vol.200(since 07/01/07〜) 

21/02/03

前回は「役員退職金の税務(10)〜死亡退職金〜」というテーマで、役員が在任中に死亡した場合に、役員の遺族に対して支給される退職金の法人税・相続税・所得税にかかる課税関係について述べました。

ところで、その死亡した役員が中小企業のオーナー社長である場合、社長はその会社の株式を所有しているケースが大半です。
そうすると、その株式はオーナー社長の相続財産として評価する必要がありますが、死亡退職金を支払った場合はその株式の評価額に影響(簡単に言うと、下がる)します。

以前の記事でも書いたように、取引相場のない株式(=非上場株式)の評価方法は、

①国税庁より随時発表される同業他社の平均値と比較して計算(類似業種比準価額)

②会社の純資産から計算(純資産価額)

この①と②によって計算した価額をミックスして価額を決定します(ミックスする割合は会社の規模により異なる)。

死亡退職金は、②純資産価額の計算上、債務として計上します。

債務に計上するのですから、オーナー社長が所有する株式の評価額は、死亡退職金を支給しない場合に比べて株式評価額は低くなります。
他方前回述べたとおり、死亡退職金はみなし相続財産として、非課税限度額を超える部分の金額は相続税の課税価格に算入するので、死亡退職金を支給しない場合に比べて相続財産の課税価格は増加します。

では、死亡退職金を支払う場合と支払わない場合どちらの方が相続税が少ないか?といった比較は、ナンセンスと考えます。
そもそも、オーナー社長が生前退職した場合に退職金を支払う予定があったのであれば、死亡退職金を遺族に支払うのが当然でしょう。
仮に多額の死亡退職金を支払ったことにより相続税の課税価格及び相続税額が増加したとしても、遺族は「現金」という相続税の納税資金を得られることになります。
換金可能性が極めて少ない自社株式の評価額を下げたうえで「現金」を手に入れることは、相続対策として有効です。

なお、以下の点に留意が必要です。

・純資産価額の計算上、「死亡退職金」は債務として計上しますが、「弔慰金」(前々回の記事参照)は債務とはなりません。

役員の死亡により会社が受け取る死亡保険金(契約者及び受取人:会社、被保険者=死亡した役員)がある場合、その死亡保険金は②の純資産価額の計算上財産(未収入金)として計上します(この保険契約にかかる保険積立金等がある場合は、マイナスする)。
 また保険差益(未収保険金−保険積立金等−死亡退職金。さらに法人税上の繰越欠損金額がある場合は控除)がある場合、保険差益の37%を法人税相当額とし、未納租税として債務に計上することができます。

→役員退職金の税務(12)へ続く

 

 

 

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