相続税:「相続の開始があったことを知った日」とは?

vol.208(since 07/01/07〜) 

21/10/07

 

 

ここ数回は、相続税に関するテーマで、

 

 

単独申告

未分割申告

未分割の場合の特例不適用

一部分割

期限前に相続不動産を売却する場合の注意点

 

 

と記事にしましたが、いずれもポイントになってくるのが「相続税の申告期限」です。
相続税の場合、申告期限までに遺産分割協議が完了しているかどうかにより、その申告内容や各人の相続税額が大きく異なります。
また申告期限から一定期間内に受けられる特例があることも前回述べました。

 

 

ところで相続税の申告期限は、法令上「相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」とされています。
つまり「相続の開始があったことを知った日」の捉え方によって、相続税の申告期限が異なることになります。

 

実務上、「相続の開始があったことを知った日」とは、「自己のために相続の開始があったことを知った日」であり、具体的には

 

 

@被相続人の死亡という事実を知りかつ、A自己が被相続人の相続人であること

 

 

の双方を知った日、とされています。

 

自分が相続人となる場面で多いのは親が死亡するケース、次に兄弟が死亡するケースでしょう。
そして親や兄弟が死亡したことを知るのは、一般的には死亡当日であると思われます。
そうすると、「相続の開始があったことを知った日=相続の開始した日(死亡日)」となり、申告期限は「死亡日の翌日から10月以内」とするのが基本的な考え方です(死亡したことを知ったのが死亡後数日程度である場合は、実務上「知った日=死亡日」として申告するのが一般的です)。

 


しかし、例えば以下のようなケースでは、「知った日」が「死亡日」よりも相当遅れることがあります。

 

・いわゆる「孤独死」のケース 

 

 

被相続人が一人暮らしで自宅で死亡し、死後相当期間を経て発見されるようなケースです。 
このケースではまず「死亡日」自体が特定できないことが多く、警察の死体検案による「推定死亡日(又は、推定死亡期間)」に拠ることになります。
相続税上、このようなケースで「知った日」をいつにするかについて格別の規定はないので、例えば「警察から死体発見の連絡を受けた日」や、「警察が死体検案を行った日」などをもって「知った日」とするものと考えられます。

 


・相続人以外の者が「遺贈」により取得するケース 



被相続人が遺言書を作成していて、遺言で「相続人でない者(例えば、孫や甥、姪)」に財産を遺贈する旨記されているようなケースです。
このケースで、受遺者(=孫や甥、姪)が「自己のために相続の開始があったことを知った日」は、具体的には@被相続人の死亡という事実を知り、かつ、A自己が被相続人の「受遺者」であること、の双方を知った日となりますが、受遺者が生前に遺言の内容を知らされていない場合、「知った日」は死亡日よりも遅くなる可能性があります。
このケースでは、受遺者が「被相続人が生前に遺言書を作成していたこと」及び「遺言書中に受遺者に対し財産を遺贈する旨記載があること」を、相続人や遺言執行者から通知を受けた日が「知った日」になるものと思われます。

 


ところで上記のようなケースでは、同じ相続でも相続人によって「知った日」が異なる可能性があることになります。そうすると、一の相続について相続税の申告期限が相続人により異なることとなります。
例えば親が死亡した場合、同居している兄はその死亡を死亡日に知ったが、疎遠である弟は1月後に知った、ということがあり得ます。そうすると理論上、弟の申告期限は兄の申告期限の1月後になります(もっとも「知った日」がいつかについては、納税者の主張が否認された多くの裁決例や判決例があるので、「知った日」と死亡日が異なる場合は客観的に説明することができるよう十分に準備する必要があります)。

 

 

なお「知った日」が死亡日と異なる場合であっても、相続財産の評価は相続開始時(=死亡時)の価格によることとされています。

 

 

 

→カテゴリ:相続&贈与

 

 

 

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