12/03/01
さて、2月16日から始まった確定申告は早くも折り返し地点を迎えました。やはり今年のトピックは、前回の記事のテーマ「寄附金控除」のようです。そこで今回は、上甲会計でお預かりしているクライアントの申告の中から、「寄附金控除」で実際にあった事例を、Q&A方式でお送りします。
Q1 今回の大震災に関連し、所属しているロータリークラブに義援金を支払いました。クラブからは「義援金として」と記載されている、所属クラブが発行した領収書を受領しました。この「義援金」は寄附金控除の対象になりますか?
A1 原則として、対象になりません。
対象になるケースは、
① ロータリークラブが義援金を取りまとめて、一括して日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座などに支払っていること
及び、
②ロータリーが税務署の確認を受けていること
の両方を満たしている場合に限ります。
その場合、ロータリーは「税務署の確認を受けている」旨の預り証を発行しますので、その証明書があれば控除の対象になります。
Q2 ロータリークラブに、寄附金を1年間で計10万円支払いましたが、ロータリークラブから送られてきた「証明書」には2万円としか記載されていません。この場合、2万円分しか控除の対象にならないのですか?
A2 ロータリークラブに対して「寄附金」名義で支払った寄付金が、全て控除の対象になるわけではありません。
例えば地元のロータリークラブが窓口となって、最終的に「公益財団法人ロータリー日本財団」や「公益財団法人ロータリー米山記念奨学会」に支払った寄附金は、「税額控除」又は「所得控除」の対象になります。
ご質問の件では、支払った10万円のうち、2万円が、ロータリークラブを通じてこれらの団体に寄附されたと思われますので、その場合2万円のみが控除の対象となります。
Q3 ユニセフに毎月1万円ずつ募金しています。確定申告の時期になり、領収書が2枚届きました。
① 「財団法人日本ユニセフ協会」 3万円
② 「公益財団法人日本ユニセフ協会」9万円
この2枚の領収書はどう違うのでしょうか?
A3 前回の記事の通り、寄附金税制には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。そして平成23年分より、「公益財団法人」への寄附金は、「所得控除」又は「税額控除」いずれか有利な方を選択できます。
さて、日本ユニセフ協会は、平成23年4月1日より「公益財団法人」になりました。それ以前は「特定公益増進法人」として所得控除の対象となっていましたが、「公益財団法人」になったことにより税額控除を選択できるようになったのです。
つまり、日本ユニセフ協会に対する寄附金は、
① 3月31日までに支払った分→所得控除の対象となる
② 4月1日以後支払った分 →所得控除又は税額控除どちらかを選べる
ことになり、取り扱いが異なるため領収書が分かれているのです。
Q4 母校(出身大学)に「義援金」を支払いました。大学からは「特定公益増進法人に該当する旨」の証明書が届いています。この寄附金は控除対象になりますか?
A4 その学校法人が「特定公益増進法人」に該当すれば寄附金控除の対象となります。証明書を発行してもらってください。
また、学校法人であれば「税額控除」の対象にもなるので、どちらか有利な方を選択することになります。
Q5 国境なき医師団に支払った寄付金は控除の対象になりますか?また、住民税の控除対象にもなるのですか?
A5 国境なき医師団は「認定NPO法人」なので、「所得控除」又は「税額控除」の有利な方を選択できます。
なお、住民税の控除対象となるかどうかは、お住まいの自治体(都道府県・市町村)により異なるので注意が必要です。つまり、各自治体の条例で「国境なき医師団」が指定団体となっている場合は控除対象となりますが、指定されていない場合は対象になりません。
Q6 県歯科医師会に「義援金」を支払いました。受け取った「預り証」には、「お預りした義援金は、○○新聞厚生文化事業団へ寄託しました。」と記載されています。この金額は、寄附金控除の対象になりますか?
A6 同封された資料によると、この義援金は事業団から日本赤十字社を通じ被災地に届けられること、また所轄税務署の確認を受けていることから、「所得控除」の対象となります。また、住民税でも「ふるさと寄附金」として控除対象になります。
さあ、あと15日です。今年はぜひ、寄附金控除で還付申告を!
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