vol.215(since 07/01/07〜) 

22/07/12

前々回前回事業承継に関連してM&Aに触れましたが、これは基本的に旧オーナー(=譲渡側)の立場から見たものでした。
今回は、後継者(=譲受側)の立場から見た注意点について触れます。

前々回前回で触れたように、M&Aのタイミングで旧オーナーに役員退職金を支給した場合、多額の欠損金が生じた状態で引き継ぐことがあります。青色申告法人であればその欠損金は通常「青色欠損金の繰越控除」の対象となり、10年間繰り越し可能です。

しかしM&A前後のその法人の「状況」によっては、その欠損金が使用できないことがあります。

どのような「状況」かというと、

内国法人で、「他の者」との間に、「他の者」による「特定支配関係(=その内国法人の発行済株式等の50%超を保有する関係等)」を有することとなったもののうち、

・「特定支配関係」を有することとなった日(=支配日)の属する事業年度(=特定支配事業年度)において、特定支配事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額を有するもの(=欠損等法人)が、

支配日以後5年を経過した日の前日等までに一定の事由(=欠損等法人が支配日の直前において事業を営んでいない場合において、支配日以後に事業を開始することなど)」に該当する場合には、

・その「該当することとなった日」の属する事業年度(=適用事業年度)以後の各事業年度においては、

適用事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額については、欠損金の繰越の規定は適用しない

というものですが、とても難解???な規定です。
事例で解説してみましょう。

・A社=被買収会社、3月決算、ここ数年事業を行っていないいわゆる休眠会社

・a=A社のオーナー社長(持株割合100%)

・2022年3月1日、aはb(個人)に対し、aの所有するA社株式全部をbに譲渡する契約を締結しました。

・A社は2022年3月31日、aに対し役員退職金を支給しました。その結果、A社は2022年3月期において欠損金1億円が生じました(A社にはこの事業年度前に生じた繰越欠損金はないものとします)。

・bは2022年4月1日、aの保有するA社株式を全株購入しました。

・休眠会社であったA社は、2022年4月1日から事業を開始しました。

このケースでは、内国法人=A社、他の者=bとなります。

・bがaからA社株式全部を購入した時点(=2022年4月1日)で、A社はbによる特定支配関係を有することになりました。

支配日(=特定支配関係を有することとなった日)は2022年4月1日、特定支配事業年度(=支配日の属する事業年度)は2023年3月期です。

・A社は特定支配事業年度前の事業年度(=2022年3月期)において欠損金1億円が生じたので、欠損等法人に該当します。

そして、

・A社が支配日(2022年4月1日)以後5年を経過した日の前日(2027年3月31日)までに事業を開始した場合には、

・A社は支配日(2022年4月1日)の直前において事業を営んでおらず、支配日(2022年4月1日)以後に事業を開始することに該当するため、

・その該当することとなった日(2022年4月1日)の属する事業年度(適用事業年度=2023年3月期)以後の各事業年度においては

適用事業年度前の事業年度(2022年3月期)において生じた欠損金額(1億円)は繰越控除できない

ことになります。

つまりこのケースでは、A社のM&A前の2022年3月期に生じた繰越欠損金1億円は、M&A直後の2023年3月期のみならず、以後の各事業年度においても繰越控除できないことになります。

この規定は、いわゆる休眠会社を買収することにより、休眠会社が有している繰越欠損金を利用して課税所得を圧縮するという節税スキームを封じるために創設されました。
しかしこの規定は、いわゆる休眠会社のM&A以外にも適用される場面があります。
M&Aを実施するにあたっては、意図せずこの規定が発動してしまう可能性があるので、タックスプランニングを行う際十分留意する必要があります。

→事業承継の実務・役員退職金

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