特例事業承継税制(5)〜第三者への贈与も可能。その注意点は?〜

vol.172(since 07/01/07〜) 

18/10/10

 

 

このテーマの最初の記事で、

 

 

この制度の基本的な仕組みは、先代経営者が、その所有する自社株式を、2027年(平成39年)12月31日までに後継者に一括贈与した場合に、その贈与税の全額を納税猶予する、というものです。

 

 

と書きました。

 

 

ところで、贈与の方法には

 

@ 暦年贈与
A 相続時精算課税贈与

 

の2種類があります(以前の記事参照)が、事業承継税制を適用するにはA相続時精算課税贈与を選択するほうが有利とされています。

 

 

しかし、Aの方法は受贈者が20歳以上の推定相続人及び孫のケースしか適用できません。つまり親族間の贈与にしか適用されないため、後継者が第三者の場合は対象外となります。

 

事業承継税制は第三者承継においても適用可能ですが、第三者に対する贈与は相続時精算課税制度を適用できないとすると@の暦年贈与となります。暦年贈与の場合、仮に事業承継税制の適用が取り消されると承継者が多額の贈与税を負担しなければならず、第三者承継の場合の大きなネックとなっていました。

 

 

これを踏まえ、特例事業承継税制では、第三者に対する贈与でも相続時精算課税贈与が適用できるようになりました。これにより、後継者が親族でも親族以外でも同じ条件となり、税制上の差はなくなったといえます。

 

 

しかし、ここで注意しなければならない点があります。
相続時精算課税贈与は、文字通り、贈与財産の価額を相続時に加算して精算する制度です。つまり、第三者に贈与した自社株式は、先代経営者の相続時に相続税の課税対象となり、事業承継に無関係の他の相続人は自社株式の価額を加算した財産に対する相続税を支払わなければなりません。

 

 

ケーススタディで説明しましょう。
先代経営者Aの相続人が子2人BCで、Aが経営する会社を第三者Dが承継し、Dが自社株式を相続時精算課税制度により贈与を受けたとします。
この贈与に関して特例事業承継税制を適用した場合、Dは贈与税の納税を猶予され、贈与時の贈与税は0円です。

 

 

さて、Aが死亡した場合はどうなるでしょうか。
Dが贈与時に猶予されていた贈与税は免除されます。
また、DはAの相続税の納税義務者となりますが、今度は相続税の納税猶予を受けることにより相続税は0円となります。

 

 

ところが、BCはそうはいきません。
Aが所有していた自社株式以外の財産は、BCが相続します。BCはその相続分に応じた相続税の納税をするのはもちろんですが、相続税の計算の際、Dに贈与した自社株式も相続財産に加算して相続税の計算をしなければならないのです(相続税は累進税率のため、財産の総額が多くなると税率が高くなる)

 

 

既に贈与した自社株式に係る相続税を、事業承継と無関係の相続人が支払わなければならない・・・・・第三者承継の落とし穴、といったところでしょうか。このことに関して、事前に相続人の同意を得られるのか?が第三者承継の適用のポイントになります。

 

 

 

 

 

→カテゴリ:実務編・事業承継税制

 

 

  

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