贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(2)

vol.161(since 07/01/07〜) 

17/11/08

 

 

さて前回の記事では、

 


相続税評価額によって計算した株価は、「相続・贈与でのみ通用する価額」であって、「譲渡の価額」ではない
・自社株式を売買するときの価額は、「時価」を用いる

 

 

ことを書きました。

 

 

では、譲渡の場合の自社株式の価額=時価はどのように算定するのでしょうか?

 

 

前回の記事で述べたとおり、「時価」とは、「純然たる第三者間において、種々の経済性を考慮して決定された価額」とされています。

 

 

そうすると、時価は一つとは限りません。譲渡するときのお互いの状況、時期、相手によって、同じものでも異なる値段が付くことは十分にあり得ます。同時に、時価の算定方法も一つではない、ということになります。

 

 

その算定方法のうちの一つが「相続税評価額を計算する方法を準用する」という方法です。

 

 

具体的には、相続税評価額を計算するルールのうち、

 

 

・純資産価額の計算上、土地・上場有価証券はその譲渡の時の価額で計算する
・純資産価額の計算上、評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しない
・会社の規模を常に「小会社」として計算する

 

 

等々、細かなルール変更を行ったうえで計算した金額を時価としてよい、とされています(ここでは「税務上の時価」と言います)。

 

 

では、なぜ自社株式の譲渡は時価で行わなければいけないのでしょうか?

 

 

時価より「著しく低い価額」で譲渡を行った場合、時価と実際の対価との差額は贈与があったものとされ、買主に贈与税が課されるためです。

 

 

例えば、こんなケースです。
Aさんは所有する自社株式1000株を、Bさんに譲渡しました。
自社株式の「税務上の時価」は1株1万円でしたが、実際は1株5千円で譲渡しました(便宜上、1株5000円は「著しく低い価額」であるものとします)。

 

 

そうすると、AさんはBさんに、時価1000万円(1万円/株×1000株)の自社株式を、実際は500万円(5千円×1000株)で譲渡したことになります。

 

 

Bさんからすると、Aさんから500万円(時価1000万円−譲渡価額500万円)の利益を受けたことになります。
この利益が、BさんがAさんから贈与によって取得したものとみなされ、Bさんは500万円に対する贈与税を支払うことになるのです。

 

 

このような課税を避けるためには、事前に「税務上の時価」を算定し、譲渡価額が「著しく低い価額」にならないかどうか判断することが重要となります。

 

 

では「著しく低い価額」とはいくらなのか?
これについては様々な判例・裁決例が出ています。一定の考え方はありますが、基本的にはケースバイケースで判断することになります。

 

 

自社株式の売買をする際は時価で行うべきこと、時価で行わなかった場合は課税関係が生じる恐れがあることをご留意ください。
時価の算定については、事前に税理士に相談することをお勧めします。

 

 

 

→贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(3)に続く

 

 

 

 

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