vol.247(since07/01/07~)

26/07/01NEW!

 

以前の記事「同族会社への貸付金が、相続財産になる???」で、

 

相続税の計算上、この社長借入金(=同族会社への貸付金)は、基本的に相続財産として相続税の課税価格に算入されます。

 

とし、これを避けるための方法として、

 

①相続発生前に、会社を解散する

②相続発生前に、借入金につき債務免除を受ける

 

を挙げました。そして

 

②によれば、貸付金額の全部または一部の債権放棄をすることになります。しかしこの方法は会社に債務免除益が生じ会社に課税されるだけではなく、他の株主に対する贈与税の課税関係が生じる場合があります。

 

と書きました。

 

この役員借入金の債務免除を行った場合の「会社側の課税関係」については前回触れました。今回は「会社の株主の課税関係」を整理しましょう。

 

なぜ同族会社の役員から会社が債務免除を受けると、その会社の株主に課税が及ぶのか?

 

まずは税法の確認です。相続税法には、

 

対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては・・・・・当該利益を受けた者が、当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす」

 

という規定があります。

 

これは「みなし贈与」と呼ばれている規定ですが、具体的に以下のような行為がこれにあたるとして通達で示されています。

 

<会社に対し、「無償で財産の提供(=借入金の債務免除」があったことにより、同族会社の「株式の価額が増加」したときは、その会社の「株主」が、その「株式の価額のうち増加した部分」に相当する金額を、その「財産を提供した者(=借入金の債務免除を行った役員」から、「贈与」により取得したものとして取り扱う。>

 

以下のケースで具体的にみてみましょう。

 

同族会社A社(清算中)        発行済株式数100株、相続税法上の1株当たりの評価額100円

株主B(清算人で前代表取締役)保有株式数   50株、相続税法上の財産の価額50株×100円=5000円

株主C(Bの妻)                 30株            30株×100円=3000円           

株主D(Bの兄)                 20株            20株×100円=2000円

とします。

 

BはA社に対し貸付金を有していますが、A社は清算の過程でその借入金全額の返済ができないことが判明したため、BはA社に対しその全額の返済を免除しました。

 

そうすると、BはA社に対し「無償で財産の提供」を行ったことになります。

 

仮にBの債務免除により、A社の相続税法上の1株当たりの評価額が120円になったとすると、BからC及びDに贈与された金額は、

 

C 3600円(30株×120円)-3000円=600円

D 2400円(20株×120円)-2000円=400円

 

となります。

 

BはA社に対し「無償で財産の提供」を行い、これによってA社の「株式の価値が増加」したため、株主C及び株主Dが有するA社の「株式の価額のうち増加した部分」の金額は、BからC及びDにそれぞれ贈与されたものとして取り扱うことになります。

 

なお、以下の点に留意が必要です。

 

①この規定は「株式の価額が増加」したときに適用され、それ以外の場合には適用されません。
例えば債務免除の直前の株式の価額が「0円」で、債務免除を行った直後の価額も「0円」であるような場合、株式の価額は増加していないのでこの規定の適用はありません。

 

一般論として、清算中に役員借入金の債務免除をせざるを得ないような状況であるならば、その会社の債務免除直前及び直後の株式の価額(相続税評価額)はいずれも0円であることが多いと思われ、贈与税の課税関係が生じるケースは少ないものと考えます債務免除の時期によっては一時的に株式の価額が増加する可能性はあります)。

 

②この規定は相続税評価額の算定上、配当還元評価の対象となる株主には適用されません。つまり同族会社の株主であっても、いわゆる少数株主に対し贈与税の課税関係は生じないことになります。

 

 

 

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