11/10/19

 さて、現地調査が終了し、税務署側で資料整理が終わると、税務署から連絡があって通常は税務署に出向くことになります。顧問税理士がいる場合、ここから先は税理士と税務署側との<交渉>となりますが、そうでない場合は会社が直接対応することになります。


 さあ、調査もいよいよヤマ場です。最も理想的なのは、<修正事項なし→調査終了>というパターンです。これを<是認>といいます。是認の場合、税務署からいわゆる<是認通知書>という書類が交付されるか、又は口頭の連絡のみで調査終了となります。


 次に、税務署側から修正申告を求められるケースです(実際は、このパターンが最も多いでしょう)。その<求め>に対し、どのように応じるかによって調査の着地点は大きく異なることになります。

 ここで、私たちが知っておかなければならないポイントがあります。それは、<修正申告をしたら、後で取り消しを求めることはできない>ということです。修正申告は、納税者が自らの「誤り」を認め、自分の意思で「正しい」申告をし直すという手続きなのです。仮に税務署側で作成した修正<案>を提示されたとしても、それはあくまで<案>に過ぎません。その<案>に従った修正申告書を提出するかどうかは納税者が決めることなのです。


 では、税務署が提示した修正<案>に納得できない場合はどうすればよいのでしょうか?

 まずは税務署側の修正の根拠を聞き、こちら側の主張を伝えて、税務署側と<交渉>することになります。そのうえで修正<案>に納得すれば、修正申告書を提出することになります。また、<交渉>の結果、税務署側が新たな修正<案>を提示することもあります。いずれにせよ、修正内容に同意した段階で、修正申告書を提出するのが一つの方法です。

 その一方で、<交渉>したけれども税務署側の修正<案>にどうしても納得できないケースもあります。修正申告は<自らの意思で提出する>ものなので、修正の意思がなければ修正申告書を提出しなくてもかまいません。しかしその場合、今度は税務署側が<更正>という処分により税額を決定し、追徴することになります。

 「なんだ、結局は<修正>と同じじゃないか!」結果だけみれば、その通りとなるケースが多いでしょう。しかし<修正>が納税者側の自主的な「申告」であるのに対し、<更正>は税務署側の「処分」であるというのが根本的に異なる点です。ということは、この「処分」に不服であれば、「異議申立て」「審査請求」、さらには「訴訟」への道が開かれることになり、最後には司法の判断を仰ぐことができるのです。


 では、少しでも納得できない場合はこちらからは<修正>せず、税務署の<更正>を待ったほうがよいのかと言うと、現実はそう甘くはありません。税務署側の<更正>を不服として異議申立て等を行ったとしても、納税者側がその処分をひっくり返す確率は極めて低いのが現状なのです。加えて、この手続きが終わるまでには長い時間と膨大な手間・費用が生じます。中小企業がこの作業に費やす労力は並大抵のものではありません。

 <修正>と<更正>の違いにこだわって書きましたが、これはあくまでも「手続き」の話に過ぎません。話をまとめましょう。私たちが調査を気持ちよく終わらせるためには、税務署側が示す修正<案>のポイントをひとつひとつ確認し、これらが納得できるものであるかどうかを個別に判断して税務署側に伝えるべきでしょう。安易な妥協はしないけれど、受け容れるものは受け容れる、といった姿勢で<交渉>すれば、着地点が見えてくるはずです。

 さあ、税務調査は決着しました。後は、事後処理になります。

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