12/04/02
前回、前々回と確定申告関連の記事が続きました。申告期限の3月15日が過ぎて、本年の確定申告業務は終了しました。
ところで先日、クライアントからこんな相談があったので、今回も確定申告の関連記事を続けます。
申告期限である3月15日を過ぎた後に、医療費の領収書が大量に出てきました。もう確定申告書は提出済みです。「ああ、あと10日早く出てきていれば・・・・・。先生、もうダメですよね?」
あきらめるのはまだ早い。「更正の請求」をして、税金を還付してもらいましょう。
「申告書を提出した後で、「所得金額」や「税額」などを実際より多く申告していたことに気付いたときには、「更正の請求」という手続きにより訂正を求めることができます。」
この「更正の請求」という制度は以前からあったのですが、平成23年度の税制改正で、更正の請求ができる期間が、「法定申告期限」から5年(改正前は1年)に延長されました。
例を挙げましょう。
(ケース1)
平成23年分の確定申告を行いました。法定申告期限は平成24年3月15日です。ところが6月になって、寄附金控除をし忘れたことに気付きました。
→この場合、「更正の請求」をすることができます。そしてその期限は、「平成29年3月15日」となります。
(ケース2)
では同様に、平成22年分の確定申告(法定申告期限:平成23年3月15日)で寄附金控除をしていなかったことを、今気付いた場合はどうでしょうか?
→この場合の「更正の請求」の期限は、「平成24年3月15日」です。残念ながら、「5年」に延長となったのは「平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税」なので、このケースでは改正前の「1年」が適用されるからです。
しかし「それではかわいそうだ」ということなのでしょうか?所得税の場合、法定申告期限から3年以内であれば「更正の請求」ではなく「更正の申出書」を提出することにより減額更正を行うこととされました。
つまりケース2では、平成26年3月15日までに「更正の申出書」を提出すれば、税金の還付が受けられることになります。
この「更正の請求」制度を利用する場合、注意しなければいけないことがあります。それは、「調査によりその内容の検討をして、納めすぎの税金があると認められた場合」に限り還付する、とされていることです。ここで言う「調査」は、書面の調査のみならず、いわゆる通常の「税務調査」も含まれます。つまり「更正の請求」をすると、税務調査があると思っておいた方がいい、ということです。
また今回の改正により、「更正の請求」をする場合には、「事実を証明する書類の添付」が必要になりました(上の例で言うと、寄附金の領収書になります)。実務上、今までも「更正の請求」をする場合には書類の添付を求められていたので、それが法制化されたということになります。逆に言うと、きちんとした書類の添付があれば、調査の可能性は少なくなる、と言えます。
なお「更正の請求」の改正に伴い、税務署が行う「増額更正」の期間も従来の「3年」から「5年」に延長されました(所得税の場合)。つまり、納税者の「権利」と「義務」を行使する期間が統一されたことになります。いずれにせよ、今回の改正は私たち納税者の「税金」に対する意識を高めるいいきっかけになると思います。「税金を払いすぎた」と後から気付いたら、更正の請求をして「正しい税額」に改め、払いすぎた税金を還付してもらいましょう。
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