13/11/05
先日、消費税の増税が正式に決定しました
これにより、消費税率は原則として、
平成26年3月31日までの取引→5%
平成26年4月1日以後の取引→8%
となります。
(この1日の差があるために、いわゆる駆け込み需要が生じます)
しかし、原則あるところ例外あり。旅客運賃、電気料金など一定の取引を対象に「経過措置」が設けられています。 この「経過措置」に該当した場合、平成26年4月1日以後の取引であっても5%が適用されます。
では、どのような取引が「経過措置」の対象になるのでしょうか?
(主なもの)
1 工事の請負
「平成25年9月30日」までに契約を締結した場合
→引き渡しが平成26年4月1日以後であっても、5%
(住宅やアパートの建築契約が9月に集中したのは、このためですね。)
2 資産の貸付(ちょっとややこしいです)
① 「平成25年9月30日」までの間に締結した「資産の貸付」に係る契約に基づき、
② 「平成26年4月1日」前から引き続き行われているもので、
③ 「一定の要件」に該当するもの
「一定の要件」とは、次の「及び」
又は「及び」
を満たす場合をいいます。
「貸付期間」及び「対価の額」が定められている
対価の額の変更を求めることができる旨の定めがない(=賃料変更不可)
解約の申入れをすることができる旨の定めがない(=解約不可)
例えば、貴方が所有しているマンションの一室を、事務所として、月額10万円(税込10.5万円)で賃貸しているとします。
(契約期間は平成25年4月1日から平成27年3月31日までの2年間、自動更新)
この契約は、「平成25年9月30日」より前に締結されていることから、①②の要件は満たすこととなります。
では、③の要件はどうでしょうか?
契約期間が2年間、かつ賃料が10万円と定められているので、はOKです。
しかし、通常の賃貸借契約では「賃料を改訂することができる」との定めがあるので、には該当しません。
また、通常の賃貸借契約では「解約条項」があります。このため、にも該当しません。
よって、③の要件を満たさないため、通常の賃貸借契約は経過措置の適用がありません。
(このケースでは、平成26年4月分より税込賃料は10.8万円となります。)
3 リース取引
以下の3つのパターンがあります。
① オペレーティング・リース(賃貸借取引)
平成26年4月1日以後支払分のリース料より→8%
② 所有権移転外ファイナンス・リース(売買取引)
「平成25年9月30日」より前に締結されたものについては、経過措置の適用あり
→平成26年4月1日以後支払分のリース料も5%
③ 平成20年3月31日以前に締結したリース取引(7年リースなど)
→平成26年4月1日以後支払分のリース料も5%
①と②の違いは分かりにくいと思いますが、リース料を支払う側からすると、リース会社からの通知に基づいて処理すれば問題はないでしょう。
消費税は更にこの1年半後、平成27年10月1日に10%への引上げが予定されています。その時、この「経過措置」の話題が再び持ち上がることになります。
また、しばらくは「5%」「8%」「10%」の3つの税率の取引を別々に管理する必要が生じます。大変わかりにくい「経過措置」ですが、これを機に十分に理解しておくと共に、消費税改正に対応した会計ソフトを導入するなどの検討をすることをお勧めします。
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