vol.198(since 07/01/07〜) 

20/12/02

さて「役員退職金の税務」というテーマで、ここ3回で

役員退職慰労金規程を制定し、退職金の支給方法を決定する

・退職金額の計算は、原則として「功績倍率方式」により行うが、例外的に「1年当たり平均法」による場合もある

と書きました。
ところで、役員退職慰労金規程の中で、以下のような条項を設けている場合があります。



特に功績顕著と認められる役員に対しては、功績倍率方式により計算した金額に、その〇%相当額を超えない功労加算をした金額をもって支給限度額とすることができる。
この「〇%相当額」は、概ね30%を上限として定められているケースが多いようですが、その根拠は定かではありません。)

例えば役員退職金規程において、
①役員退職金支給額=退職時の報酬月額×役員勤続年数×功績倍率2.0
功労加算金=①×30%

と定めている場合で、退職時の報酬月額100万円、役員勤続年数35年の場合の退職金支給(限度)額は
①100万円×35年×2.0=7000万円
②①×30%=2100万円
①+②=9100万円となります。

しかし課税庁が税務上の「不相当に高額な金額」を功績倍率方式により計算する際、功労加算金という上乗せ部分は考慮しません。



上記の例で、仮に課税庁がこの会社の妥当な功績倍率を「2.5」と算定した場合、税務上妥当な役員退職金額は
100万円×35年×2.5=8750万円
となり、支給限度額との差額350万円(9100万円−8750万円)は「不相当に高額な金額」として損金の額に算入されないことになります。

功労加算金を含めた退職金支給額総額を損金算入するためには、役員退職慰労金規程により計算した金額を「支給限度額」として捉え、これとは別に「税務上妥当な金額」をシミュレーションし、その範囲内で支給額を決定する、といった方法が考えられます。



また功労加算金とは別に、役員退職慰労金規程の中で以下のような条項を設けている場合があります。


「役員が任期中に死亡した場合には、次の金額を弔慰金として、退職慰労金とは別に支給することができる。
業務上の死亡の場合)死亡時の報酬月額×36月  (その他の死亡の場合)死亡時の報酬月額×6月」

これは「死亡退職」に関する取扱いで、上記支給方法や支給額の根拠は法人税ではなく相続税の定めに基づいています。
相続税では、役員の遺族が支払いを受ける弔慰金のうち、上記の算式で計算した金額の範囲内の金額は非課税とし、これを超える部分の金額は退職手当金等として取り扱う旨定められています。



重ねて言いますが、あくまで相続税上の規定です。弔慰金を受け取る側が相続税上非課税だからといって、弔慰金を支払う側が法人税上自動的に損金となる、というわけではありません。
しかし常識的に考えれば、この相続税の定めに基づいて役員退職慰労金規程弔慰金の支給に関する条項を定め、死亡役員の遺族に対して弔慰金を支給した場合は、その支給額は役員退職慰労金とは別に損金の額に算入されるものと考えられます。

 

 

→役員退職金の税務(10)に続く

 

 

 

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