金庫株(7)〜取得後の処理〜消却

vol.184(since 07/01/07〜) 

19/10/15

 

 

金庫株〜取得後の処理〜というテーマで、「保有」「処分」「処分価額」と続けましたが、最後は「消却」です。
自己株式の「消却」とは、文字通り、株式を消滅させることを言います。


では自己株式の消却について、会社法・会計・税務の視点から確認しましょう。

 

 

1会社法

 

自己株式の消却は、取締役会の決議により行います。
また消却により、消却株式数に対応する発行済株式総数が減少することから、登記が必要となります。

 

2会計

 

自己株式を消却した場合は、自己株式の帳簿価額を「その他資本剰余金」から減額します。
自己株式
の帳簿価額が「その他資本剰余金」より大きい場合は、まず「その他資本剰余金」を減額(この結果、資本剰余金は0円になる)し、減額しきれなかった金額は「その他利益剰余金」から減額します。


 
ケーススタディです。
A社の純資産の部は以下のようになっています。

 

  
 資本金       10,000,000(払込金額1,000円/株×10,000株)   
 その他資本剰余金       0 
 その他利益剰余金  40,000,000 
 自己株式          △20,000,000(取得価額20,000円/株×1,000株)   



A社は取締役会で自己株式1,000株の消却を決議しました。
その結果、A社の純資産の部は以下のようになります。

 

 

  資本金       10,000,000   
  その他資本剰余金       0 
  その他利益剰余金  20,000,000

 

 

シンプルですね。
ところで、こんな疑問が湧きませんか?
「株式を消却するのだから、資本金の額が減少するのではないか?」

 

 

答えは「NO」です。
会社法上、「自己株式の消却」と「資本金の額の減少」は別個の行為として位置づけられています。
資本金の額を減少させるためには、別に減資の手続きが必要です。



しかし1で記したとおり、発行済株式総数は減少します。
A社の場合、自己株式消却後の発行済株式数は9,000株(10,000株−消却1,000株)となりますが、資本金は1,000万円と変更がないことに注意が必要です。

 

3税務

 


結論から言うと、自己株式を消却しても株主等に対して格別の課税関係は生じません。
以前の記事で述べたとおり、会社が自己株式を取得(=金庫株)したときには、譲渡した株主に所得税が課されるなどの課税関係が生じます。
会社が自己株式を取得したときは、税務上「資本の払戻し」として捉えます。
つまり税務上は、自己株式を取得したときに、その株式は消滅したものとして取り扱うため、「消却」した時点での影響はないことになります。

 


ところで、自己株式を消却する目的とは何でしょうか?
自己株式の消却により、発行済株式数は減少し、また純資産の部から「△自己株式」の表示が消滅します。
しかし税務上、財務上の影響はありません。
そうすると、消却の目的は「会社の決算書を整理する」、つまり見た目をよくする、ということにありそうです。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

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