vol.241(since07/01/07~)

25/09/01NEW!

 

前回の記事では、

 

・課税庁が注力する「簡易な接触」とは、文書・電話・来署依頼による申告内容の確認を通じた是正手法で、近年は各税目で活用されている

・課税庁からの接触には、基本的に「税務調査」と「行政指導」があり、「簡易な接触」は「行政指導」に該当すると考えられる

・課税庁から連絡があった場合、その接触が「税務調査」なのか「行政指導」なのかを確認、対応する必要がある

 

と書きました。

 

では「税務調査」と「行政指導」、納税者の側からみてどちらのほうが対応しやすいのでしょうか?

 

前回の記事では、

 

税務調査」は、課税庁が国税通則法の規定により行う質問検査権の行使であり、納税者はその受忍義務を負い、不答弁等の義務違反に対しては刑罰の対象になり得ます。
また税務調査後に修正申告書等の提出があった場合は、過少申告加算税10%(無申告加算税15%)が原則課されます。

 

行政指導」は、納税義務者の自発的な意思に基づく協力を求めるもので、納税義務者に何ら法令上の義務を負わせるものでなく、法令により定められている調査開始・終了など通知等の必要はありません。
この行政指導後に修正申告書等の提出があった場合は、原則として過少申告加算税は付加されず、無申告加算税は5%に軽減されます。

 

と書きました。

 

この違いを見ると、「税務調査」よりも「行政指導」のほうが処分が軽そうで、納税者としては対応しやすいように思えるかもしれません。
しかし私たち税理士の立場からすると、決してそうとは限らないのです。

 

税理士が納税者から委任を受け、法人税・所得税・相続税等の税務申告書を作成するときは、税理士は委任者から「税務代理権限証書」を受領します。そして税務署等に申告書を提出する際、税理士はこの書類を税務申告書に添付して申告します。

 

この「税務代理権限証書」が添付された申告書を提出した納税者に対し税務署等が「税務調査」を行うときは、税務署等は原則として税務調査を行う前に、「税務代理権限証書」に記載されている税理士に対し、調査を行う旨の連絡をしなければなりません。

 

更に納税者から委任を受けた税理士が「書面添付」を実施している場合、税務署等は税務調査を行う前に、「税務代理権限証書」に記載されている税理士に対し「意見聴取」を実施しなければなりません。
そして「意見聴取」の結果、「税務調査が省略される場合」と「税務調査に移行する場合」に分かれますが、いずれの場合もその旨が税理士に通知されます。

 

書面添付については→こちら

 

では「行政指導」の場合はどうでしょう?

 

税務署等が「行政指導」を行うときは、仮に行政指導の対象となる納税者が「税務代理権限証書」が付された申告書を提出している場合であっても、税務署等は「税務代理権限証書」に記載されている税理士に対し、行政指導を行う旨の連絡をする必要はありません。

 

その結果、次のようなことが起こり得るのです。

 

・納税者は、税務申告書の作成や提出を税理士に委任していたにもかかわらず、税務署等の「行政指導」によって、税理士に知らせることなく修正申告書を作成・提出してしまった。

 

・税理士は、税務申告書の作成や提出を納税者から委任を受けていたにもかかわらず、税務署等の納税者に対する接触が「行政指導」であったため、税務署等からは何の連絡もなく、納税者が修正申告書を提出した後にその事実を知った。

 

この問題点はどこにあるのでしょう?

 

例えば「行政指導」の内容が「計算違い」等納税者側の明らかなミスである場合は、早期に自主的な修正申告をする必要があり、行政指導が効果的に行われているケースと言えます(実際に行政指導が行われるのはこのようなケースが多いと思われます)。

 

しかし税理士が納税者から「税務代理権限証書」を受領するということは、「その申告書に関し税務調査が行われる場合はその税理士が立ち会う」ことを意味します。
にもかかわらず、「行政指導」という手法を用いて税務署等が納税者に接触した場合は、受任税理士に連絡がないまま修正申告事務が進行し完結する、というのは違和感があります(修正申告をした場合、後になってそれを訂正する申告=更正の請求はできません)。

 

最後に、重要な点を整理します。

 

・課税庁から納税者に接触があった場合、納税者はその接触が「税務調査」なのか「行政指導(「簡易な接触」を含む)」なのかを確認する。

 

・「行政指導」である場合課税庁から税理士への連絡はないので、納税者は修正申告書等を提出する前に、課税庁から「行政指導」による接触があったことを税理士に伝える。

 

 

 
 
 

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