vol.203(since 07/01/07〜) 

21/05/11

被相続人の課税価格が基礎控除額を超える場合、相続又は遺贈によって「財産を取得した人」は、相続税申告書の提出と相続税の納税義務を負います。
そして「財産を取得した人」が2人以上いる場合、それぞれの相続人等がこれらの義務を負うわけですが、一般的に「相続税申告書の提出」は相続人等が共同で行います。
つまり、

①全相続人等は共同して一人の税理士に申告書の作成を依頼

           ↓

②税理士は相続人等から資料を入手、ヒアリングし、相続税申告書を作成

           ↓

③全相続人等は同一の申告書に署名押印

           ↓

④税理士は全相続人等に納付書を交付し、相続人等はそれぞれ相続税を納付

となります。


ところが、上記「全相続人等は共同して一人の税理士に申告書の作成を依頼」とならないケースがあります。



例えば「母は亡父が生前世話になっていたA税理士に依頼したいが、長男は自分の知り合いであるB税理士に依頼したい」といった場合です。
しかしこのようなケースでは、母と長男が話し合ってA税理士又はB税理士いずれか一人に依頼する、というのが一般的です。
共同申告とならないのは、相続人等の間の意見が一致しない場合で、具体的には遺産分割協議がまとまらない、といったケースがほとんどです。

相続税の申告期限及び納期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」です。この期限は遺産分割協議成立の有無を問わないので、期限までに協議が成立しない場合は相続人全員が未分割として申告書を提出し、納税することになります。
たとえ未分割であっても、相続人全員が共同で一人の税理士に依頼すればそれは「共同申告」となります。
しかしそもそも「まとまっていない」のですから、相続人全員が共同で一人の税理士に依頼せず、それぞれ別の税理士に申告を依頼する可能性があります。その場合、相続税申告は各相続人がそれぞれ「単独」で行うことになり、それは相続税法上も可能です。

しかし「単独申告」の場合、以下のような問題があります。



・相続人により「申告する」「申告しない」の判断が分かれる可能性がある 

 相続税の申告納税義務があるかどうかは、各相続人がそれぞれ判断することになります。そうすると、本来相続人全員に申告納税義務があるにもかかわらず、ある相続人は自分にはないと判断し手続きをなにもしない、ということがあり得ます。
 


・相続人毎に被相続人の「課税価格」が異なる可能性がある 

 たとえ相続人全員が申告したとしても、被相続人の有していた財産債務をすべての相続人が把握しているわけではありません。また事実関係の認識の相違から、依頼する税理士によって財産債務の評価が異なることがあり得ます。その結果税務署には、一人の被相続人の申告書であるにもかかわらず、複数の相続人から課税価格の異なる申告書が提出されることになります。


 上記いずれの場合も後日税務調査の対象となる可能性が高く、調査によってあるべき課税価格と納税額が算出されたうえで税額が是正されます。そして申告していなかったり納税額が不足している相続人は、本来納付すべき税額のほか、無申告加算税、過少申告加算税、延滞税等が課されます。



以上のことから、相続税申告は「共同申告」が望ましいと考えます。
しかしやむを得ず「単独申告」とする場合は、上記のようなリスクがあることを相続人全員で共有しておくことが肝要です。



→カテゴリ:相続&贈与

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