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vol.134(since 07/01/07〜)
15/08/11→25/04/15改NEW!
近年、課税庁は「個人の財産」の把握に力を入れていて、特に「富裕層」に対する課税を強化(=課税漏れの防止)しようとしています。
「相続税の増税」「所得税の増税」「マイナンバー」等々、全てこの流れに沿ったものといえます。
その一環として平成26年、「財産債務調書」「国外財産調書」の提出制度が創設されました。そして令和5年分の提出(=令和6年6月30日提出期限分)より、その範囲や方法が改正されています。
改正事項を含めて、それぞれの制度の概要を確認しましょう。
①財産債務調書
<提出義務者>
イ その年の各種所得の金額(退職所得金額を除く)が2000万円を超える人で、かつ、その年の12月31日において計3億円以上の財産(又は計1億円以上の国外転出特例対象財産)を所有している人
ロ その年の12月31日において計10億円以上の財産を所有している人NEW!
<提出期限>
翌年6月30日NEW!
<記載方法等>
・財産の種類、数量、価額、所在並びに債務の金額等を記載し、さらに「種類別」、「用途別」(一般用及び事業用の別) 及び「所在別」に記載する
・財産の価額は、その年の 12 月 31 日における「時価」又は時価に準ずるものとして 「見積価額」による
・改正により、記載の省略や一部省略、簡略化されたNEW!
<優遇規定・罰則規定>
イ 調書を期限内に提出した後、調書に記載した財産債務につき所得税・相続税の申告漏れが生じたとき
→加算税を5%軽減
ロ 調書を期限内に提出しなかった場合、又は期限内に提出された調書に記載がない財産債務につき所得税の申告漏れが生じたとき
→加算税を5%加重
②国外財産調書
<提出義務者>
居住者で、その年の12月31日において、計5000万円を超える国外財産を所有している人
<提出期限>
翌年6月30日NEW!
<記載方法等>
・財産の種類、数量、価額、所在等を記載し、さらに「種類別」、「用途別」(一般用及び事業用の別) 及び「所在別」に記載する
・財産の価額は、その年の 12 月 31 日における「時価」又は時価に準ずるものとして 「見積価額」による(外貨で表示されている国外財産の邦貨換算は、同 日における外国為替の売買相場により行う)
・改正により、記載の省略や一部省略、簡略化されたNEW!
<優遇規定・罰則規定>
イ 調書を期限内に提出した後、調書に記載した国外財産につき所得税・相続税の申告漏れが生じたとき
→加算税を5%軽減
ロ 調書を期限内に提出しなかった場合、又は期限内に提出された調書に記載がない国外財産につき所得税・相続税のの申告漏れが生じたとき
→加算税を5%加重
ハ 期限内提出をしなかった場合、又は偽りの記載をした場合
→1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
この二つの調書制度は、同じ法律(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)で定められているのですが、比べてみるとその取扱いが微妙に異なっているのがわかります(ex.財産債務調書は「財産と債務」を記載するが国外財産調書は「国外財産」のみを記載する(=国外債務は記載対象外))。
そして最も特徴的なのは、②ハの罰則規定が国外財産調書のみの規定で、財産債務調書には設けられていないことです。
もちろん、国外財産調書の未提出が判明したすべての者に懲役刑や罰金刑を課しているということはないでしょう。
しかし法律上、国外財産調書の不提出は財産債務調書のそれよりも重い罪であることは明らかです。
制度開始から10年を経過し、この二つの調書制度については一定の周知が進んだはずですが、改正の内容(提出期限の後倒し、記載内容の簡略化)を見ると、課税庁としてはまだまだ「提出すべき人が提出していない」状況にあると考えているのでしょう。
課税庁が高額所得者の財産の状況を把握する方法としては、従前「財産債務明細書」という所得税法の規定がありました。財産債務調書はこの発展形と言え、納税者からするとこの調書の提出については受け入れやすいと思われます。
しかし国外財産調書は新しく始まった制度であり、また換算替えや評価替えなど価額を決定するのに手間がかかります。制度として定着するにはもう少し時間が必要でしょう。
とはいえこれらの調書の提出は法定事項であり、罰則規定がある以上「知らなかった」ではすまされません。
特に中小企業オーナーの方は「同族会社株式」や「同族会社貸付金」なども財産となります。これらを評価し合計したら提出義務者に該当していた、ということがあり得ます。
提出期限は6月30日に延長されましたが、提出義務があるかどうかの確認は確定申告時が最適です。
毎年確認することを忘れないようにしましょう。
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