08/05/06
今回は、大変わかりにくい「リース」についての話です。
平成19年度の税制改正(つまり、前年です)で、リース税制について大きな改正がありました。
会社がリース会社から資産を「リース」により賃借した場合、会社はリース期間中、リース会社に対し「リース料(一般的には、毎月定額)」を支払います。会社は、その支払った金額を「リース料」又は「賃借料」などの科目で支払いの都度経費に計上する、というのが従来の処理方法でした。
改正後は、「リース取引」を行った場合、リース資産の引き渡しを受けた時点で「売買」があったものとされます。つまり、税法上は「リース物件をリース会社から購入した」ことになるのです。
会計上は、リース資産の引き渡しを受けた時点で、会社はリース期間中に支払うリース料総額相当額を「リース資産」として資産計上するとともに、同額を「リース債務」として負債に計上することになります。(この規定は、平成20年4月1日以後締結するリース契約より適用されます。)
また、このリース資産は「リース期間定額法」により減価償却を行うこととなります。一般的なリース取引であれば、この「リース期間定額法」により計上される「減価償却費」と、支払う「リース料」の金額は一致します。
ただし、法人(所得)税法は「例外処理」も認めており、今まで通りリース料の支払いの都度「リース料」として経費処理しても、それは「減価償却費」として取り扱うこととされています。上述のとおり、通常「減価償却費」の金額と「リース料」の金額は一致するので、従来どおりの経理方法でも利益や課税所得の金額には影響しません。
ところが、この改正で大きく変わるのが消費税の取り扱いです。
改正前は、リース料の支払いの都度「課税仕入れ」としていました。ところが改正後は、リース資産の引渡しを受けた時点でリース資産を「購入」したものとされます。つまり通常の資産購入と同様、資産引渡し時に、リース料総額相当額を「課税仕入れ」として仕入税額控除を行うこととされました。
注意しなければならないのは、消費税では法人(所得)税のような「例外処理」はない、ということです。つまり、会計上「例外処理」をし、リース資産及びリース債務を計上せず、今までどおりリース料を経費処理する場合でも、消費税ではリース資産の引渡し時に仕入税額控除を行わなければいけません。
以上の通り、リース取引は、
法人税・所得税法上 原則:売買処理 (例外:賃貸借処理)
消費税法上 売買処理 (例外なし)
というのが改正の内容です。
またひと口に「リース取引」としましたが、実際にはリース取引にはいくつかの種類があり、全てのリース契約がこの規定の適用を受けるわけではありません。リース契約ごとに、契約書の内容や取引の実態にしたがって判定することになります。
今後、いろいろなパターンの「リース商品」が生まれる可能性があります。まだまだ情報が少ないのですが、今後リース契約を締結する際には、以上の点に注意して契約及び会計処理をする必要があります。
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