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vol.197(since 07/01/07〜)
20/11/02
前回の記事では、
実務上は、役員退職慰労金規程において、この功績倍率方式により計算した金額を「支給限度額」とし、支給時の会社の財務状況や類似法人の収集データ等を考慮して実際の支給額を決定する、といった方法が採られています。
と書きました。
また、功績倍率方式の計算式として
役員退職金支給(限度)額=退職時の報酬月額×役員勤続年数×功績倍率
と掲げました。
ところがこの計算式では、計算された退職金支給額が、その役員に対する過去の役員報酬の支給状況等の実情を反映しないケースがあります。
例えば、功績倍率を「2.0」と定めた場合、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の役員退職金額は
100万円×35年×2.0=7000万円となります。
しかし「退職時の報酬月額」が、何らかの事情で、それ以前の報酬月額と比べて明らかに低い(又は、高い)ような場合は、功績倍率方式では適正な支給額を算定できない可能性があります。
例えば上記の例で、退職前年までの報酬月額は100万円だったが、業績悪化等の理由で退職年に50万円に引き下げてそのまま退職した場合、この計算式にあてはめると、
50万円×35年×2.0=3500万となります。
前記の例と比べると、退職前年までの34年間同様の業務を行い、同様の月額報酬の支給を受けていたにもかかわらず、退職直前の1年間の月額報酬の違いのみで、退職金額に相当の差が生じてしまうことになってしまいます。
このケースでは、功績倍率方式により支給額を計算するのは合理的ではありません。
このような場合には、「1年当たり平均法」により役員退職金を算出するケースがあります。
これは課税庁が訴訟等の場面で「不相当に高額な金額」を算定する際に、功績倍率方式を補完する方法として採用することがあり、この方法を合理的とした裁決例があることから一般的な方法として認められています。
1年当たり平均法では、以下の算式によって計算します。
役員退職金支給額=1年当たり退職金×役員勤続年数
ここで「1年当たり退職金」とは、(同業種・同規模法人の)役員退職金の総額÷役員在職年数、の平均額をいいます。
例えば前記の例で、同業種・同規模法人の役員退職金の支給データを収集したところ以下の通りだったとします。
(A社)退職金支給額5000万円÷勤続年数20年=1年当たり退職金250万円
(B社) 3500万円÷ 15年= 233万円
(C社) 9000万円÷ 30年= 300万円
(平均) 261万円
そうすると、1年当たり平均法による退職金支給額は
261万円×35年=9135万円となります。
ただしこの「1年当たり平均法」は、あくまでも「功績倍率方式」による算出退職金額が不合理であるなど特段の事情がある場合に限って裁判等で採用されている方法です。よって会社の役員退職金規程では原則として「功績倍率方式」に拠って支給額を定め、特段の事情があった場合の計算上のオプションとして「1年当たり計算法」を採用する、と考えるべきです。
また前回も述べましたが、一般の会社が同業種同規模の非公開会社の退職金支給状況を収集するのは困難です。TKCや顧問税理士を通じて統計データを入手するなどして対応しましょう。
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