vol.201(since 07/01/07〜) 

21/03/10

以前の記事で、


同族会社である中小企業において、「役員の退職」というのはそうそう起こることではありません。あるとすれば「オーナー社長の退職」で、会社からすると数十年に一度となることも多いです。
そうすると、その支給額はオーナー社長の「言い値」になりがちです。退職金額が恣意的に決められてしまうことにより、会社経営に様々な悪影響が生じる恐れがあります。これを防ぐため、会社で「役員退職慰労金規程」を整備し、規程に定められた基準に従って支給額を決定するのが一般的です。


と書きました。

ところで、すべての会社が役員退職慰労金規程を整備しているわけではありません。
特に役員が急逝した場合など、想定外の事態が生じて規程の作成が間に合わなかった、ということもあり得ます。

それでは、会社が役員退職慰労金規程を作成していない場合、役員に対して死亡退職金を支払うことはできないのでしょうか?

これに関して、法人税上格別の定めはありません。
上と同じ記事で、


ところで課税庁は訴訟等を起こされた場合、「税務上妥当」な金額がいくらで、「不相当に高額」な金額がいくらであるのかを主張立証しなければならず、これらの訴訟等の中で「税務上妥当な金額」の計算方式をいくつか示しています。
そして、実務上はこれらの計算方式を「役員退職慰労金規程」に採用して支給額を計算する、という方法が一般的となっています。
そのうち最も多く採用されているのが「功績倍率方式」です

と書きました。つまり、

・課税庁は「税務上妥当」な金額を計算する際、一般的には「功績倍率方式」により計算する
・しかし会社が役員退職金支給額を計算する際、必ずしも「功績倍率方式」により計算する必要はない(=どのような計算方式であれ、結果として「税務上妥当」な金額であればよい

となります。

同じ記事で触れたとおり、会社が役員退職金支給額を損金に算入するためには、


まず、会社が退職した役員に対し退職慰労金を支給するためには株主総会の決議が必要で、これは支給手続きの絶対条件となります。
具体的には、株主総会において「支給金額」「支給時期」「支給方法」を決議し、その金額を「決議日基準」又は「支給日基準」により損金算入することになります。

を満たせばよいことになります。
そして退職給与規程等がない場合の具体的取扱いは、法人税法ではなく、相続税法基本通達に具体的に記されています。

具体的には、

(雇用主が被相続人の遺族に支給した金額が)相続税法上の退職手当金等に該当するかどうかは、その支給される金銭が 
退職給与規程等の定めに基づいて受ける場合
→規程により判定 
・その他の場合              
→被相続人の地位、功労等を考慮し、被相続人の雇用主等が営む事業と類似する事業において、被相続人と同様の地位にある者が受けると認められる額等を勘案して判定する

とあります。また、

退職手当金等の支給を受けた者は、それぞれ次に掲げる者をいう。  
退職給与規程等により支給を受ける者が具体的に定められている場合  
→定められている者 
退職給与規程等により支給を受ける者が具体的に定められていない場合、又は規程等がない場合  
→相続税申告書を提出する時までに退職手当金等を現実に取得した者があるとき→取得した者  
→相続人全員の協議により退職手当金等の支給を受ける者を定めたとき    →定められた者  
→上記以外の場合(未分割の場合)                    →相続人全員が均等に取得したものとして取り扱う   



とされています。



これらは相続税についての定めであり、この取扱いが必ずしも法人税においてそのまま適用されるとは限りません。
しかし少なくとも相続税では「退職給与規程等がなく、死亡退職金を支払う」という事態を想定しているわけで、法人税上の処理について一定の根拠にはなり得ます。


とはいえ、これは死亡退職金に関して言えることであり、生前退職金を規程なく支給する場合の根拠とはなりません。
上述の記事で書いたとおり、会社の内部統制上また税務対策上、役員退職慰労金規程は予め定めておきましょう。

→役員退職金の税務(13)に続く

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