金庫株(3)〜自社株を買うと、株価が高くなる?

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19/06/11NEW

 

 

新聞記事(日本経済新聞2019年5月23日)によると、最近、上場企業の自社株買いが急増しているそうです。

 

その目的はなんでしょうか?
同記事によれば、「自社株買いは、株式需給が引き締まり株価を高める効果があるほか、1株当たりの利益も増える。少ない資本でどれだけ効率的に稼ぐかを示す指標、自己資本利益率(ROE)を底上げする効果もある。」とあります。

 

 

会社が自社株式=金庫株を取得すると、株価が高くなる?
これって本当なんでしょうか???

 


実はこのロジックには、「その会社の株価が、本来の価値(=上場株式が、市場に流通していないと仮定した場合に取引されるであろう価額)と比べて市場で過小評価されている場合」という条件が付きます。
事例で説明しましょう。

 

 

A社は発行済株式数1万株、1株の「本来の価値」を1万円とすると、この時点での会社の本来の純資産は
1万株×1万円=1億円となります。
この時、A社株式は市場で8000円で取引されていたとします。「本来の価値」に対して、2000円割安です。


ここで発行会社は、市場で2000株を自社株式として取得します。
この時の自社株式購入資金は、2000株×8000円=1600万円となります。


そうすると、自社株式取得後の会社の純資産は
1億円−1600万円=8400万円
となり、会社の1株当たりの「本来価値
8400万円÷(1万株−2000株)=10500円となります。

 

 

つまり、会社が金庫株を、市場から割安な価額で取得することによって、他の株主の所有する株式の「本来価値」が上昇したことになるのです(この事例では、10000円→10500円)。

 

しかし上場株式の「本来価値」が上昇しただけでは、株式の「潜在的な利益」が増加したのみで、株主に直接のメリットはありません。
会社が自社株式を取得後増配したり、また更なる割安感が生じれば株式の需要(=人気)が高まります。この結果株式の「市場流通価額」が上昇することによって、株主に具体的なメリットが生じることになります。

 

では上場株式のように、非上場会社が自社株買いを行った場合、他の株主の所有する株価は高くなるのでしょうか?

 

もうお分かりと思いますが、非上場株式は市場に流通しないので「市場流通価額」はなく、「市場流通価額」と「本来価値」との差は生じることがありません。よって理論上、非上場会社が株主から「本来価値=時価」で株式を購入する限り、他の株主の価額は上がることも下がることもありません。
「著しく低い価額」で取得した場合の課税関係については、以前の記事参照

 

 

非上場会社が自社株式を取得する主な理由は前回前々回に書きました。非上場会社に限れば、これらの理由以外には金庫株を取得するメリットはなさそうです。

 

では、会社は取得した金庫株をどうすればよいのでしょうか?次回以降のテーマとします。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

 

 

 

 

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