vol.151(since 07/01/07〜) 

17/01/19

前回に引き続き債務控除の話です。

被相続人の財産と債務を誰が引き継ぐか?ということについては、

①遺言がある場合→遺言に従う

②遺言がない場合→相続人全員の遺産分割協議により定める

のが基本的な考え方です。

ところで相続税の計算上、一定の債務及び葬式費用は財産の価額から控除することができますが、これらの債務を誰が負担するかによって必ずしも控除できない場合があります。

例えば、

・被相続人A(父)
・相続人B(長男)、受遺者C(孫)

・遺言で、次の通り財産及び債務を相続・遺贈することとしている。
 B 財産2000万円(預金)、 債務等500万円
 C 財産2000万円(不動産)、債務等  0万円

この場合、相続税の計算は、

課税価格 B(2000万円ー500万円)+C(2000万円ー0円)=3500万円

基礎控除 3000万円+600万円=3600万円

∴課税価格3500万円−基礎控除3600万円<0万円となり、相続税は生じません。

ではAの遺言で、次の通り財産及び債務を相続・遺贈することとしていた場合はどうでしょう

 B 財産2000万円(預金) 、債務等  0万円
 C 財産2000万円(不動産)、債務等500万円

この場合、相続税の計算は、

課税価格 B(2000万円ー0万円)+C(2000万円ー0円)=4000万円

基礎控除 3000万円+600万円=3600万円

∴課税価格4000万円−基礎控除3600万円=400万円となり、相続税が生じてしまいます。

ポイントは、「相続人以外の者が支払った債務等は、相続税の計算上控除できない」ということにあります。

上記の例では、C(孫)は相続人ではありません。よってCが支払った被相続人の債務等500万円は、Cが遺贈により取得した財産の価額2000万円から控除することができないのです。

例外は、上記の遺言が民法上の「包括遺贈」に該当する場合、Cが支払った債務は債務控除ができることとなります。しかし実務上、日本では「包括遺贈」の遺言を目にすることはあまりありません。また、書かれた遺言が民法上の「包括遺贈」「特定遺贈」どちらに該当するのかを判断するのに難しいことがあります。

生前に遺言を準備するケースが増えています。それはとても望ましいことですが、相続人以外の孫などに財産を遺贈する場合は、事前に相続税法上の取り扱いに充分留意する必要があります。

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