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贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(3)

vol.162(since 07/01/07〜) 

17/12/11NEW

 

 

前々回は、

 


・相続税評価額によって計算した株価は、相続・贈与でのみ通用する価額であって、譲渡の価額ではない
・自社株式を売買するときの価額は、「時価」を用いる

 

ことを書きました。

 

 

また前回は、

 

・譲渡の場合の自社株式の価額=時価の算定は、相続税評価額を計算する方法を準用する
・時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課される

 

ことを書きました。

 

 

さらに話は続きます。
今回のサブタイトルは「売り手と買い手で違う?自社株式の価額」です。

 

 

まず具体例を挙げましょう。

 


A社の社長Bは、A社の株式を90%所有しています。
残りの10%はCが所有。CはA社の役員で、Bと親族関係はありません。
Cは今年A社を定年退職することになり、BはCが所有するA社株式を購入することにしました。
では、BとCはA社株式をいくらで売買すればよいでしょうか?

 

 

この場合「税務上の時価」を算定し、譲渡価額が「著しく低い価額」にならないかどうか判断することが重要であるということを前回述べました。

 

 

しかし、ここで更に留意点があります。
このケースでは、売り手Cと買い手Bの「税務上の時価」は異なる、ということです。

 

 

この差異が生じる理由は、BとCの関係にあります。
A社は筆頭株主グループ(B)の持株割合が50%超の会社であり、「同族株主のいる会社」に該当します。
またBグループの持株割合は50%超であることから、Bは「同族株主」に該当し、かつ譲渡後のBの持株割合は5%以上(100%)です。
これに対して、Cグループの持株割合は50%以下であることから、Cは「同族株主以外の株主」に該当します。

 


そして税務上の時価は、

 

 

同族株主  →原則的評価方式(前回説明した評価方法です)
同族株主以外→配当還元方式

 

 

により評価します。

 

 

つまり、BとCが所有するA社株式は、同じ株式であるにもかかわらず別々の方法で評価することとなり、その結果異なる税務上の時価が生じるのです。

 

 

配当還元方式とは、おおまかにいうと少数株主の所有する非上場株式に対して適用される評価方法です。少数株主は会社に対する支配権がないため、会社の資産内容ではなく配当額を基準にして評価する、との考え方によります。
中小企業で毎年多額の配当を行っている会社は少ないので、その評価額は原則的評価方式による評価額に比べて低くなるのが一般的です。

 

 

しかし同一の株式でありながら、所有者によって評価額が異なる、というのはおかしな話です。特に上記のように、大株主Bが少数株主Cの所有する株式を買い取る場合、一体いくらで買ったらいいのか?ということになります。

 

 

前回述べたとおり、時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課されます。上記ケースでは、CがBに対して「著しく低い価額」で譲渡する場合が該当します。そしてBは同族株主なので、「著しく低い価額」であるかどうかの判定は原則的評価方式により行います。

 

 

実務上、非上場株式を売買する場合は

 

@売手及び買手が「同族株主」又は「同族株主以外」であるかを判定する
A買手に適用される評価方法(原則的評価方式又は配当還元方式)により「税務上の時価」を算定する
BAの評価額を基に、取引価額が「著しく低い価額」にならない範囲で売買価額を決定する(もちろん、「著しく低い価額」であっても売買は可能ですが、その場合は別途贈与税の申告が必要です)

 

の手順によるのが安全です。

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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