vol.195(since 07/01/07〜) 

20/09/08

以前の記事「事業承継の実務・役員退職金」で、


(役員退職金の)支給の手続きは株主総会の決議によりますが、重要なのは「役員退任慰労金規程」が整備されているか、ということです。規程がなければ退職金を支給する際トラブルになる恐れがあり、古い規程であれば今の会社の実情に合わせて改定する必要が生じることでしょう。」


と書きました。
ここではこの「支給の手続き」について、もう少し詳しく述べます。


まず、会社が退職した役員に対し退職慰労金を支給するためには株主総会の決議が必要で、これは支給手続きの絶対条件となります。
具体的には、株主総会において「支給金額」「支給時期」「支給方法」を決議し、その金額を「決議日基準」又は「支給日基準」により損金算入することになります(役員退職金の税務(3)〜損金算入時期〜参照)


ではその株主総会で、支給額はどのように決めればよいのでしょうか?

同族会社である中小企業において、「役員の退職」というのはそうそう起こることではありません。あるとすれば「オーナー社長の退職」で、会社からすると数十年に一度となることも多いです。
そうすると、その支給額はオーナー社長の「言い値」になりがちです。退職金額が恣意的に決められてしまうことにより、会社経営に様々な悪影響が生じる恐れがあります。
これを防ぐため、会社で「役員退職慰労金規程」を整備し、規程に定められた基準に従って支給額を決定するのが一般的です。

次に、「役員退職慰労金規程」において、支給額はどのように定めるのでしょうか?


役員退職慰労金規程」は社内規程の一部です。よってその内容に制約があるわけではなく、会社毎にその実情に応じて自由に決めることができます。
しかしここで留意しなければならないのが、その定めた金額が「税務上妥当な金額かどうか」の判断です。

法人税では、その支給額が、

・その役員の業務に従事した期間
・退職の事情
・その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の状況、etc

に照らし、不相当に高額」と認められる金額は損金の額に算入しない、とされています(法令70①二)。
つまり役員退職慰労金規程」で定めた金額が「不相当に高額」でなければ、「税務上妥当」である、ということになります。



では法人税で、「税務上妥当な金額」の計算方法は通達等で明示されているのでしょうか?



残念ながら、通達等では具体的な計算方法は明らかにされていません。つまり、上の法令にあるようなことに照らして各自考えろ、ということです。
そのため税務調査で、会社がオーナー社長に支払った役員退職金が「不相当に高額」だとしてその一部を否認し、会社側がそれを不服として訴訟等を起こす、といった事例は枚挙にいとまがありません。

ところで課税庁は訴訟等を起こされた場合、「税務上妥当」な金額がいくらで、「不相当に高額」な金額がいくらであるのかを主張立証しなければならず、これらの訴訟等の中で「税務上妥当な金額」の計算方式をいくつか示しています。
そして、実務上はこれらの計算方式を「役員退職慰労金規程」に採用して支給額を計算する、という方法が一般的となっています。

そのうち最も多く採用されているのが「功績倍率方式」ですが、詳細は次回解説します。

→役員退職金の税務(7)に続く

 

 

 

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