特例事業承継税制(4)〜「資産保有型会社」「資産運用型会社」とは?〜

vol.171(since 07/01/07〜) 

18/09/05

 

 

前回の記事では、

 

 

この税制は、贈与税(又は相続税)の申告期限から5年間(この期間を「事業承継期間」といいます)の間に、「一定の要件」を満たさないこととなると納税猶予が取り消され、猶予税額の納税が必要となるのです。

 

 

と書きました。

 

 

そして、その「一定の要件」のひとつに、

 

 

資産保有型会社」又は「資産運用型会社」となったとき(5年経過後においても猶予取り消し)

 

 

と挙げたうえで、

 

 

実は事業承継税制は、全ての会社に適用されるわけではありません。その適用されない代表例が「資産保有型会社」「資産運用型会社」なのですが・・・・・。

 

 

と書きました。

 

 

今回は、その「資産保有型会社」「資産運用型会社」について記します。

 

 

1 資産保有型会社

 

 「特定資産」の価額の総額が、全財産の70%以上を占める会社をいいます。
なお、判定は帳簿価額により行います。

 

 

2 資産運用型会社

 

 総収入金額に対して、「特定資産」の運用収入の合計額が75%以上を占める会社をいいます。 

 

キーワードは「特定資産」です。

 

特定資産」とは、

・有価証券
・現に自ら使用していない不動産(第三者へ賃貸しているものも含む)
・ゴルフ会員権、絵画、貴金属等
・現預金
・代表者や同族関係者に対する貸付金、未収金
などをいいます。

 

 

特定資産」の運用収入とは、

・有価証券の受取配当、譲渡収入
・預貯金の受取利息
・賃貸不動産の受取地代、家賃、譲渡収入

などが挙げられます。

 

 

わかりやすい例が、不動産賃貸業です。
賃貸不動産は「特定資産」に該当します。賃貸不動産を所有している場合、

賃貸不動産の帳簿価額+現預金等≧全資産の帳簿価額×70%
又は
賃貸不動産収入≧総収入金額×75%

となると、資産保有型会社又は資産運用型会社に該当し、この税制は適用できません。

 

 

さらに注意が必要なのは、これらの会社に該当しない状態を、贈与や相続の時のみならず、5年経過後も、それ以後も、極端に言うと未来永劫保たなければならないということです。

 

 

現在は小売業をやっているけれども、30年後に転業して不動産賃貸業に転換する・・・・・などといったケースは十分に考えられます。このようなケースが将来生じた場合、現行法令上は転換時点で猶予打ち切りとなってしまいます。

 

 

なお、「資産保有型会社」「資産運用型会社」に該当した場合であっても、次のすべての要件を満たす場合にはこれらの会社に該当しないものとみなされ、この税制を適用することができます。

 

 

・商品販売・資産の貸付け(同族関係者に対する貸付けを除く)等を3年以上行っていること
常時使用従業員※(後継者・生計一親族を除く)が5人以上であること
常時使用従業員※の勤務場所(事務所・店舗・工場等)を所有又は賃借していること

  ※常時使用従業員とは、以下の通知書に記載された従業員をいいます。
   ・厚生年金保険の標準報酬月額決定通知書(70歳未満)
   ・健康保険の標準報酬月額決定通知書(70歳以上75歳未満)

 

 

 つまり、例えば不動産賃貸業であっても、第三者に対して賃貸を行っていて、かつ、社会保険に加入している第三者従業員が5人以上いれば、「資産保有型会社」「資産運用型会社」とはみなさない、ということです。

 

 

不動産賃貸業等を行っていても、これらの要件を満たす場合は、この税制の適用について検討する余地があります。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・事業承継税制

 

 

  

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