役員退職金の税務(4)〜分割払〜

vol.166(since 07/01/07〜) 

18/04/09

 

 

前回は、「役員退職給与の損金算入時期」というテーマで

 

 

@原則:株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日(=決議日基準
A特例:退職給与を支払った日(=支給日基準

 

 

と書きました。

 

 

そしてこの選択は、支給方法が「一括払」で、決議日から支給日までの期間が1カ月程度であれば、「みなし退職」であっても選択可能と思われます。

 

 

とも書きました。

 

 

では、「みなし退職」で「分割払」の場合はどうなのでしょう?
その前に、そもそも役員退職金の分割払いは認められるのでしょうか?

 

 

所得税基本通達には、

 


「退職手当等(≒退職金)とは、退職したことに起因して一時に支払われることとなった給与をいう」

 

とあります。
そうすると、退職金は「一括払」でなければならない、となりそうです。

 

 

その一方で、法人税基本通達には、

 

「退職一時金の分割払いについては、その未払部分を含めて損金の額に算入することができる」

 

とあるほか、その他にも分割払を認めている部分があります。

 

 

分割払いを認める理由として、「法人の資金繰りの都合」が挙げられています。
役員退職金はその支給額が高額になることが多く、資金ストックの乏しい中小企業の場合、一時払が困難なケースが考えられます。
また退任役員が同族関係者の場合、第三者と異なり「同族関係者だから待ってもらえる」という事情もあるようです。

 

 

以上の通り、実務上「合理的な理由」がある限り、役員退職金の分割払は認められています。
ただし株主総会等で、「退職金の総額」「分割回数」「支給時期・期間」「各回に支給する金額」を予め定めておく必要があります。そうしないと、役員報酬や役員賞与との区別がつかず、退職金としての損金性に疑問が生じることになります。

 

 

ここで話を戻します。
分割払の場合の役員退職金の損金算入時期を考えてみましょう。

 

 

前回イロに続いてのケーススタディです。(当期末:平成30年3月31日 完全退職とします)

 

 

ハ 株主総会決議日 2月28日 
  支給総額    1億円
  支給方法    分割払
  支給時期及び支給額  
   平成30年3月1日 3000万円
   平成31年3月1日 3000万円
   平成32年3月1日 4000万円

 

 

そうすると、損金算入時期は、以下の2通りが考えられます。
 

 

@決議日基準:当期(平成30年3月期)の損金に算入。決議額1億円を未払金として計上することになります。
A支給日基準:各支給期の損金に算入。具体的には

  平成30年3月期 3000万円
  平成31年3月期 3000万円
  平成32年3月期 4000万円

 を、役員退職金として各期の費用として計上し、損金算入します。
 

 

以上の通り、@とAでは、会社の各年度の最終利益は大きく異なることになります。
損金計上時期の決定にあたっては、今後数年間の会社の業績見通し、資金繰り計画、納税計画、金融機関との関係など、諸事情を勘案して判断しましょう。


さて、ここまでは前置きした通り「完全退職」の場合に認められる処理です。
ではみなし退職」で「分割払」 の場合、この処理は認められるのでしょうか?
いよいよこの連載の本丸ですが、続きは次回へ送ります。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・役員退職金

 

 

  

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