vol.232(since07/01/07~)

24/06/06NEW! 

 

以前「贈与と譲渡で違う?自社株式の価額(3)」という記事で

 

売り手が(譲渡直前において)同族株主  →原則的評価方式前回説明した評価方法です)

売り手が(譲渡直前において)同族株主以外→配当還元方式

により評価します。

 

と書きました。また

 

配当還元方式とは、いわゆる少数株主が「相続により取得」した非上場株式、及び少数株主が「譲渡又は贈与した」非上場株式に適用される評価方法です。少数株主は会社に対する支配権がないため、会社の資産内容を反映する原則的評価ではなく、その会社から受けた配当額を基準にして評価する、との考え方によります。
中小企業では毎年多額の配当を行っている会社は少ないので、その評価額は原則的評価方式による価額に比べて低くなるのが一般的です。

 

と書きました。

 

では配当還元方式では、具体的にどのように計算するのでしょうか?

 

国税庁タックスアンサー「取引相場のない株式の評価」には、

 

配当還元方式とは、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10パーセント)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

 

とあります。
具体的な計算方法は通達で以下のとおり定められています。

 

評価時期の直前期及び直前々期につき、以下の算式で計算した金額の平均額

(その株式に係る年配当金額/10%)×(その株式の1株当たりの資本金等の額/50円)

※上記算式中、「その株式に係る年配当金額」とは、「1株当たりの資本金等の額」を50円とした場合の金額です。また、この金額が2円50銭未満(無配を含む)の場合は2円50銭とします。


事例で説明しましょう。

 

・評価会社の資本金:1000万円、発行済株式数:1万株
1株当たりの資本金等の額=1000万円÷1万株=1000円、となります。

 

・決算期:3月、配当の効力の生ずる日:毎年6月1日、評価時期:2024年6月30日

→当期:2024年4月1日-2025年3月31日
 直前期:2023年4月1日-2024年3月31日
 直前々期2022年4月1日-2023年3月31日、となります。

 

・配当額
 当期(効力発生日:2024年6月1日) 
   
0%(1株当たり0円→1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の年配当金額=0円)   
 直前期(効力発生日:2023年6月1日) 
   5%(1株当たり50円
1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の年配当金額=2円50銭
 
直前々期(効力発生日:2022年6月1日)
   1
0%(1株当たり100円1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の年配当金額=5円

 

この場合、評価会社の評価時期における株式の配当還元価額

直前期 (2円50銭/10%)×(1000円/50円)=500円
直前々期(5円/10%)×(1000円/50円)=1000円
③(①+②)÷2=750円

となり、1株1000円の株式の価額が750円と算出されます。

 

この算式から、以下のことがわかります。

 

・評価会社が10%配当を継続した場合配当還元価額は、1株当たりの価額と同額になる(1株1000円の場合、1000円)

・評価会社が無配を継続した場合配当還元価額は、1株当たりの価額の4分の1となる(1株1000円の場合、250円)

 

注意しなければならないのは「直前期」及び「直前々期」のその株式に係る年配当金額で、ここでいう「年配当金額」は「直前期」「直前々期」中に効力が生じたもの、となります。

 

評価会社の配当支払いを年1回、決算配当のみとすると、決算配当の決議は通常その事業年度終了後2月(又は3月)後に行われるので、実際にその配当の効力が生じるのは「翌事業年度」になります。
つまり決算配当の場合、「直前期」に効力が生じた配当とは「直前々期」の決算に係る配当となります。上記の事例のように、年により配当金額が変わる場合は注意が必要です。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・自社株式

 

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