vol.186(since 07/01/07〜) 

19/12/13

1 意義

持株会社とは、他の会社(事業会社)の株式を大量に保有することにより、その事業会社の事業活動を支配することを目的とする会社のことを言います。

持株会社を大別すると、

①自らは事業を行わず、子会社からの配当収入を原資として運営するパターン(純粋持株会社)

②自ら事業を行いつつ、子会社を支配するパターン(事業持株会社)

に分けられます。
また持株会社は、通常複数の子会社を傘下に置きますが、子会社が1社のみの場合もあります。

2 メリット・デメリット

持株会社の最大のメリットは、複数の事業会社の経営権を簡便に支配できる、という点にあります。株主は持株会社の株式を保有することにより、持株会社が支配する複数の事業会社を間接的に支配することが可能です。

デメリットは、法人税額等の増加が考えられます。
複数の子会社のうちに利益を計上する会社と損失を計上する会社があった場合、これらの会社の損益は法人税の計算上通算されません。親会社である持株会社と子会社の損益も同様です。
よってこのようなケースでは、グループ会社全体での納税額は単一会社の場合と比べて増加します(このデメリットは、連結納税を導入することにより回避することが可能ですが、その手続き及び財務処理には多大なコストを生じます)。

3 方法

単一の会社を、親会社(持株会社)−子会社(事業会社)の形態とするには、主に3つの方法があります。

①   持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る


最も簡便な方法です。
新設持株会社への出資は、既存事業会社の株主が行うのが通常です(これにより、オーナーは会社の所有を継続することになります)が、特に制約はないので誰が出資しても構いません。
よって事業承継を考慮するのであれば、新設持株会社への後継者の出資比率を高めることにより、将来の承継をスムースに行うことが可能となります。
ところで、新設持株会社は既存事業会社の株式購入資金が必要です。多くの場合、この購入資金は借入金(金融機関又はオーナー等)により手当てすることになります。

② 株式移転


株式移転とは、既存事業会社の発行済株式の全部を新設持株会社に取得させ、既存事業会社の株主に新設持株会社の株式を交付する方法を言います。
この方法により、子会社(事業会社)の株式のすべてを親会社(持株会社)が保有することとなります。また親会社(持株会社)の株主構成は、既存事業会社の株主構成と同一になります。

③ 新設会社分割(分社型分割)

新設会社分割とは、既存事業会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を、分割により設立する会社に承継させることを言います。
具体的には、既存事業会社が新たに会社を設立し、既存事業会社の資産及び負債の全部または一部を新設事業会社に承継させ、新設事業会社はその発行する株式を既存事業会社に割り当てます。この結果、既存事業会社は新設事業会社の株主たる親会社(持株会社)となり、新設事業会社は事業を行う子会社となります。なお持株会社(=既存事業会社)の株主構成に変更はありません。


4 中小企業への適用

この持株会社(ホールディング・カンパニー)方式は、多くの上場企業で採用されています。その目的は、複数の事業を事業会社毎に分離して採算及び経営責任を明確化し、事業のスクラップ&ビルドを迅速に行うことにあります。

ところで近年、この持株会社方式が中小企業でも導入される例が見られますが、その主目的は上場企業とは全く異なるものです。

それはオーナーの相続税対策です。

持株会社方式にすると、オーナーが所有する自社株式の評価額が減少する、という理由から、一部の大手税理士法人が、金融機関等を通じて中小企業に対し積極的に勧めている手法です。



では持株会社方式にすると、本当に自社株式の評価額は下がるのでしょうか?
次回以降検証してみましょう。

→持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?(2)に続く

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vol.187(since 07/01/07〜) 

20/01/11



前回の記事では、

単一の会社を、親会社(持株会社)−子会社(事業会社)の形態とするには、主に3つの方法があります。

 として



① 持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る

② 株式移転

③ 新設会社分割(分社型分割)

を挙げました。

これらの方法のうち、まずは①の持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースを検証します。そして、



1 持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合

2 持株会社設立後10年後に相続が発生した場合

の2つの時点で、それぞれの効果を確認しましょう。

1 持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合

①前提条件

A(B社の代表取締役社長)は、B社(非上場・資本金1000万円・全額Aが金銭出資により設立)の発行済株式のすべてを所有する100%株主です。

・B社株式の時価総額(第三者間での売買適正価額)は10000万円です。

・B社株式の相続税評価額※は7500万円です。

 ※B社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額9000万円(1-0.75)=7500万円とします。
 ※純資産価額9000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。
  なお控除しない場合の純資産価額は10000万円とし、その場合のB社株式の相続税評価額は7750万円(類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額10000万円(1-0.75))です。

・Aは持株会社C社を金銭出資により設立します(資本金は1円とします)。AはC社の100%株主となります。

・C社は設立後直ちに、Aが所有するB社株式全てを時価(10000万円)で購入します。

・C社のB社株式購入資金10000万円は、全額金融機関から借り入れます。

・Aの財産はB社株式のみとします。

C社株式の相続税評価額(B社株式購入直後の純資産価額※)
 ※C社は開業後3年未満の会社に該当するため、純資産価額で評価します。



 資産7750万円(B社株式7750万円)ー負債(借入金10000万円)=△2250万円→0円

Aの所有財産の価額(相続税評価額)



・C社設立前

 7500万円(B社株式)

・C社設立後

 0円(C社株式)+8200万円(現金)※=8200万円

 ※B社株式譲渡収入10000万円ー譲渡税約1800万円【(譲渡収入10000万円ー取得費1000万円)×20.315%】=8200万円



④効果

  持株会社C社設立前、Aの所有財産の価額は7500万円であるのに対し、C社設立後の価額は8200万円です。Aの財産は増加したうえ、生前に1800万円の譲渡所得税を支払っています。
  持株会社を設立しなければ支払う必要がなかった所得税を支払ったうえ、財産の価額が増加する。
  このケースでは、持株会社設立はオーナーの相続税対策になっていないと言えます。




→持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?(3)に続く

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vol.188(since 07/01/07〜) 

20/02/06

前回の記事では、持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースで、持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合の効果を検証しました。

そして、前回の記事で設定した条件下では、持株会社設立はオーナーの相続税対策になっていないと書きました。



では次に、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースで、持株会社設立後10年後に相続が発生した場合の効果を検証します。


2 持株会社設立後10年後に相続が発生した場合

 


①前提条件(前回の前提条件も参照してください)


 ・持株会社C社設立後10年の間、B社の業績は順調に推移し、B社株式の相続税評価額は15000万円※となりました。
  ※B社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額18000万円(1-0.75)=15000万円とします。
  ※純資産価額18000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。
   なお控除しない場合の純資産価額は20000万円とし、その場合のB社株式の相続税評価額は15500万円(類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額20000万円×(1-0.75))です。

 ・B社は親会社であるC社に毎年600万円の配当を行い、C社はこれを原資に金融機関借入金の返済を行いました。その結果、C社の借入金残高は5000万円になりました(配当はすべて借入金返済及び経費支払いに充て、現預金の蓄積はないものとします)。

 ・C社は純粋持株会社であり、B社株式以外の資産は所有していません。

 ・この結果、10年後のC社の貸借対照表(帳簿価額)は以下のようになりました。

  資産(B社株式)10000万円 / 負債(借入金) 5000万円

 ・Aの財産はC社株式及び現金8200万円(B社株式譲渡代金)とします。

C社株式の相続税評価額(純資産価額※)
 ※C社は株式保有特定会社に該当するため、原則として純資産価額で評価します。


  資産15500万円(B社株式15500万円)ー負債(借入金5000万円)ー法人税額相当額2035万円※=8465万円
  ※非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除します。
   このケースでは、
   相続税評価額10500万円(15500万円-5000万円)-帳簿価額5000万円(10000万円-5000万円)×37%=2035万円
   となります。





Aの所有財産の価額(相続税評価額)


・持株会社C社を設立しなかった場合

 15000万円(B社株式)

・持株会社C社を設立した場合

 16665万円(C社株式8465万円+現金8200万円)


④効果



 持株会社を設立したことにより、Aの所有する非上場株式の相続税評価額は減少しました(B社株式15000万円→C社株式8465万円)。
しかしAは、C社設立直後にB社株式を10000万円で売却し、売却代金8200万円(税引き後)を得ています。これを加えると、Aの所有財産の総額(相続税評価額)は持株会社を設立したことにより高くなってしまいました(15000万円→16665万円)。



 「持株会社設立がオーナーの相続税対策になる」と言われる理由の一つは、「非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除する」という規定を適用するためです。
 しかしこのケースではその効果が不十分であり、持株会社を設立することにより逆にオーナーの相続財産が増加してしまいました。結果として何もしなかった方がよかったことになり、持株会社設立は無意味だったことになります。



 なお、以下の点に留意が必要です。



・このケースでは純粋持株会社を想定していますが、この場合相続税評価額の計算上株式保有特定会社に該当し、その株式は原則として純資産価額で評価することになります。
 非上場株式の評価額は基本的に「類似業種比準価額」と「純資産価額」とをミックスして決定しますが、実務では類似業種比準価額よりも純資産価額の方が高額になることが多いです。
 従って持株会社が事業持株会社として一定の事業用資産を所有し、株式保有特定会社の要件に該当しない状況となれば、その株式の評価額に類似業種比準価額が反映されるようになり、一定の評価額の引下げとなる可能性はあります。



・上述の通り、C社株式(持株会社)の評価にあたっては、「非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除する」という規定を適用しています。
 ただしこの規定は、評価会社(C社)が所有する非上場株式(B社株式)の純資産価額の計算にあたっては適用されません。
 Aから見ると、B社株式を直接保有している場合はB社株式に37%控除の規定が適用されるのに対し、持株会社C社を通じて間接保有する場合はB社株式にこの規定は適用されないことになります(C社株式には当然に適用されます)。

→持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?(4)に続く

 

 

 

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vol.189(since 07/01/07〜) 

20/03/09

前回の記事では、持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る>ケースで、持株会社設立後10年後に相続が発生した場合>の効果を検証しました。
そして、前回の記事で設定した条件下では、持株会社設立の効果が不十分であり、設立することにより逆にオーナーの相続財産が増加してしまいましたと書きました。


今回は、この問題を回避する手段を含め、持株会社設立の3つの方法のうち第1の方法持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る>の検証結果をまとめます。



1 持株会社の株式を、後継者が出資する


この方法の前提条件として、「Aは持株会社C社を金銭出資により設立します(資本金は1円とします)。AはC社の100%株主となります。」としています。
これにより、C社株式のすべてはAの財産となります。そしてC社株式の評価額が年々上昇すると、Aの相続財産が増加する、という問題に直面します。

この問題は、AがC社株式を所有しないようにすることによって解決します。つまり、



・持株会社C社設立時にオーナーAが出資せず、後継者Dが全額出資する

                または

・オーナーAが出資設立後、持株会社C社の株価が低い時点で後継者Dに贈与する



ことにより、C社株式の価値増加をAの財産に影響させない、という方法が考えられます。

これを前回の事例<持株会社設立後10年後に相続が発生した場合>にあてはめると、C社株式を引き受けなかった場合のAの相続財産は現金8200万円のみとなり、持株会社を設立しなかった場合(B社株式15000万円)に比べて大きな低減効果を得ることになります。

ただし、AはC社株式を所有しなくなった時点で「オーナー」の地位を手放すことになり、以後会社経営には基本的にかかわることができなくなります。
よってこの方法を採用するためには、Aが会社経営から完全に引退することが条件になる、と言えるでしょう。

2 借入について



このケース<持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る>の最大の特徴は、持株会社設立資金を借入金により調達することにあります。
ところで借入金の調達先として、前提条件では「金融機関」としてきましたが、「オーナー」という選択肢もあります。
それぞれの是非を検証してみましょう。



イ 金融機関からの借り入れ

借入の目的(事業承継資金)に問題はありません。また現在の低金利下の状況では、利息支払額もさほどの負担にはならないものと考えます。



しかしオーナー側からすると、持株会社を設立しなければ借り入れる必要のなかった「外部負債」を負うことになります。
この負債は持株会社C社が負っていますが、C社の収入は事業会社B社からの配当のみです。
B社から見ると、B社はC社が金融機関に返済する元金及び利息に相当する金額の配当を継続する必要があることになります。つまり持株会社C社の借入金の返済原資は事業会社B社の利益であり、この借入金は実質的にはB社の負債と言えます。(なおB社はC社の完全子会社なので、C社が受ける配当はその全額が益金不算入となり、C社は課税所得が生じないどころか毎期運営費相当額の欠損金が生じることが見込まれます)。
B社の業績が順調に推移すれば返済は可能でしょうが、借入金額が事業規模に対して大きすぎるような場合は、B社本来の事業の投資計画に影響を与える恐れがあります。


また事業承継のタイミングによっては、この負債を実質的に負うのはオーナーAではなく後継者Dとなります。つまり、オーナーは後継者に負債を負わせたうえで会社を承継することになるのです。
後継者にとっては経営上の重荷となることでしょう。


蛇足ですが、このスキーム提案の多くは金融機関が融資先企業の情報を大手税理士法人に提供することにより行われているようです。両者がどのような契約を締結しているかは知りませんが、金融機関及び大手税理士法人それぞれに営業上のメリットがあっての提案であることは当然でしょう(そもそも金融機関が大手税理士法人に企業情報を提供することに関して、融資先企業に対するコンプライアンス上の問題はないのでしょうか)。

ロ オーナーからの借り入れ



では、借入先を金融機関ではなく、オーナーとした場合はどうでしょうか(オーナーの貸付金原資は、B社株式の売却資金を充てます)。



持株会社C社からすると、「負債を負う」という点では金融機関から借り入れるのと同じです。しかし返済条件や金利負担の有無は任意で定められます。言わば身内からの借入れですから、後継者にとっても気が楽でしょう。
しかしオーナーAは、C社に対して「貸付金」という財産を有することになります。純粋持株会社であるC社は基本的に現金を有しないため、オーナーがC社から貸付金を一時に回収することは不可能です。
オーナーからすると、現金という「最も処分しやすい財産」が、同族会社への貸付金という「最も処分しにくい財産」に転化することになります。

3 結論



以上3回に渡って、持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースを検証しました。
この検証で言えることは、この方法で持株会社を設立しても、直ちに株価の引き下げとなるわけではない、ということです。

このケースでの持株会社設立の効果を端的に言えば、オーナーが持株会社に株式を売却することにより売却時点で株式の価値を確定し、その後の株式価値の増加を抑制することにあります。
今回の事例では、上記1の持株会社の株式を、後継者が出資する」 の方法を採用することによりオーナーの相続税対策効果が表れました。他方、オーナーは持株会社設立以後会社の株主ではなくなり、以後基本的に会社経営にかかわることができなくなります。
またこのケースのデメリットは、株式売却時オーナーに譲渡所得税が課されること、及び持株会社に借入金(金融機関又はオーナー)という負債が発生することです。これらのメリットデメリットを勘案して、スキーム採用の是非を決定することになります。

→持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?(5)に続く

 

 

 

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vol.190(since 07/01/07〜) 

20/04/01

前回までは3回に分けて、持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースの効果を検証しました。
そしてこのケースでは、オーナーに株式譲渡所得税が発生すること、及び借入金という負債を抱えることがデメリットとして挙げられます、と書きました。

このデメリットを回避するために、組織再編手法の一つである株式移転を用いて、適格要件を満たすことにより株式移転時の譲渡益課税を繰り延べて、課税されることなく持株会社を設立することが可能です。
今回は、株式移転による持株会社設立の効果を検証してみましょう。


1 持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合



①前提条件

A(B社の代表取締役社長)は、B社(非上場・資本金1000万円・全額Aが金銭出資により設立)の発行済株式のすべてを所有する100%株主です。

・B社株式の簿価純資産額(諸資産帳簿価額-諸負債帳簿価額)は9000万円です。

・B社株式の時価総額(第三者間での売買適正価額)は10000万円です。

・B社株式の相続税評価額※は7500万円です。

 ※B社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額9000万円(1-0.75)=7500万円とします。
 ※純資産価額9000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。
  なお控除しない場合の純資産価額は10000万円とし、その場合のB社株式の相続税評価額は7750万円(類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額10000万円(1-0.75))です。

・B社は持株会社C社(資本金9000万円)を設立します。

・Aは有するB社株式すべてを、持株会社C社に移転します。

・AはB社株式移転の対価として、C社株式すべてを受け取ります。これによりB社はC社の完全子会社となり、またAはC社の100%株主となります。

C社株式の相続税評価額(株式移転直後の純資産価額※)
 ※C社は開業後3年未満の会社に該当するため、純資産価額で評価します。
  また、C社が所有するB社株式の純資産価額の計算にあたって、評価差額に対する法人税額相当額控除の規定は適用されません。



 資産7750万円(B社株式7750万円)ー負債0円=7750万円

Aの所有財産の価額(相続税評価額)



・C社設立前

 7500万円(B社株式)

・C社設立後

 7750万円(C社株式)



④効果



持株会社設立前、Aの所有財産の価額は7500万円であるのに対し、C社設立後の価額は7750万円です。Aの所有財産の種類(非上場株式)は変わりませんが、評価方法の差異により評価額が増加する要因があり、このケースでは250万円の増加となります。
持株会社設立の目的がオーナーの相続税対策のみだとすると、その効果はこの時点では全くありません。むしろ会社設立や株式移転に係る費用を支払い、ランニングコストも増加するのですから、デメリットの方が大きいと言えます。

→持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?(6)に続く

 

 

 

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vol.191(since 07/01/07〜) 

20/05/07

前回の記事では、株式移転により持株会社を設立するケースで、持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合の効果を検証しました。

そして、前回の記事で設定した条件下では、持株会社設立はオーナーの相続税対策になっていないと書きました。



では次に、株式移転により持株会社を設立するケースで、持株会社設立後10年後に相続が発生した場合の効果を検証します。


2 持株会社設立後10年後に相続が発生した場合


①前提条件(前回の前提条件も参照してください)


 ・持株会社C社設立後10年の間、B社の業績は順調に推移し、B社株式の相続税評価額は15000万円※となりました。
  ※B社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額18000万円(1-0.75)=15000万円とします。
  ※純資産価額18000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。
   なお控除しない場合の純資産価額は20000万円とし、その場合のB社株式の相続税評価額は15500万円(類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額20000万円×(1-0.75))です。

 ・B社は親会社であるC社に毎年600万円の配当を行いました。C社はこれを全て諸経費の支払いに充て、現預金の蓄積はないものとします。

 ・C社は純粋持株会社であり、B社株式以外の資産は所有していません。

 ・この結果、10年後のC社の貸借対照表(帳簿価額)は以下のようになりました。

  資産(B社株式)9000万円※ / 負債 0円
  ※C社は適格株式移転の適用を受けているので、B社株式の帳簿価額は株式移転時の簿価純資産価額となります。

②C社株式の相続税評価額(純資産価額※)
 ※C社は株式保有特定会社に該当するため、原則として純資産価額で評価します。



 資産15500万円(B社株式15500万円)−負債0円−法人税額相当額2405万円※=13095万円
 ※非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除します。
  このケースでは、
  (相続税評価額15500万円−帳簿価額9000万円)×37%=2405万円
  となります。
  ただしこの規定は、評価会社(C社)が所有する非上場株式(B社株式)の純資産価額の計算にあたっては適用されません。よってB社株式の相続税評価額は15500万円となります。

③Aの所有財産の価額(相続税評価額)


・持株会社C社を設立しなかった場合

 15000万円(B社株式)

・持株会社C社を設立した場合

 13095万円(C社株式)


④効果



 持株会社を設立したことにより、Aの所有する非上場株式の相続税評価額は減少しました。このケースでは、株式移転による持株会社設立に一定の相続税対策の効果があることが確認できました。
 持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取るケースと異なるのは、持株会社が負債(=借入金)を負わない点にあり、この点において借入による買取より優れているといえるでしょう。



 そしてもう一つ、借入による買取との違いは、持株会社設立後もオーナーが株主として継続するという点にあります。
 株式移転の制度上、従来の会社の株主はその株式を持株会社に移転し、その対価として持株会社の株式を受け取ることになるので、従来の会社の株主は必ず持株会社の株主になります。
 以前述べたとおり、借入による買取では、持株会社の株式を後継者が引き受けるなどの対策を講じることによりオーナーが株式を所有しないという選択が可能でしたが、株式移転ではそれはできません。いったんオーナーが取得した持株会社の株式を後継者に移転するには株式を譲渡又は贈与することになり、この時点で課税関係が生じます。

持株会社設立がオーナーの相続税対策になる」と言われる理由の一つは、「非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除する」という規定を適用するためで、株式移転の制度を利用することによりその効果を得ることが可能です。
 一方で、近い将来後継者に株式を承継しようと考えているオーナーには不向きであると言えます。



持株会社は、本当に事業承継対策になるのか?(7)に続く

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vol.192(since 07/01/07〜) 

20/06/03

前回までは2回にわたり株式移転により持株会社を設立するケースの効果を検証しました。
そしてこのケースでは、オーナーに一定の相続税対策効果が見込まれるが、近い将来後継者に事業承継を行おうと考えている場合は不向き、と書きました。

ところで株式移転と同様に、組織再編の手法の一つである会社分割(分社型分割)の手法を用いて、適格要件を満たすことにより移転資産等の譲渡益課税を繰り延べて、課税されることなく持株会社化することが可能です。
では、会社分割による持株会社設立の効果を検証してみましょう。


1 持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合



①前提条件

・A(B社の代表取締役社長)は、B社(非上場・資本金1000万円・全額Aが金銭出資により設立)の発行済株式のすべてを所有する100%株主です。

・B社株式の簿価純資産額(諸資産帳簿価額-諸負債帳簿価額)は9000万円です。

・B社株式の時価総額(第三者間での売買適正価額)は10000万円です。

・B社株式の相続税評価額※は7500万円です。

 ※B社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額9000万円(1-0.75)=7500万円とします。
 ※純資産価額9000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。
  なお控除しない場合の純資産価額は10000万円とし、その場合のB社株式の相続税評価額は7750万円(類似業種比準価額7000万円×0.75+純資産価額10000万円(1-0.75))です。

・B社はC社を設立し、B社が行っている全ての事業※をC社に承継させます。
 ※他のケースと比較する都合上、B社を純粋持株会社とするために、B社が有するすべての資産及び負債をC社に承継させることとします。

・C社は事業を譲り受けた対価として、その発行するC社株式すべてをB社に割り当てます。これによりC社はB社の完全子会社となります。またAは、会社分割後も引き続きB社の100%株主です。



②B社株式の相続税評価額(会社分割直後の純資産価額)



 資産10000万円(C社株式10000万円※)ー負債0円−法人税額相当額370万円※=9630万円

※B社は株式保有特定会社に該当するため、原則として純資産価額で評価します。
※C社は開業後3年未満の会社に該当するため、純資産価額で評価します。
※非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除します。
 このケースでは、
(B社が所有するC社株式の相続税評価額10000万円−同帳簿価額9000万円)×37%=370万円
 となります。
 ただしこの規定は、評価会社(B社)が所有する非上場株式(C社株式)の純資産価額の計算にあたっては適用されません。よってC社株式の相続税評価額は10000万円となります。


 

③Aの所有財産の価額(相続税評価額)



・C社設立前

 7500万円(B社株式)

・C社設立後

 9630万円(B社株式)



④効果



 会社分割前、Aの相続財産はB社株式7500万円(相続税評価額)であるのに対し、会社分割後はB社株式9630万円(相続税評価額)となり、相続税評価額が大幅に上昇してしまいました。これは

・C社が新設法人のため純資産価額方式により評価されること
・C社株式の純資産価額の計算にあたって評価差額に対する法人税額相当額控除の規定は適用されないこと、及び
・B社が株式保有特定会社のため純資産価額で評価されること

  によります(もっとも会社分割の手法を用いる場合、実際は全ての事業を分割会社に承継することはないと思われます。そうするとB社が株式保有特定会社に該当せず、B社株式の評価に類似業種比準価額を用いることにより相続税評価額が低減する可能性はあります)。
  よって持株会社化の目的がオーナーの相続税対策のみとすれば、株式移転の場合と同様、この時点で効果は全くありません。むしろ会社設立や事業移転に係る費用が発生し、ランニングコストが増加し、さらに評価額が上昇してしまうことがあるのですから、この手法を用いた場合は「分割直後の相続発生」という大きなリスクを抱えることになります。

持株会社は、本当に事業承継対策になるのか?(8)に続く

 

 

 

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vol.193(since 07/01/07〜) 

20/07/02

前回の記事では、会社分割により持株会社を設立するケースで、持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合の効果を検証しました。
そして、前回の記事で設定した条件下では、持株会社設立はオーナーの相続税対策になっていないと書きました。


では次に、会社分割により持株会社を設立するケースで、持株会社設立後10年後に相続が発生した場合の効果を検証します。

 
2 持株会社設立後10年後に相続が発生した場合

 
①前提条件(前回の前提条件も参照してください)

・新設子会社C社設立後10年の間、C社の業績は順調に推移し、C社株式の相続税評価額は15000万円となりました。
 ※C社は中会社(Lの割合0.75)とし、類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額18000万円(1-0.75)=15000万円とします。  
 ※純資産価額18000万円は、評価差額に対する法人税額相当額が控除されているものとします。   
  なお控除しない場合の純資産価額は20000万円とし、その場合のC社株式の相続税評価額は15500万円(類似業種比準価額14000万円×0.75+純資産価額20000万円×(1-0.75))です。

・C社は親会社であるB社に毎年600万円の配当を行いました。B社はこれを全て諸経費の支払いに充て、現預金の蓄積はないものとします。

・B社は純粋持株会社であり、C社株式以外の資産は所有していません。

・この結果、10年後のB社の貸借対照表(帳簿価額)は以下のようになりました。

 資産(C社株式)9000万円 / 負債 0円
 ※B社は適格会社分割の適用を受けているので、C社株式の帳簿価額は会社分割時の簿価純資産価額となります。

②B社株式の相続税評価額(純資産価額※) 
 ※B社は株式保有特定会社に該当するため、原則として純資産価額で評価します。

 資産15500万円(C社株式15500万円)−負債0円−法人税額相当額2405万円※=13095万円 
 ※非上場株式の相続税評価額(純資産価額)を計算する際、評価差額(相続税評価額-帳簿価額)に対する法人税額相当額(37%)を控除します。  
  このケースでは、  
  (相続税評価額15500万円−帳簿価額9000万円)×37%=2405万円  
  となります。  
  ただしこの規定は、評価会社(B社)が所有する非上場株式(C社株式)の純資産価額の計算にあたっては適用されません。よってC社株式の相続税評価額は15500万円となります。

③Aの所有財産の価額(相続税評価額)


・会社分割を行わなかった場合

 15000万円(B社株式)

・会社分割を行った場合

 13095万円(B社株式)

④効果

会社分割を行ったことにより、Aの所有する非上場株式の相続税評価額は減少しました。このケースでは、会社分割による子会社設立(=事業会社の持株会社化)に一定の相続税対策の効果があることが確認できました。
そしてその効果は、株式移転の場合と同一であることが確認されました。
具体的には、
会社分割による持株会社化には一定の相続税対策の効果があること
持株会社が負債を負わないこと
・株主が継続すること(=株式を後継者にどのように異動するかは考慮されていないこと)
が挙げられます。



では、株式移転会社分割の違いはどこにあるのでしょうか?   



両者の異なる点は、株式移転の場合は親会社(持株会社)を設立するのに対し、会社分割の場合は子会社(事業会社)を設立する点にあります。   
そして株式移転の場合、事業会社(子会社)は移転前と同様事業を継続して行いますが、会社分割の場合
既存会社がその事業を設立した子会社に移転し、新設子会社が新たに事業を開始します。   
そうすると、会社分割の場合は事業移転コストが生じることになります。具体的には、不動産を移転した場合には不動産取得税(一定要件を満たした場合は非課税)や登録免許税が生じます。また許認可を伴う事業であれば新設子会社が新たに取得する必要があります。   


では、会社分割メリットは何でしょうか?


会社分割、事業の移転を任意に行うことが可能です。上記検証では純粋持株会社を前提としているため、既存会社が有しているすべての資産及び負債を新設子会社に移転することとしていますが、実際は事業の一部を移転し一部は従前どおり既存会社の事業として継続することができます。
このことは、事業の分割のしかたによっては親会社び子会社の
株式の評価方法が変わる可能性があることを意味します。例えば持株会社が一定の資産を保有する(=事業持株会社)ことで株式保有特定会社に該当しないこととなり、その株式を純資産価額方式のみで評価しないこととなった結果、純粋持株会社の場合と比べて評価額が低減する、などということもあり得ます。
株式移転の場合、新設持株会社は当然に純粋持株会社となり、その株式は株式保有特定会社として純資産価額方式で評価します。この点で会社分割の場合と評価方法が異なることとなり、評価額に差が生じる可能性があります。

→カテゴリ:実務編・持株会社

 

 

 

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vol.194(since 07/01/07〜) 

20/08/12

前回まで8回にわたって持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?」というテーマで、主要な3つのケース

① 持株会社を設立し、現事業会社の株式を借入金により買い取る

② 株式移転

③ 新設会社分割(分社型分割)

を挙げ、それぞれのメリット、デメリットを述べてきました。
ここでは最後に、持株会社は、本当に事業承継対策となるのか?」に対する結論を示したいと思います。

答えは「ケースバイケース」です。
事業承継対策になることもあるし、ならないこともある。
つまりこれは「結果論」でしかない、ということです。

「それを言っちゃあおしまいよ」とお思いでしょうが、事実なのですから仕方ありません。
設定した前提条件がおかしいとか、前提条件が違っていたらそのような結果にはならないとかetc.....いう意見もあると思います。
でも前提条件を設定しなければ話が進みません。また条件によって結果が異なるから「ケースバイケース」なのです。

そもそも僕はなぜ、8回にも渡って、こんなしんどいテーマについて触れてきたのか?
その動機は第1回目で書きました。

「ところで近年、この持株会社方式が中小企業でも導入される例が見られますが、その主目的は上場企業とは全く異なるものです。それはオーナーの相続税対策です。持株会社方式にすると、オーナーが所有する自社株式の評価額が減少する、という理由から、一部の大手税理士法人が、金融機関等を通じて中小企業に対し積極的に勧めている手法です。では持株会社方式にすると、本当に自社株式の評価額は下がるのでしょうか?次回以降検証してみましょう。」



もっと直接的な理由を、別の回に記しました。

「蛇足ですが、このスキーム提案の多くは金融機関が融資先企業の情報を大手税理士法人に提供することにより行われているようです。両者がどのような契約を締結しているかは知りませんが、金融機関及び大手税理士法人それぞれに営業上のメリットがあっての提案であることは当然でしょう(そもそも金融機関が大手税理士法人に企業情報を提供することに関して、融資先企業に対するコンプライアンス上の問題はないのでしょうか)。」



これを見ればお分かりだと思いますが、僕はこういった金融機関や大手税理士法人の営業手法に懐疑的です。
彼らの提案は目新しく、今まで顧問税理士からこんな話を聞いたことがないであろう経営者にとってはとても魅力的に映ります。
しかし僕の目から見ると、彼らの提案の主目的はあくまでも「節税」であり、そのスキームが今後の企業の経営に与える影響を軽視(あるいは、無視)しているケースが多い、と言わざるを得ません。
その典型がこの「持株会社スキーム」です。



持株会社の意義は、第1回で書きました。

「この持株会社(ホールディング・カンパニー)方式は、多くの上場企業で採用されています。その目的は、複数の事業を事業会社毎に分離して採算及び経営責任を明確化し、事業のスクラップ&ビルドを迅速に行うことにあります。」



つまり持株会社方式を採用する企業は、一定程度の規模があり、複数の事業を行っていて、かつ財務上の体力があること、が前提となります。だからこそ、持株会社方式にするためのコストが相対的に少なく、また失敗したときのダメージも限定的で済むのです。
このスキームを小企業のオーナーの相続対策を主目的として導入するのは、コストや失敗時のリスクを考えると見合わない。これが僕の基本的な考え方です。



もちろん、クライアントから依頼があれば最善手を検討します。
しかしクライアントには、各手法で述べてきたメリットデメリットに加え、以下のリスクを伝えたうえで実行の可否を決めて頂く、ということになります。


1 相続税法64条による否認リスク



相続税法には、「同族会社等の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、税務署長はその行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、課税価格を計算することができる。」という規定があります。
これは課税庁からすると何でもできてしまう「伝家の宝刀」であることから、実際にこの規定が使われることは滅多にない、と言われてきました。
しかし近年、あまりにも行き過ぎた節税策に対して、この規定を適用してスキーム自体を否認するケースが増えています。
その行為が単に節税を目的として行われたもので、経済的合理性が乏しいと判断された場合、この規定を用いて否認されるリスクは十分にあります。



2 税法改正リスク



法律はいつでも改正される可能性があります。特に税制改正は近年頻繁に行われていて、節税スキームが生み出されるとそれを封じるための改正が行われる、といういたちごっこが続いています。
折角コストと時間をかけてスキームを構築しても、税制改正によりそれが水泡に帰すこともあり得ます。



3 相続は、いつ起こるかわからない

シミュレーションではいずれも持株会社設立後直ぐに相続が発生した場合」持株会社設立後10年後に相続が発生した場合」の効果を比較しました。そして相続発生時期によって効果は全く異なることをお伝えしました。
リスクといえば、これが最大のリスクでしょう(もっとも、「だから早く対策をとらないといけない」という考えもあるのでしょうが・・・・・)。

「持株会社は、本当に事業承継対策になるのか?」は、これで終了します。
金融機関や大手税理士法人から持株会社スキームを提案されている方、どうぞお気軽にご相談ください。

→カテゴリ:実務編・持株会社

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