しかし「退職時の報酬月額」が、何らかの事情で、それ以前の報酬月額と比べて明らかに低い(又は、高い)ような場合は、功績倍率方式では適正な支給額を算定できない可能性があります。



例えば上記の例で、退職前年までの報酬月額は100万円だったが、業績悪化等の理由で退職年に50万円に引き下げてそのまま退職した場合、この計算式にあてはめると、
50万円×35年×2.0=3500万となります。


前記の例と比べると、退職前年までの34年間同様の業務を行い、同様の月額報酬の支給を受けていたにもかかわらず、退職直前の1年間の月額報酬の違いのみで、退職金額に相当の差が生じてしまうことになってしまいます。
このケースでは、功績倍率方式により支給額を計算するのは合理的ではありません。



このような場合には、「1年当たり平均法」により役員退職金を算出するケースがあります。
これは課税庁が訴訟等の場面で「不相当に高額な金額」を算定する際に、功績倍率方式を補完する方法として採用することがあり、この方法を合理的とした裁決例があることから一般的な方法として認められています。



1年当たり平均法は、以下の算式によって計算します。



役員退職金支給額=1年当たり退職金×役員勤続年数


 
ここで「1年当たり退職金」とは、(同業種・同規模法人の)役員退職金の総額÷役員在職年数、の平均額をいいます。



例えば前記の例で、同業種・同規模法人の役員退職金の支給データを収集したところ以下の通りだったとします。



 (A社)退職金支給額5000万円÷勤続年数20年=1年当たり退職金250万円

 (B社)      3500万円÷    15年=        233万円

 (C社)      9000万円÷    30年=        300万円 

 (平均)                           261万円



そうすると、1年当たり平均法による退職金支給額は
261万円×35年=9135万円となります。

 

 

ただしこの1年当たり平均法」は、あくまでも「功績倍率方式」による算出退職金額が不合理であるなど特段の事情がある場合に限って裁判等で採用されている方法です。よって会社の役員退職金規程では原則として「功績倍率方式」に拠って支給額を定め、特段の事情があった場合の計算上のオプションとして「1年当たり計算法」を採用する、と考えるべきです。

 

 

また前回も述べましたが、一般の会社が同業種同規模の非公開会社の退職金支給状況を収集するのは困難です。TKCや顧問税理士を通じて統計データを入手するなどして対応しましょう。

 

 

 

→役員退職金の税務(9)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(9)〜功労加算金・弔慰金〜

vol.198(since 07/01/07〜) 

20/12/02

 

 

さて「役員退職金の税務」というテーマで、ここ3回で

 

 

役員退職慰労金規程を制定し、退職金の支給方法を決定する

・退職金額の計算は、原則として「功績倍率方式」により行うが、例外的に「1年当たり平均法」による場合もある

 

 

と書きました。
ところで、役員退職慰労金規程の中で、以下のような条項を設けている場合があります。



特に功績顕著と認められる役員に対しては、功績倍率方式により計算した金額に、その〇%相当額を超えない功労加算をした金額をもって支給限度額とすることができる。
この「〇%相当額」は、概ね30%を上限として定められているケースが多いようですが、その根拠は定かではありません。)

 

 

例えば役員退職金規程において、
@役員退職金支給額=退職時の報酬月額×役員勤続年数×功績倍率2.0
A功労加算金=@×30%

 

と定めている場合で、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の退職金支給(限度)額は
@100万円×35年×2.0=7000万円
A@×30%=2100万円
@+A=9100万円となります。

 

 

しかし課税庁が税務上の「不相当に高額な金額」を功績倍率方式により計算する際、功労加算金という上乗せ部分は考慮しません。



上記の例で、仮に課税庁がこの会社の妥当な功績倍率を「2.5」と算定した場合、税務上妥当な役員退職金額は
100万円×35年×2.5=8750万円
となり、支給限度額との差額350万円(9100万円−8750万円)は「不相当に高額な金額」として損金の額に算入されないことになります。

 

 

功労加算金を含めた退職金支給額総額を損金算入するためには、役員退職慰労金規程により計算した金額を「支給限度額」として捉え、これとは別に「税務上妥当な金額」をシミュレーションし、その範囲内で支給額を決定する、といった方法が考えられます。



また功労加算金とは別に、役員退職慰労金規程の中で以下のような条項を設けている場合があります。


「役員が任期中に死亡した場合には、次の金額を弔慰金として、退職慰労金とは別に支給することができる。
業務上の死亡の場合)死亡時の報酬月額×36月  (その他の死亡の場合)死亡時の報酬月額×6月」

 

 

これは「死亡退職」に関する取扱いで、上記支給方法や支給額の根拠は法人税ではなく相続税の定めに基づいています。
相続税では、役員の遺族が支払いを受ける弔慰金のうち、上記の算式で計算した金額の範囲内の金額は非課税とし、これを超える部分の金額は退職手当金等として取り扱う旨定められています。



重ねて言いますが、あくまで相続税上の規定です。弔慰金を受け取る側が相続税上非課税だからといって、弔慰金を支払う側が法人税上自動的に損金となる、というわけではありません。
しかし常識的に考えれば、この相続税の定めに基づいて役員退職慰労金規程弔慰金の支給に関する条項を定め、死亡役員の遺族に対して弔慰金を支給した場合は、その支給額は役員退職慰労金とは別に損金の額に算入されるものと考えられます。

 

 

 

→役員退職金の税務(10)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(10)〜死亡退職金〜

vol.199(since 07/01/07〜) 

21/01/08

 

 

前回「役員退職金の税務(9)〜功労加算金・弔慰金」というテーマで述べました。
うち「弔慰金」は、役員が在任中に死亡した場合に、会社が役員の遺族に対して支給するものです。

 


今まで述べてきた役員退職金の「税務」は、基本的に法人税法上の取り扱いで、かつ生前退職が前提でした。
ところで会社が役員退職金を支払うのは生前退職のみならず、役員が在任中に死亡し、その遺族に対して退職金を支払う、という場合があります。
そうすると、役員退職金を受け取るのは役員本人ではなく役員の遺族となるので、受け取った役員の遺族に対する課税関係を考える必要があります。

 


今回は、死亡退職した役員に対して役員退職金を支給した会社、及び役員退職金を受け取る役員の遺族の課税関係を整理します。

 

 

@ 法人税  

 

 

死亡退職の場合、死亡日=退職日となります。もちろん、みなし退職という概念はありません。  
支給手続きは生前退職の場合と同様で、   

 

 

株主総会で、支給すること(及び支給額)を決議→取締役会等で、支給額・支給時期・支給方法等を決議  

 

 

となります。
また、支給した役員退職金の損金算入時期も生前退職と同様で、

 

 

「株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度とする(=決議日基準)。
ただし法人がその退職給与を支払った日の属する事業年度において、その支払った金額につき損金経理をした場合は、これを認める(=支給日基準)」  

 

 

となります。



A 相続税  

 

 

役員の死亡により相続人等が受けた死亡退職金で、その役員の死亡後3年以内に支給が確定したものはみなし相続財産として取り扱い、原則として相続税の課税価格に算入します。
ただし、退職手当金等の支給を受けた者が相続人である場合には、その受けた金額のうち一定額は相続税の非課税財産として取り扱います(非課税限度額=500万円×法定相続人の数)。  
また相続人等が受ける弔慰金のうち、一定の金額は非課税とされています(前回の記事参照)。

 


B 所得税

 

 

退職した役員に対し退職金(生前退職金)が支給された場合、それはその役員の退職所得とされ、支給時にその退職所得に対する所得税及び住民税が源泉徴収されます。   
一方その役員の遺族等が死亡退職金の支給を受ける場合、基本的に所得税は課税されません。  
また死亡退職金とは別に弔慰金が支給される場合、社会通念上相当と認められる部分については所得税は課税されません(前回の記事参照)

 

 

 

→役員退職金の税務(11)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(11)〜死亡退職金・株価への影響〜

vol.200(since 07/01/07〜) 

21/02/03

 

 

 

前回は「役員退職金の税務(10)〜死亡退職金〜」というテーマで、役員が在任中に死亡した場合に、役員の遺族に対して支給される退職金の法人税・相続税・所得税にかかる課税関係について述べました。

 

 

ところで、その死亡した役員が中小企業のオーナー社長である場合、社長はその会社の株式を所有しているケースが大半です。
そうすると、その株式はオーナー社長の相続財産として評価する必要がありますが、死亡退職金を支払った場合はその株式の評価額に影響(簡単に言うと、下がる)します。

 

以前の記事でも書いたように、取引相場のない株式(=非上場株式)の評価方法は、

 

 

@国税庁より随時発表される同業他社の平均値と比較して計算(類似業種比準価額)

A会社の純資産から計算(純資産価額)

 

 

この@とAによって計算した価額をミックスして価額を決定します(ミックスする割合は会社の規模により異なる)。

 

死亡退職金は、A純資産価額の計算上、債務として計上します。

 

債務に計上するのですから、オーナー社長が所有する株式の評価額は、死亡退職金を支給しない場合に比べて株式評価額は低くなります。
他方前回述べたとおり、死亡退職金はみなし相続財産として、非課税限度額を超える部分の金額は相続税の課税価格に算入するので、死亡退職金を支給しない場合に比べて相続財産の課税価格は増加します。

 

 

では、死亡退職金を支払う場合と支払わない場合どちらの方が相続税が少ないか?といった比較は、ナンセンスと考えます。
そもそも、オーナー社長が生前退職した場合に退職金を支払う予定があったのであれば、死亡退職金を遺族に支払うのが当然でしょう。
仮に多額の死亡退職金を支払ったことにより相続税の課税価格及び相続税額が増加したとしても、遺族は「現金」という相続税の納税資金を得られることになります。
換金可能性が極めて少ない自社株式の評価額を下げたうえで「現金」を手に入れることは、相続対策として有効です。

 

 

なお、以下の点に留意が必要です。

 

・純資産価額の計算上、「死亡退職金」は債務として計上しますが、「弔慰金」(前々回の記事参照)は債務とはなりません。

 

役員の死亡により会社が受け取る死亡保険金(契約者及び受取人:会社、被保険者=死亡した役員)がある場合、その死亡保険金はAの純資産価額の計算上財産(未収入金)として計上します(この保険契約にかかる保険積立金等がある場合は、マイナスする)。
 また保険差益(未収保険金−保険積立金等−死亡退職金。さらに法人税上の繰越欠損金額がある場合は控除)がある場合、保険差益の37%を法人税相当額とし、未納租税として債務に計上することができます。

 

 

→役員退職金の税務(12)へ続く

 

 

 

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役員退職金の税務(12)〜死亡退職金・退職金規程がない場合〜

vol.201(since 07/01/07〜) 

21/03/10

 

 

 

以前の記事で、

 


同族会社である中小企業において、「役員の退職」というのはそうそう起こることではありません。あるとすれば「オーナー社長の退職」で、会社からすると数十年に一度となることも多いです。
そうすると、その支給額はオーナー社長の「言い値」になりがちです。退職金額が恣意的に決められてしまうことにより、会社経営に様々な悪影響が生じる恐れがあります。これを防ぐため、会社で「役員退職慰労金規程」を整備し、規程に定められた基準に従って支給額を決定するのが一般的です。

 


と書きました。

 

ところで、すべての会社が役員退職慰労金規程を整備しているわけではありません。
特に役員が急逝した場合など、想定外の事態が生じて規程の作成が間に合わなかった、ということもあり得ます。

 

それでは、会社が役員退職慰労金規程を作成していない場合、役員に対して死亡退職金を支払うことはできないのでしょうか?

 

これに関して、法人税上格別の定めはありません。
上と同じ記事で、

 


ところで課税庁は訴訟等を起こされた場合、「税務上妥当」な金額がいくらで、「不相当に高額」な金額がいくらであるのかを主張立証しなければならず、これらの訴訟等の中で「税務上妥当な金額」の計算方式をいくつか示しています。
そして、実務上はこれらの計算方式を「役員退職慰労金規程」に採用して支給額を計算する、という方法が一般的となっています。
そのうち最も多く採用されているのが「功績倍率方式」です

 

と書きました。つまり、

 

 

・課税庁は「税務上妥当」な金額を計算する際、一般的には「功績倍率方式」により計算する
・しかし会社が役員退職金支給額を計算する際、必ずしも「功績倍率方式」により計算する必要はない(=どのような計算方式であれ、結果として「税務上妥当」な金額であればよい

 

 

となります。

 

同じ記事で触れたとおり、会社が役員退職金支給額を損金に算入するためには、

 


まず、会社が退職した役員に対し退職慰労金を支給するためには株主総会の決議が必要で、これは支給手続きの絶対条件となります。
具体的には、株主総会において「支給金額」「支給時期」「支給方法」を決議し、その金額を「決議日基準」又は「支給日基準」により損金算入することになります。

 

を満たせばよいことになります。
そして退職給与規程等がない場合の具体的取扱いは、法人税法ではなく、相続税法基本通達に具体的に記されています。

 

具体的には、

 

 

(雇用主が被相続人の遺族に支給した金額が)相続税法上の退職手当金等に該当するかどうかは、その支給される金銭が 
退職給与規程等の定めに基づいて受ける場合
→規程により判定 
・その他の場合              
→被相続人の地位、功労等を考慮し、被相続人の雇用主等が営む事業と類似する事業において、被相続人と同様の地位にある者が受けると認められる額等を勘案して判定する

 

とあります。また、

 

 

退職手当金等の支給を受けた者は、それぞれ次に掲げる者をいう。  
退職給与規程等により支給を受ける者が具体的に定められている場合  
→定められている者 
退職給与規程等により支給を受ける者が具体的に定められていない場合、又は規程等がない場合  
→相続税申告書を提出する時までに退職手当金等を現実に取得した者があるとき→取得した者  
→相続人全員の協議により退職手当金等の支給を受ける者を定めたとき    →定められた者  
→上記以外の場合(未分割の場合)                    →相続人全員が均等に取得したものとして取り扱う   



とされています。



これらは相続税についての定めであり、この取扱いが必ずしも法人税においてそのまま適用されるとは限りません。
しかし少なくとも相続税では「退職給与規程等がなく、死亡退職金を支払う」という事態を想定しているわけで、法人税上の処理について一定の根拠にはなり得ます。


とはいえ、これは死亡退職金に関して言えることであり、生前退職金を規程なく支給する場合の根拠とはなりません。
上述の記事で書いたとおり、会社の内部統制上また税務対策上、役員退職慰労金規程は予め定めておきましょう。

 

 

 

→役員退職金の税務(13)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(13)〜役員退職金と生命保険〜

vol.202(since 07/01/07〜) 

21/04/05

 

 

前々回の記事で、死亡退職金がオーナー社長の所有する会社株式の評価額への影響を述べた際、

 

・役員の死亡により会社が受け取る死亡保険金(契約者及び受取人:会社、被保険者=死亡した役員)がある場合、その死亡保険金はAの純資産価額の計算上財産(未収入金)として計上します(この保険契約にかかる保険積立金等がある場合は、マイナスする)。

 

と書きました。

 

ところで、中小企業でこのような形態(契約者及び受取人:会社、被保険者=役員)の生命保険契約に加入することは珍しくありません。
その目的は、役員退職金の原資を確保する」ことにあります。



役員に対する退職金は通常多額になります。功績倍率方式で限度額を計算すると数千万円になることも珍しくありませんが、ここで役員退職金の原資を、中小企業が常に現金で用意しておくことができるのか?」という問題があります。
特にオーナー社長が不慮の事故で死亡した場合などは、役員の遺族に対して死亡退職金を支払うのにとどまらず、売上の減少等により会社の経営・存続に重大な影響を与えることも想定され、数か月分の運転資金を直ちに確保しなければなりません。



そこで、その役員を被保険者とする生命保険契約を締結し、役員が死亡した場合に会社が保険金を受け取る、という仕組みを構築しておくことにより、そのリスクを回避することができるのです。



上記の目的で会社が生命保険契約を締結する際の注意点は、以下の通りです。

 

 

<保険の種類>

生命保険の種類は、その目的により様々な区分の方法がありますが、会社契約という観点から重要なのは中途解約した際の返戻金の有無」となります。
ざっくり言うと、

 

 

返戻金なし=定期保険(いわゆる掛捨て 被保険者の死亡以外を原因として保険金が支払われることはない)

返戻金あり=終身保険・養老保険・一定の定期保険(被保険者の死亡により保険金が支払われるほか、保険期間中に解約すると一定の解約返戻金が支払われる)

 

 

に分けられます。
そして支払保険料の税務処理は、



定期保険(掛け捨て)=全額損金算入

終身保険・養老保険・一定の定期保険=全額又は一部資産計上



となります。
さらにこれらの保険の受取保険金を同額とした場合、支払保険料の金額は



定期保険(掛け捨て)< 終身保険・養老保険・一定の定期保険

 

 

となります。

 

 

保険の目的を「役員の死亡への備え」とするならば、保険金は役員が死亡したときのみ支払われればよいことになります。そうすると、少ない保険料で多額の保険金を得られる、解約返戻金のない定期保険に加入するのが最適です。

 

 

<保険金に対する課税>

保険金受取人は会社であることから、受取保険金は会社の益金となり課税対象となります。
仮に受取保険金が1億円、役員死亡退職金が6000万円とし、同一事業年度に益金及び損金計上した場合、残額4000万円(1億円-6000万円)は課税対象となり、運転資金等に回せるのは税引き後の2800万円(4000万円-4000万円×実効税率30%)となります。

 

 

会社で保険契約を締結する際、「月々いくら支払うか」という支払保険料の観点から保険金額を設定する傾向があります(事実、多くの保険会社はそうした設計書を作成・提案します)。
しかし保険の目的を「役員の死亡への備え」とする限り、まず「役員退職金」「運転資金」の必要額を計算し、「受取保険金に対する法人税」を考慮したうえで、「受取保険金額をいくらにするか」という順序で設計するのがセオリーです。



なお契約の際は、保険金の受取方法として「一時受取」「分割受取」を選択できるようにしておくことが肝要です(受取時の会社の状況によっては、分割受取にした方が財務上、税務上有利となる場合がある)。

 

 

 

→役員退職金の税務(14)に続く

 

 

 

 

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役員退職金の税務(14)〜会社解散と退職金支給〜

vol.210(since 07/01/07〜) 

21/12/06

 

 

 

会社解散の手続きは、通常

 

 

株主総会等による会社解散の決議→解散登記→会社清算手続き→清算結了

 

 

という順に進みます。

 

 

そして会社解散の決議と同時に取締役は全員退任し、新たに清算人が登記され、清算結了までの間清算事務に従事することになります(中小企業の場合、旧代表取締役が清算人に就任するケースが多いです)。



ところで会社が解散し取締役が退任するタイミングで、その退任取締役に役員退職金が支給されることがあります。
しかしその退任取締役が引き続き清算人に就任する場合、清算人は会社法上「役員」であることから、取締役を退任しても「役員」を退任したことになりません。
そうすると、取締役を退任したことをもって支給した役員退職金は「退職したことに起因して支払われることとなった給与」に該当しないから、法人税法上損金の額に算入されないのではないか、といった疑問が生じます。

 

 

これについては、所得税基本通達で、

 

 

「法人が解散した場合において、引き続き役員として清算事務に従事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与は、(所得税法上)退職手当等とする」

 

 

ことが明示されています。
またこれを受けて、国税庁HPの質疑応答事例には、(このような給与は)法人税法上も退職給与として取り扱うことが相当」とされています(ただし、その退職給与の計算の基礎とする期間は「解散前の勤続期間」、つまり取締役として従事していた期間であり、清算人として従事する期間は含まないことに留意してください)。

 

 

なお役員退職金の損金算入時期は、以前の記事で述べたとおり、

 

 

・原則「株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度=決議日基準)」

・例外「法人がその退職給与を支払った日の属する事業年度において、その支払った金額につき損金経理をした場合は、これを認める(=支給日基準)」

 

 

のいずれかを選択することになります。

 


例えば、会社解散に伴い代表取締役が退任後清算人に就任する場合において、

会社解散日=9月30日、退職金支給決議日=9月30日、退職金支給日=10月31日

とすると、役員退職金の損金計上時期は、



決議日基準:   9月30日を含む事業年度(解散事業年度)で計上  (仕訳 役員退職金/未払金)

支給日基準: 10月31日を含む事業年度(清算中の事業年度)で計上(仕訳 役員退職金/現預金)



となります。




→役員退職金の税務(15)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(15)〜M&Aと役員退職金〜

vol.213(since 07/01/07〜) 

22/04/06

 

 

以前の記事「事業承継・後継者をどう選ぶか」で、

 

 

中小企業の場合、最も多いのが社長の子供など「同族関係者への承継」次に考えられるのが「社員の中から後継者を選ぶ」ケース、それができない場合取引先や同業者など「外部から後継者を呼び入れる」という方法があります、



と書きました。

 

 

上記以外の方法として、「M&A」があります。一言で言うと「会社の売却」です。
M&Aが上記の方法と違うのは、オーナーが会社の経営権及び所有権を完全に手放して現金化する、という点にあります。

 


オーナー社長の高齢化に伴い、中小企業で後継者を探すのは年を経る毎に困難となっていて、M&Aの件数は年々増加しているものと思われます。

 

 

中小企業のM&Aは、具体的には「オーナーの所有している自社株式を、買い手に譲渡する」という形で行われるのが主流です。
この場合、オーナーの会社の譲渡価額は「1株当たりの譲渡価額×オーナーの所有株式数」となります。
オーナーは株式を譲渡し会社の所有権を手放します。と同時に代表取締役(及び取締役)を退任し、経営からも退くのが通常です。



なお以前の記事で述べたとおり、自社株式を同族関係者間で売買する場合は、その価額が「時価」であるかどうかが税務上問題となります。しかしM&Aの場合は通常第三者間での取引となるため、その両者で合意した価額は「時価」そのものであり問題はないものと考えます。
自社株式売却時のオーナーの課税関係は、株式の譲渡益(譲渡価額−取得費−譲渡費用)に対し、20.315%の税金(所得税15.315%+住民税5%)が課されます(申告分離課税)。

 

 

ところで役員が退任する場合、退任するオーナー社長に対し「役員退職金」を支払うのが通常です。
M&Aの場合でも、株主総会の決議を経て、役員退職慰労金規程に基づき支給額を決定・支給することにより、会社は支給額を損金とし(不相当に高額な部分の金額の判定は別途必要)、オーナー社長は退職所得として取り扱うことになります

この場合、オーナー社長は「株式譲渡代金」+「役員退職金」得ることになります。



そうすると、M&Aの対価を「株式譲渡代金」のみとして受け取るか、又は「株式譲渡代金」+「役員退職金」として受け取るかにより、オーナー社長に課される税金(所得税+住民税)は異なることになります。
M&Aの目的は、「会社をいくらで売買するか」ということです。売り手であるオーナーからすると、「できるだけキャッシュ(=税引き後の手取り額)が手元に多く残るように」売ることを目的に交渉します。
M&Aの対価を交渉する際は、上記のようなタックスプランニングを行ったうえで具体的な方法を決定することになります。


 

なお役員退職金を支払う場合は、その金額が過大役員退職給与にならないかどうかという点に注意が必要です。
オーナー社長の税対策を考慮して役員退職金を多額に支給したが、その支給額のうちに税務上「不相当に高額な部分の金額」があると判定された場合、その部分の金額は会社の損金に算入されません。これに伴う税負担はM&Aの買い手が負うことになります。


 

 

→役員退職金の税務(16)に続く

 

 

 

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役員退職金の税務(16)〜M&Aと役員退職金・その2〜

vol.214(since 07/01/07〜) 

22/05/11

 

 

前回の記事で、



ところで役員が退任する場合、退任するオーナー社長に対し「役員退職金」を支払うのが通常です。
M&Aの場合でも、株主総会の決議を経て、役員退職慰労金規程に基づき支給額を決定・支給することにより、会社は支給額を損金とし(不相当に高額な部分の金額の判定は別途必要)、オーナー社長は退職所得として取り扱うことになります



と書きました。
では「退任するオーナー社長に対し「役員退職金」を支払う」ことは、いつ、誰が決定するのでしょうか?

 

 

以前の記事で、

 

 

まず、会社が退職した役員に対し退職慰労金を支給するためには株主総会の決議が必要で、これは支給手続きの絶対条件となります。
具体的には、株主総会において「支給金額」「支給時期」「支給方法」を決議し、その金額を「決議日基準」又は「支給日基準」により損金算入することになります。

 

 

と書いたとおり、役員退職金の支給を決定するのは「株主総会」であり、具体的には「決議する時の株主」となります。
そうすると、M&Aの場合オーナー社長は通常その所有する株式をすべて譲渡するのですから、株主総会をいつ開催するのか?が重要となります。
以下検討してみましょう。

 

 

1 役員退職金支給決議後に、株式を譲渡

 

 

オーナー社長が株主であるうちに株主総会を開催し、自身に対する役員退職金の支給を決議します。
その後株式を譲渡しますが、この時点ですでに役員退職金は支給済みであるか、又は法人の債務として確定しているので、オーナー社長はM&Aの対価の一部として既に合意した役員退職金を受け取ることが可能です。

 

 

2 株式を譲渡後、役員退職金の支給を決議



株主総会は、M&Aで株式を取得した新株主によって開催されます。よってオーナー社長に役員退職金の支給を決議するのは「旧オーナー社長」ではなく「新株主」となります。
仮にM&Aの交渉において、会社がオーナー社長に役員退職金を支給することを約していたとしても、株式譲渡後はオーナー社長はその決議に加わることはできません。新株主が株主総会役員退職金支給を決議しない、又は支給額や支給方法を約した通りに行わないとも限らず、「旧オーナー社長」は極めて不安定な立場に置かれます。

 

 

上記1と2を比べれば、M&Aの譲渡側の立場から見て1の方が妥当な方法であることは明らかですし、譲受側にとっても安定した取引となります。M&Aの実行前に役員退職金をあらかじめ確定させることにより、株式の譲渡価額及びM&Aの対価の総額が定まるからです。

 

 

このようにわかりきったことをなぜ敢えて書くのかというと、M&Aの現場では2の手法で行われることが実際にあるからです。
M&A
はそれを業とする仲介業者が間に入って行われることが多いのですが、その場合譲渡契約書等のドラフトは通常仲介業者が用意します。そのドラフトで、役員退職金の支給を条件としているにもかかわらず、その決議や実際の支給は株式譲渡後となっていた、というケースがありました。
当事者間で譲渡契約は有効に成立しているとはいえ、実際に役員退職金支給の段になって誰がどのように手続きを進めるのか、譲渡側、譲受側大変苦慮していました。

 

 

M&Aの当事者にとって最大の関心事は「譲渡価額がいくらになるか」であり、具体的な手続きや契約内容は後回しにしがちです。M&A役員退職金を支給する際は、その支給決議のタイミングや支給金額、支給方法がどうなっているか、契約締結前に譲渡契約書を入念に確認するようにしましょう。

 

 

 

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