特例事業承継税制(8)〜特例承継計画の提出期限が延長されます〜

vol.212(since 07/01/07〜) 

22/02/26

 

 

以前の記事で、全7回に分けて特例事業承継税制について述べました。
この「特例」事業承継税制は平成30年度税制改正で創設され平成30(2018)年1月1日以後の非上場株式の贈与・相続・遺贈について適用されています。
そしてこの制度を適用するためには令和5(2023)年3月31日までに「特例承継計画」を提出しなければなりません(第1回の記事参照)



さて制度がスタートして4年経ちましたが、特例承継計画の提出状況はどうなっているのでしょうか?
特例承継計画の申請件数は、以下の通りです。(経済産業省令和4年度税制改正要望書を基に作成)



平成30年:1,885件

令和元年 :3,817件

令和 2 年:2,918件

令和 3 年:1,520件(8月31日まで)

 

 

平成30年→令和元年と増加したものの、令和2年はコロナウィルス蔓延の影響もあってか申請件数は減少しました。
しかし仮にコロナの影響がなかったとしても、提出件数は国が想定していたよりも低調と思われます。
以前書いた全7回の記事では、この税制の要件を将来満たさなくなった場合などの「リスク」を中心に書きました。特例承継計画の提出が進まないのは、これらの「リスク」がクローズアップされ、税制の適用を躊躇している企業が多いためと考えられます。

 

 

このような状況を受けて、令和4年度税制改正で、特例承継計画の提出期限が1年間延長される見込みとなりました。
具体的には、



(改正前)令和5(2023)年3月31日→(改正後)令和6(2024)年3月31日

 

 

となります。

 

 

ただし注意しなければならないのは、贈与税の納税猶予の期限は延長されないということです。
以前のブログで、



この制度の基本的な仕組みは、先代経営者が、その所有する自社株式を、2027年(平成39年)12月31日までに後継者に一括贈与した場合に、その贈与税の全額を納税猶予する、というものです。なお、この間に相続が発生した場合には、自社株式の評価額に対応する相続税額が納税猶予されます。

 

 

と書きましたが、この令和9(2027)年12月31日までに自社株式を一括贈与」という期限は変更されません。

 

 

なかなか制度が浸透していない特例事業承継税制ですが、仮に特例承継計画を期限内に提出した後計画通りに事業承継が進まず、2027年12月31日までに贈与が行われなかったとしても特に罰則等はありません。従って現時点で具体的な承継計画がなくても、将来制度を利用する可能性が少しでもあれば、「とりあえず」特例承継計画を提出する、という選択肢もありそうです。



当事務所のクライアントにも、シミュレーションを行った結果、この制度の適用を受けることを前提に特例承継計画の提出を実行したケースがあります。今後5,6年の間に事業承継を考えているオーナー社長は、いま一度制度の適用を検討することをお勧めします。

 

 

 

→カテゴリ:実務編・事業承継税制

 

 

 

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