12/05/01→17/01/20改
以前「チェックリストで、金利が安くなる?」というタイトルで、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を顧問税理士が作成し、一定の条件をクリアしている場合には、
1 金融機関から融資を受ける際に金利が優遇される
2 保証協会の保証料率が割引される
等の優遇措置が受けられることを紹介し、また、その後の動きについても「中小企業会計指針」のコーナーで随時紹介してきました。
ところでこの3月、中小企業庁及び金融庁は「中小企業の会計に関する基本要領」を制定しました。それに合わせて「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」を公表しました。
「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」(平成27年3月改訂)
さあ、よーく見てください。
両者の違いは「指針」と「基本要領」のフレーズのみ。
このチェックリストの形式や項目も、「指針」のチェックリストとほぼ同じように見えます???。
では、「指針」と「基本要領」の違いは、いったいどこにあるのでしょうか?
「指針」は、中小企業が拠るべき会計モデルとして平成17年に制定されました。しかし「指針」の基本的な考え方は、「大企業向けの企業会計基準」や「国際会計基準」をベースとしています。そのため、IFRSに象徴されるように、会計の世界で急速に進む「時価主義」「国際化」の波の中で、およそ一般の中小企業の実情に即さないものとなってしまったのです。
その反省を踏まえて制定された「基本要領」は、今まで中小企業が採用してきた伝統的な会計原則を尊重しており、かつシンプルなものになっています。「取得原価主義」「税法基準の認容」など、中小企業が採用しやすい基準にしようとしているのがうかがえ、チェックリストの項目数も「指針」に比べて少なくなっています。
その一方で、「指針」は廃止されずに存続することになります・・・・・。
では今後私達は、「指針」と「基本要領」のどちらの基準を採用したらよいのでしょうか?
それを判断するポイントは、以下の2つになります。
まず第一に、「会社の状況と方向性」です。もし貴社が将来株式公開を目指すのであれば、今のうちに、大企業基準に準拠した「指針」を採用したほうがよいでしょう。
また「基本要領」の中に「会計参与設置会社は「指針」によることが適当」という記載があります。よって会社法上の「会計参与設置会社」については「指針」を採用することが望ましいといえます。
もうひとつは、「金融機関等の優遇措置」の状況です。「指針」と「基本要領」、それぞれのチェックリストを提出した場合の主な優遇措置は、今のところ次の通りとなっています(平成24年5月時点での情報)。
1 「指針」のチェックリスト提出が要件
金融機関の金利優遇、保証協会の保証料率割引
2 「基本要領」のチェックリスト提出が要件
金融機関の金利優遇 (ex.政策公庫中小会計ローン.pdf)
私見では、今後中小企業の会計基準は「基本要領」がスタンダードになっていくと思われます。
「指針」に比べて、「基本要領」のハードルはぐっと下がりました。今まで「指針」を適用していなかった中小企業の経営者の皆様、これを機会にぜひ、新しいスタンダードである「基本要領」に準拠した決算書の作成をご検討ください。
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