vol.164(since 07/01/07〜) 

18/02/13

前回に引き続き、みなし退職」に関する記事を続けます。

みなし退職」に関しては、

・代表取締役が、代表を辞して平取締役になり、以後日常業務に関与しなくなるような場合は「分掌変更」に該当します。

・「分掌変更」により役員の職務や責任が大きく変更するような場合は、実質的には役員を退職したのと同様の事情にあると考えられます。中小企業では、この「分掌変更」を原因として役員退職金を支給するケースがしばしば見られます。

・「みなし退職」を原因として役員退職金を支給した結果、課税庁側が「事実上退職していない」などとして役員退職金を損金として認めず、裁判にまでもつれ込むケースが多々あります。

と書きました。

では、みなし退職」による役員退職金の支給が税務上認められるための、具体的な「要件」はあるのでしょうか?

巷でよく言われるのが、次の場合は「みなし退職」として認められる、というものです。

①常勤役員が、非常勤役員となる
②取締役が、監査役になる
③分掌変更後の役員の給与が激減(おおむね50%以上の減少)する

この根拠は、法人税法基本通達にあります。「基本通達」は税法を適用するにあたり税務職員が指針とすべき事項であり、国税庁長官から税務職員への指示文書にあたります。

上記①②③は「役員の分掌変更等の場合の退職給与」というタイトルの通達に記載されていて、このような場合に支給される給与は退職給与として取り扱うことができる、と記載されています。

しかし、ここに落とし穴があります。上記の文章はあくまでも単なる「例示」であり、これにあてはまれば必ず認められるという「条件」ではない、ということです。

この通達の本文には、「その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合」とあります。

つまり、形式的に①②③のような行為を行ったとしても、「実質的に退職したのと同様の事情」になければ、退職給与として認められない、ということです。

では「実質的に退職したのと同様の事情」とは具体的にはどのような状況を指すのか?それはケースバイケースであり、各会社のその時の実情に応じて判断することになりますが、現代表者がいなくなったらどうするか?ということを考えればわかりやすいと思います。社内的な役割の変更はもちろんのこと、取引先や金融機関などとの関係も変化することになるでしょう。

「みなし退職」は事実上の退職であり、それゆえ前代表者は「みなし退職」後会社の経営に関与しない。これが退職給与支給の大前提であり、その結果として例えば①②③のようなこととなることがある。この順序を間違えないようにしてください。

→役員退職金の税務(3)に続く

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