vol.204(since 07/01/07〜) 

21/06/07

前回は「相続税:単独申告」というテーマで、


共同申告とならないのは、相続人等の間の意見が一致しない場合で、具体的には遺産分割協議がまとまらない、といったケースがほとんどです。

と書きました。また、


相続税の申告期限及び納期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」です。この期限は遺産分割協議成立の有無を問わないので、期限までに協議が成立しない場合は相続人全員が「未分割」として申告書を提出し、納税することになります。

と書きました。


では、未分割の場合はどのように税額を計算するのでしょうか?


申告期限までに財産の全部または一部が分割されていないときは、共同相続人が民法の規定による相続分の割合に従って財産を取得したものとして課税価格を計算し、期限内に申告することとされています。
そして上記申告後財産の分割があり、実際に取得した財産の課税価格が上記申告の課税価格と異なるときは、修正申告による追加納付又は更正の請求による還付(更正の請求書の提出期限は、異なることを知った日の翌日から4月以内)を受けることができます。

例を挙げて説明しましょう。

被相続人A(父)、相続人B(長男)、相続人C(二男)、Aの課税価格が1億円とします。
Aに遺言はなく、BとCの間で遺産分割協議がまとまらないまま申告期限を迎えました。
BとCの法定相続分は各2分の1なので、BとCは各5000万円の課税価格の財産及び債務を取得したものとして相続税を計算し、申告納税します。



この場合、BとCが納付すべき相続税額は、



課税遺産総額 1億円-(基礎控除額3000万円+600万円×2)=5800万円

相続税の総額 (5800万円÷2×15%-50万円)×2=770万円

各相続人の納税額 770万円×法定相続分2分の1=385万円

となります。

申告期限の1年後、遺産分割協議が成立しました。
協議の結果、課税価格ベースでBは7000万円、Cは3000万円の財産及び債務を取得しました。


ここでBとCが納付すべき相続税額を再計算すると、



課税遺産総額 5800万円(変更なし)

相続税の総額 770万円(変更なし)

各相続人が納付すべき納税額 B 770万円×あん分割合0.7=539万円

              C 770万円×あん分割合0.3=231万円

そうすると、法定相続分で既に納税している金額と差が生じます。

B 539万円-385万円=154万円(不足)

C 231万円-385万円=△154万円(超過)

よって、Bは修正申告書を提出し、不足額を納付します。
また、Cはその課税価格が異なることを知った日(=通常、遺産分割協議成立の日)の翌日から4月以内に更正の請求書を提出し、納め過ぎた税額の還付を受けます。



なお、以下の点に留意が必要です。



・Bが提出すべき修正申告書の提出期限は特に定められていません。しかしCが更正の請求書を提出することにより、税務署はAの相続について課税価格が異動したことを知ることになるので、税務署長は職権によりBの課税価格を更正し、不足税額を納付させることになります。(更正の場合過少申告加算税等が課されますが、自主的な修正申告の場合は通常課されません)。


課税価格が異動した場合に、相続税額の再調整(Bは修正申告書を提出し、Cは更正の請求書を提出する)をするかどうかは納税者の選択に委ねられています。つまりBとCが合意すれば、共に上記申告書を提出する必要はない、ということです(税務署からすると、Aの相続税の総額770万円が正しく納税されればよく、その内訳をBCがどのような割合で負担しようが構わない)。
 しかし普通、Cはこのままでは納得できないでしょう。そして、遺産分割によって生じた相続税の差額相当額154万円をBに支払うよう要求します。ここでCがBに154万円を支払った場合、CはBから贈与を受けたものとして贈与税が課されます。相続税の差額相当額についてBC間に贈与税の課税が生じないようにするためには、上記の申告書及び請求書の提出により税務署を通じて精算する必要があります。

→カテゴリ:相続&贈与

 

 

 

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