特例事業承継税制(3)〜5年間要件を継続しないと、猶予取り消し!〜

vol.170(since 07/01/07〜) 

18/08/08

 

 

前回の記事では、

 

 

事業承継税制の基本は納税「猶予」。つまりこの特例を受けても、贈与税や相続税の納税義務が直ちに「免除」されるわけではないのです。

 

 

と書きました。そして

 

 

猶予」を受け、また継続するためには様々な要件があり、その要件を満たさなくなった場合は猶予打ち切りとなるのです

 

 

とも書きました。

 

 

ここで重要なのは、たとえ納税猶予を受けられたとしても、その後「一定の要件」を満たさなくなった場合、猶予が打ち切りになってしまう、ということです。

 

 

具体的には、贈与税(又は相続税)の申告期限から5年間(この期間を「事業承継期間」といいます)の間に、「一定の要件」を満たさないこととなると納税猶予が取り消され、その満たさなくなった時点で猶予税額の納税が必要となってしまうのです。

 


では「一定の要件」とは何でしょうか?

主なもののみ掲げます。

 

 

1報告・届出を怠ったとき(毎年、都道府県及び税務署への報告及び届出が必要)

2後継者が、代表者でなくなったとき(障害者等になった場合を除く)

3常時使用従業員数が8割を下回ったとき(雇用確保要件)

4会社が倒産・解散したとき

5後継者が自社株式を譲渡・贈与したとき(譲渡・贈与した部分について猶予取り消し)

6「資産保有型会社」又は「資産運用型会社」となったとき(5年経過後においても猶予取り消し)

7総収入金額が零になった場合

8先代経営者が代表者に復帰した時

 

 

これらの「要件」は、従来の事業承継税制においても定められていました。
特に3の「雇用確保要件」は、人材確保がままならない現在の経済環境においては非常にハードルが高く、この要件があるために従来の事業承継税制は活用されなかった、と言われています。

 

 

そこで今回創設された特例事業承継税制では、この要件が実質的に撤廃されました。
どういうことかと言うと、

 

 

・雇用確保要件を満たさない場合であっても、認定経営革新等支援機関の意見が記載されている「雇用確保要件を満たせない理由を記載した書類」を都道府県に提出すれば納税猶予の取り消しはないものとする

 

・雇用確保要件を満たせない理由が「経営状況の悪化である場合」又は「正当なものと認められない場合」には、認定経営革新等支援機関からの指導及び助言を受けた旨及びその内容を上記書類に記載すればよい

 

 

こととされたのです。

 

つまり「要件」自体は残っているが、認定経営革新等支援機関の協力があれば事実上パスできるようになったことから「実質的に撤廃」となったのです。(認定経営革新等支援機関→前々回の記事参照)

 

 

従来ネックとなっていたこの要件が事実上なくなったことで、特例事業承継税制は格段に使いやすくなった、と言われています。

 

 

その他の要件を見ると、基本的には「後継者は5年間、会社を事業承継したままの状態で、経営を続けてくださいね」ということを要請しているといえます。

 

 

もっとも、要件の中には6のように、5年経過後も継続しなければならないものもあります。また将来会社の売却、合併消滅、解散をした場合は税額の一部が減免される措置はあるものの、基本的にはその時点で猶予税額を納税しなければなりません。
この税制を適用するか否かは、様々な事態を想定したうえで判断する必要があります。

 

 

ところで、6で「資産保有型会社」「資産運用型会社」という用語が出てきました。実は事業承継税制は、全ての会社に適用されるわけではありません。その適用されない会社の代表例が「資産保有型会社」「資産運用型会社」なのですが・・・・・次回は、これらの会社について記します。


 

 

→カテゴリ:実務編・事業承継税制

 

 

  

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