vol.165(since 07/01/07〜) 

18/03/15

前々回前回と、役員退職金の「みなし退職」に関する記事を書きました。

要約すると、

・代表取締役が、代表を辞して平取締役になり、以後日常業務に関与しなくなるような場合は「分掌変更」に該当します。

「分掌変更」により役員の職務や責任が大きく変更するような場合は、実質的には役員を退職したのと同様の事情にあると考えられます。中小企業では、この「分掌変更」を原因として役員退職金を支給するケースがしばしば見られます。

法人税法基本通達に掲げている3つの事例は単なる「例示」であり、これにあてはまれば退職給与として必ず認められるという「条件」ではありません。

となります。

さて、ここからは役員退職金のその他のテーマに触れつつ、「みなし退職」との関係を整理していきます。

まずは「損金算入時期」です。「損金算入」とは、「税務上の費用として計上」することを言います。

一般的に、株式会社の役員退職金の支給の手順は

株主総会で、支給すること(及び支給額)を決議

          ↓

取締役会等で、(支給額)・支給時期・支給方法等を決議

となります。

では、役員退職給与の損金算入時期はいつなのでしょうか?

法人税基本通達には、その時期について「株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度とする(=決議日基準)」とあります。


ところが、この通達にはただし書きがあって、

「法人がその退職給与を支払った日の属する事業年度において、その支払った金額につき損金経理をした場合は、これを認める(=支給日基準)」

ともあります

具体的なケースで確認しましょう。


3月決算法人(当期末:平成30年3月31日)が、退任役員に対して退職金を支払います。

イ 株主総会決議日 2月28日
  実際の支給日  3月31日(一括払)

このケースでは、決議日(当期)と支給日(当期)が同じ事業年度なので、役員退職金は当期の損金に算入されます。

ロ 株主総会決議日 2月28日
  実際の支給日  4月 1日(一括払)

このケースでは、決議日(当期)と支給日(翌期)が異なる事業年度となります。この場合、

決議日基準:当期の損金に算入。未払金として計上することになります。
支給日基準:翌期の損金に算入。当期は特に会計処理せず、翌期支払った日に費用として計上します。

どちらの処理も認められることになります。ただし、原則は①と考えておいてください。

上記イロは、支給日が1日ずれるだけで退職金の損金算入時期が1年間ずれてしまう可能性がある、という例です。役員退職金はその支給額が多額で、会社決算に大きな影響を与えます。退職金の決議日と支給日を決める際は十分注意しましょう。

ところで前回、前々回では「完全退職」「みなし退職」に分けて説明してきましたが、上記①②の処理はどちらのケースでも適用可能なのでしょうか?

実は、「みなし退職」の場合には問題が生じることがあります(これについてはまた後日書きます)。
しかし上のイロのように、支給方法が「一括払」で、決議日から支給日までの期間が1カ月程度であれば、「みなし退職」であっても適用可能と考えられます。

では、支給方法が「分割払」の場合はどうなるのでしょうか?
これは次回のテーマとします。

→役員退職金の税務(4)に続く

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