vol.227(since07/01/07~)

23/12/25

 

国税庁は10月、ホームページに「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」を掲載しました。
そして令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得したこれらの財産は、この通達により評価することとされました。
 

「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)の評価が変わりました(国税庁)

 

更にこの通達の肝である、「区分所有補正率」の計算明細書をエクセルで掲載しました。必要事項を入力すると補正率が自動計算されるようになっています。

 

とまあ、国税庁にしては大変丁寧な対応に思えるのですが、そもそもなぜこのような通達が新設されたのでしょうか?

 

通達の趣旨には近年の区分所有財産の取引実態等を踏まえ、居住用の区分所有財産の評価方法を定めたものである。」とあります。
区分所有財産」とはいわゆる「マンション」を指し、「居住用の区分所有財産」とは「居住用マンション」を指すことになります。

 

つまり近年の「マンションの取引実態等」(=マンションの取引価額が相続税評価額と乖離している実態)を踏まえ、居住用マンションの評価方法を定めたことになります。

 

典型例がいわゆる「タワーマンション=タワマン」で、タワマン(特に高層階)の「取引価額」と従来の評価方法による「相続税評価額」との乖離が、戸建(家屋及びその敷地)のそれに比べてかなり大きいため、戸建の乖離率(60%程度)に近づけるよう評価方法を定めた、ということです。

 

注意点は、この評価方法の適用を受けるのがタワマンだけではなく、基本的に「居住用マンション」すべてに適用される、ということです。

 

上記パンフレットには、この個別通達の適用がないものとして、


・事業用のテナント物件
・区分所有登記がされていないマンション
・総階数2以下の集合住宅
・いわゆる2世帯住宅
・借地権付分譲マンションの敷地


などが挙げられていますが、逆に言うとこれ以外の「居住用マンション」はすべてこの通達の適用を受けることになります。

 

さて評価方法ですが、計算式はシンプルです。
マンションを家屋(区分所有権)部分と土地(敷地利用権)部分に区分して従来通りそれぞれ評価を行った後、

 

従来の評価方法による評価額×区分所有補正率

 

となっていて、この「区分所有補正率」を計算するのが上記の計算明細書、というわけです。

 

この計算明細書に必要なデータは、マンションの「築年数」「総階数」「所在階」「専有部分の面積」などで、いずれもマンションの登記事項証明書(登記簿謄本)により確認できます。

 

区分所有補正率自体の説明は省きますが、これにより評価額が従来の評価額に比べて①低くなる②変わらない③高くなる、いずれのケースもあり得ます。

 

この区分所有補正率を、当事務所の関与先が所有している居住用マンションでシミュレーションしたところ、

 

①横浜市内のマンション(築20年、7階建のうち6階居住) 1.23
②東京都内のマンション(築25年、9階建のうち2階居住) 1.25

 

となりました。

 

またタワマンを想定して、①のマンションを築5年、33階建のうち33階居住と置き換えてシミュレーションしたところ、その区分所有補正率は1.94となりました。
 

なお上記のとおり、この通達は令和6年1月1日以後相続または贈与により取得した財産に適用されますが、非上場会社が居住用マンションを所有している場合、その自社株式を同日以後に相続・贈与・譲渡したことにより評価する際の純資産価額の計算にも影響するので注意が必要です。

 

 

→カテゴリ:相続&贈与

 

 

「毎月の訪問、毎月の報告、毎月の安心」

上甲会計は、お客様の経営を徹底的にサポートします!

 

 

→上甲会計事務所ホームページへ

お問合せ・ご相談はこちら

上甲会計のサポートは、クライアントとの信頼関係を築くことから始まります。
どのような形で関わっていくか?
どのように承継を進めていくのがベストか?
どのような対策を、どのようなタイミングで行っていくか?
私達が持っている「経験」と「知恵」のすべてを出してサポートいたします。

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
045-641-7796

担当:犬塚(いぬづか)

営業時間:平日9:00-17:00

対応エリア
横浜市、川崎市、大田区、世田谷区、目黒区、茅ヶ崎市、藤沢市、鎌倉市、大和市、綾瀬市ほか

神奈川県横浜市中区関内にある、上甲(じょうこう)会計事務所の所長税理士、上甲雅敬のブログです。

数十年にわたってお付合いをしているクライアントのほとんどが事業承継を完了しました。

実務で得たノウハウを活かし、事業承継に直面するお客様を万全の体制でサポートします!

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

045-641-7796

<受付時間>
平日9:00-17:00

ごあいさつ

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

事業承継
サポートセンター
上甲会計事務所

住所

〒231-0023
横浜市中区山下町193-1
宇佐美山下町ビル6F

アクセス

電車
みなとみらい線 日本大通り駅[3番出口]徒歩4分
横浜市営地下鉄 関内駅[1番出口]徒歩7分
JR京浜東北線 関内駅[南口]徒歩10分

駐車場の有無
専用駐車スペース無し
(コインパーキングが近くに多数ございます)

営業時間

平日9:00-17:00