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vol.235(since07/01/07~)
25/01/15NEW!
令和6年10月、財務省は「令和5事務年度国税庁実績評価書」を公表しました。
この評価書は、国税庁が毎年定める実施目標に対し、その目標に対する実績を評価して公表するものです。
評価の対象となる実績目標は大きく3つ。
そのうちのほとんどを「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収」が占められていて、具体的には税制の大前提である「課税の公平」を実現するための取り組み(税務調査や滞納整理、広報活動の充実など)の達成状況が数値で示されています。
またトピックなテーマとしては、税務行政のDXや国際化への対応として「電子申告・納税システム(e-Tax)の普及促進」「他国の税務当局との情報交換」などに力点を置いているのが分かります。
他の実績目標は「酒類業の健全な発達の促進」「税理士業務の適正な運営の確保」です。後者の中に「書面添付制度の普及・定着に向けた積極的な取組」の項目があります。
ここで参考指標として、毎年「税理士法第33条の2に規定する書面の添付割合」がデータとして公表されます(書面添付制度については、このブログ開設当初の記事<書面添付をしましょう>に記載してあるのでそちらを参照してください)。
税理士法第33条の2に規定する書面の添付割合(税理士が関与した申告書の件数のうち、書面添付があったものの件数の割合)
令和4年度→ 令和5年度 (参考:税理士関与割合)
所得税 1.5% → 1.5% 20.4%
相続税 23.4% → 24.3% 86.3%
法人税 10.0% → 10.0% 89.8%
まず注目していただきたいのは、(参考:税理士関与割合)です。
相続税、法人税共、その申告件数の80%~90%が「税理士が関与している」ということになります。
ITの普及により、納税者自身が税務に関する情報を比較的容易に入手できるようになりました。e-taxや税務会計ソフトを利用すれば、納税者自身が申告書を作成、提出できるような環境が整いつつあります。
しかし現状は、税理士が関与している申告がほとんどです。税法や会計の制度が複雑化する中、タックスプランニングなどの分野で税理士などの専門家に依頼するメリットはまだまだあるということなのかもしれません。
そして、書面添付です。
相続税の書面添付は毎年確実に増加し、今や申告書のうち4件に1件は書面添付がされていることになります。
相続税は法人税とは異なり「帳簿」がなく、また納税者である相続人は会社経営者のように税務や法律の知識がある人ばかりとは限りません。
申告を委任される税理士からすると、相続人との信頼関係を構築できるか、相続人がすべての資料や情報を提供してくれるかなど、委任を受けてから申告までの期間が短い場合などは特に注意深く事務を進める必要があります。
このことが、税理士にとっては「どのように申告書を作成したか」を表明する手段として、また納税者にとっては「税務調査の負担が軽減される」という書面添付の効果を期待して、それぞれの立場から積極的にこの制度を利用する、という機運が高まっているのでしょう。
法人税の書面添付は昨年度10%の大台に乗りましたが、残念ながらその後伸びが止まっています。
税理士は当然、法人税に書面添付ができることは知ってます。しかし傾向としては、その必要性やメリットが「相続税ほどはない」と判断している税理士が多いものと思われます。
納税者の立場からすれば、税務調査はあるよりはない方がよく、またあったとしてもその負担(調査日数や調査後の対応など)は少ないほうがよいはずです。
所得税は、書面添付になじまないと思われる申告(給与所得など)が多く、この数値は参考にならないしょう。
なお当事務所は、作成・提出する全ての申告書に対し書面添付を実施することを目標としています(この2年間の実績は、相続税=100%、法人税・消費税=98%、所得税=不動産所得・事業所得・譲渡所得100%です)。
そして、この2年間(令和5年ー6年)の当事務所の関与先に対する意見聴取及び税務調査の状況は以下のとおりです。
意見聴取 税務調査
所得税 0件 0件
相続税 0件 0件
法人税 0件 0件※いわゆる法定監査(1件)を除く
クライアントの安心のため、ひいては税務行政の効率化に資するため、上甲会計は書面添付制度の更なる普及を推進してまいります。
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