vol.169(since 07/01/07〜) 

18/07/09

前回の記事では、

この特例制度を受けるためには、

2023年(平成35年)3月31日までに承継計画を提出

2027年(平成39年)12月31日までに自社株式を贈与

することが絶対条件です。

と書きました。そして、

この制度の基本的な仕組みは、先代経営者が、その所有する自社株式を、2027年(平成39年)12月31日までに後継者に一括贈与した場合に、その贈与税の全額を納税猶予する、というものです。なお、この間に相続が発生した場合には、自社株式の評価額に対応する相続税額が納税猶予されます。

とも書きました。

ここで、納税猶予という言葉に注意が必要です。
猶予とは、実行の時日を延ばすこと(BY広辞苑)。似た言葉に「免除」がありますが、免除とは「義務を消滅させること」で、「猶予」とは異なります。

両者の決定的な違いは、

納税猶予の場合=一定要件を満たさなくなった場合納税義務が復活する

のに対し、

納税免除の場合=納税義務が完全に消滅する

という点にあります。

事業承継税制の基本は納税猶予。つまりこの特例を受けても、贈与税や相続税の納税義務が直ちに「免除」されるわけではないのです。

では、いったん猶予された納税義務はいつ復活し、あるいはいつ免除されるのか?
これこそが、事業承継税制のキーポイントなのです。

特例を受けた場合の具体的な流れを見てみましょう。

①1代目経営者が、その所有する自社株式を2代目経営者に一括贈与

→本来は2代目経営者に贈与税が課税されるが、その贈与税を納税猶予

②1代目経営者が死亡

→①で猶予されていた贈与税が免除

 →1代目経営者の相続税のうち、贈与した自社株式に係る部分を納税猶予

③2代目経営者が、その所有する自社株式を3代目経営者に一括贈与

→②で猶予されていた相続税が免除

→本来は2代目経営者に贈与税が課税されるが、その贈与税を納税猶予

おわかりいただけましたか?

基本的には、

贈与税猶予→贈与税免除&相続税猶予→相続税免除&贈与税猶予

というループが続いていくのです。

ここで、ひとつ疑問が生じませんか?
②で「1代目経営者の相続税のうち、贈与した自社株式に係る部分を納税猶予」と書きました。
しかしそもそも、株式は既に後継者に贈与してしまっているのだから先代経営者の相続財産ではなく、従って相続税の課税対象にはならないはずです。

実は、ここが事業承継税制の大きなポイントです。
この税制の適用を受ける場合、先代経営者から贈与された自社株式は、先代経営者の死亡時に、先代経営者から相続(又は遺贈)により取得したものとみなされて相続税が課されるのです。

そして②の通り、先代経営者の死亡時点で贈与税は免除、自社株式に係る相続税は猶予、となるので、結果として贈与税及び自社株式に係る相続税の納税はないことになります。

従って、この特例を受けたほうがよいかどうかは、その自社株式の価額によって左右されることになります。
自社株式の価額がそれほど高額でなく、通常の贈与で多額の贈与税を負担することなく自社株式を移転できる場合は、この特例を使うメリットは少ないといえます。

以上の通り、この税制の基本は「免除」ではなく「猶予」です。
そして「猶予」を受け、また継続するためには様々な要件があり、その要件を満たさなくなった場合は猶予打ち切りとなるのですが・・・・・次回は、その「猶予の打ち切り」について話したいと思います。

→特例事業承継税制(3)に続く

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