12/06/01
前回の記事で、「中小企業の会計に関する指針」に加えて、新たに「中小企業の会計に関する基本要領」が制定されたことをお伝えしたところ、「指針」「基本要領」を検索ワードにしてこのブログにアクセスした方が多くいらっしゃいました
より具体的に見ると、皆様の最大の関心事は、「新しい「基本要領」のチェックリストで、信用保証協会の保証料割引が受けられるのか?」ということにあるようです。
そこで今回は、「指針」「基本要領」と「信用保証協会の保証料割引制度」についての情報をお伝えします。
「信用保証協会の保証料割引制度」は、保証協会付きの融資で、以下の条件を満たした場合、保証協会に支払う保証料率を0.1%割り引く、というものです。
1 顧問税理士が「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成している
2 チェックリストの全58項目中、保証協会が指定した15項目のうちいずれか「1つ」が「YES」になっている
ところが、平成24年4月決算分のチェックリストから、この運用が次のように変更されることになりました。
1 保証協会が指定した15項目の「全て」が「YES」になっている
2 税理士が「事実と異なる記載」をしたチェックリストを何度も作成した場合は、その税理士が作成したチェックリストは1年間割引制度の対象としない
ハードルが一気に上がりました・・・・・
1については、今まで「1項目該当」でOKだったものが、「15項目全て該当」しなければダメになった、ということです。保証協会が指定する15項目には、「減損会計」や「各種引当金の計上」など、税務上「損金」にならない「費用」の計上が求められているものがあり、中小個人企業がこの15項目全てに該当する決算書を作成するのはかなり困難でしょう。
2については、顧問先に頼まれたからといって安易なチェックリストを作成しないでほしいという、私達税理士側への「警告」と思われます。税理士に対する事実上の「罰則規定」が設けられたことにより、チェックリストを作成する際の「YES」「NO」の判断を今までよりも厳しく解釈する税理士も多くなるのではないでしょうか。
では、「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」を作成した場合、保証料割引制度の適用はあるのでしょうか?
残念ながら、答えは「NO」です。現時点では「基本要領」のチェックリストは割引制度の対象外です。
つまり、中小個人企業が「保証料の割引制度」の適用を受けるのはかなり難しくなった」ということが言えます
ところでこの制度が適用された場合の保証料の割引額って、いくら位だと思いますか?当初借入額が1,000万円・5年返済としましょう。そうすると、ざっくり計算して1年目1000万円×0.1%=年1万円、2年目800万円×0.1%=年8,000円・・・・・となり、5年間で計3万円です。もちろん安くなるのにこしたことはありませんが、「意外とたいしたことはないな」と思いませんか?
「指針」「基本要領」は、中小個人企業が適正な財務情報を開示するための新しい会計ルールです。その目的は、「経営の役に立つ決算書の作成」であり、「金融機関の信用力向上」にあります。「金利優遇」や「保証料割引」は、その努力に対する「おまけ」「ご褒美」と考えたほうがいいでしょう。
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